更新日: 2023.11.17 その他相続

自分が亡き後のペットが心配…。そんな場合の相続「負担付遺贈」とは?

自分が亡き後のペットが心配…。そんな場合の相続「負担付遺贈」とは?
ペットのいる家庭は日本に多く存在します。2022年のデータを見てみると、日本全国で犬は約705万頭、猫は約883万頭が飼育されています。また、その平均寿命は犬で約15年、猫で約16年です(一般社団法人ペットフード協会より)。
 
そんななか、パートナーとしてペットを飼ったのはいいけれど、自分が亡き後のペットの世話がどうなるのか心配という声も聞かれます。今回は、自分が亡き後のペットの世話を引き継いでもらうための「負担付遺贈」について説明します。
小久保輝司

執筆者:小久保輝司(こくぼ てるし)

幸プランナー 代表

30数年の営業経験と金融・経済の知識をマッチング納得いくまでお話しさせていただきます。

財産を渡す方法は

財産を渡す方法には、おもに「相続」・「遺贈」・「贈与」の3種類があります。
 
(1)「相続」とは、死亡した人が、遺(のこ)した財産を他の人に引き継ぐことです。民法では決められた相続人(親族)を法定相続人と言い、相続できる順位が決まっています。
 
(2)「遺贈」とは、遺言によって特定の人に財産を与えることです。遺贈には、包括遺贈(財産を割合で遺贈)と特定遺贈(財産を特定し遺贈)があり、また、遺言を実行する「遺言執行者」を決められます。
 
(3)「贈与」とは、特定の相手に無償で財産を譲ることです。贈与には「生前贈与」「死因贈与」「負担付贈与」があり、贈与者と受贈者が合意する契約となります。
 
その他に、負担付贈与と死因贈与を組み合わせた「負担付死因贈与」があります。これは死亡と同時に効力が発生します。そして相続・遺贈・死因贈与には「相続税」が、生前贈与には「贈与税」がかかります。
 

負担付遺贈とは

「負担付遺贈」とは、財産を残す遺贈者が、財産を受け取る受遺者に対して、財産を相続させる代わりに一定の債務(義務)を負担させる遺贈のことです。
 
「負担付遺贈」は、遺言者の死亡後、配偶者の世話をしてもらうことや、ペットの世話をしてもらうことなどを条件に遺贈することです。
 
実際に遺言で財産を受け取れるのは、人または法人です。ペット自体は、あくまで制度上ですが、物として扱われるため、財産を受け取ることはできません。そこで「負担付遺贈」という形がとられます。
 
「負担付遺贈」は、さきに出てきた「負担付贈与」と、財産を贈与するという点では同じですが、契約による行為か単独行為によるかが主な違いです。
 
(1)「負担付贈与」は贈与者と受贈者の両者の契約による合意が必要となります。贈与ですので、存命中でもペットの世話をお願いすることが可能です。ただし、契約解除には両者の合意が必要です。
 
(2)「負担付遺贈」は遺言書の作成(単独行為)で可能となります。したがって、遺言なので存命中はいつでも撤回できます。
 

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負担付遺贈の注意点は

負担付遺贈の注意点としては、


(1)受遺者が負担を履行しない可能性がある
(2)受遺者は遺贈を放棄できる
(3)受遺者の負担の限度がある 

などです。したがって、「遺言執行者」を選任し、受遺者の負担の履行など監督をしてもらうなどの対策が必要です。
 

まとめ

孤独死なども、あちこちでニュースになる中、自分の死後、大切なペットの面倒を見てもらうのは大切なことだと思います。
 
依頼する相手は、相続人・友人知人または動物ホームなどいろいろあると思いますが、大切なのはペットとの相性だと思います。相性のよいパートナーを探しましょう。
 
また費用の問題もありますので、どのくらいかかるか目安を立てて、信託銀行の「ペットのための遺言信託」や「ペット信託」などを利用することも一つの方法です。
 

出典

一般社団法人ペットフード協会 令和4年全国犬猫飼育実態調査
 
執筆者:小久保輝司
幸プランナー 代表

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