更新日: 2023.10.31 相続税
名義預金は相続税の申告をしなかったら税務署にバレやすい? ペナルティーと申告方法は?
本記事では、名義預金と判断されるケースや、相続税や申告の有無、申告しなかった場合のペナルティーについて詳しく解説します。名義預金の相続税や申告の重要性について理解を深めて、適切な準備ができるようにしましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
名義預金とは
名義預金とは、家族など他人の名義で名義人以外の人がお金の管理する銀行口座(預金)のことです。例えば、祖父母が子どもや孫の名前で口座を開き、その口座にお金を預けている場合や、親が子どもの名前で口座を作り、そこにお金を預けている場合などです。
また、亡くなった方(被相続人)が配偶者の名前で口座を管理している場合も、その口座は名義預金とされます。名義預金は、名義人ではなく被相続人の資産とみなされ、相続税の対象となるため注意が必要です。
名義預金と判断されるケース
名義預金と判断されるケースや基準には、次のようなものがあります。
●預金の資金源が被相続人である場合
●預金を管理しているのが被相続人である場合
●名義人(または親権者)が預金の存在を知らなかった場合
●名義人(または親権者)が贈与を受けた認識がない場合
上記のようなケースでは、名義預金とみなされ相続税の課税対象となる可能性があるので、家族などの預金を管理しているなど心当たりのある人は、ぜひ確認してみてください。
名義預金について税務調査で指摘される可能性がある
「子どもや孫の名義なので、名義預金だとしてもバレないのでは?」と考えるかもしれませんが、税務調査において相続税の対象と指摘される可能性があります。なぜなら、税務署は亡くなった人や親族の資金の動きを徹底的に調査し、広範な調査権限を持っており金融機関への情報開示要求などから情報が入手できるからです。
また、国税庁の「令和3事務年度における相続税の調査等の状況」によれば、令和3事務年度の申告漏れ相続財産の総額が2187億円であり、そのなかで「現金・預貯金等」が705億円に上り、全体の約3割を占めています。そのため、税務署も力を入れて現金や預金を調査することが容易に想像できます。
【PR】「相続の手続き何にからやれば...」それならプロにおまかせ!年間7万件突破まずは無料診断
名義預金と判断されないための対策方法
名義預金と判断されないための対策には、贈与契約書の作成、贈与税の申告、名義人による預金口座の管理などがあります。これらの対策を実行することで、名義預金と判断されるリスクを軽減できるため、できるだけ早い段階でこれらの対策を講じることをおすすめします。
本項では、名義預金と判断されないための3つの対策について詳しく見ていきましょう。
贈与契約書の作成
贈与契約書を作成しておくことにより、贈与の成立が客観的に証明され、名義預金とみなされるリスクが低くなります。贈与は口頭でも成立することがありますが、後でトラブルにならないよう内容を文書化しておくことも重要です。
贈与税の申告
贈与額が基礎控除の110万円を超える場合、贈与税の申告を行うことにより、贈与の実施を客観的に証明できます。贈与を受けた場合、翌年の2月1日から3月15日までの期間に、住所地の税務署に対して申告書を提出する必要があります。この場合の申告者は、贈与を受けた人です。
名義人が預金口座を管理
親が子ども名義口座からお金を引き出すなどの管理している場合は、名義預金とみなされるリスクが高くなります。名義人が預金の管理をするようになれば、名義預金と認識されるリスクが低くなります。子どもが成人したなど、できるだけ早いタイミングで口座の存在を名義人に伝え、印鑑や通帳を名義人に管理してもらうようにしましょう
名義預金を申告しなかった場合のペナルティー
名義預金などの相続財産について申告を怠った場合、以下のようなペナルティーが課せられる可能性があります。
●過少申告加算税
●無申告加算税
●重加算税
●延滞税
例えば、相続税の申告を期限内に行わなかった場合、無申告加算税が課せられます。無申告加算税として、支払う相続税のうち50万円までの部分には15%、50万円を超える部分には20%が課税されます。
相続税に関する名義預金の申告を忘れずに行いましょう!
名義預金は、被相続人の財産とみなされて、相続税の課税対象となります。そのため、祖父母が子どもや孫の口座を作って預金する場合などの場合には、注意が必要です。また、名義が異なるからといって相続税の申告を怠ると、税務調査によって指摘を受け、ペナルティーなどが課される可能性があることに注意しましょう。
相続時に名義預金が見つかった場合は、しっかりと相続税の申告を行うようにしましょう。
出典
国税庁 令和3事務年度における相続税の調査等の状況
国税庁 相続税の申告のしかた(令和5年分用)
国税庁 確定申告を間違えたとき
国税庁 確定申告を忘れたとき
国税庁 延滞税について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー