更新日: 2019.08.07 遺言書

遺言書にも「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類あります。

遺言書にも「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類あります。
遺言書を書こうと思っても、実際はどのような形式で書いたらいいのか悩んでしまいます。とくにせっかく作成した遺言書に不備があり無効になってしまっては、思い通りの相続ができなくなります。
遺言書にはいくつかの種類がありますが、大きく分けて自筆証書遺言と公正証書遺言の二つが基本で、それぞれに長所と短所があります(この二つ以外にも、中間的なものとして秘密証書遺言がある)。
どちらの方法を選ぶかは、それぞれの特徴を理解したうえで決めてください。
黒木達也

執筆者:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

自筆調書遺言

本人が自筆で記載するもので、遺言の内容の全文と日付を手書きで作成し、署名と捺印をします。
用紙の種類・サイズ、筆記用具の選択は自由ですが、必ず自筆で書く必要があり、パソコンなどで作成したものは無効になります。
自筆調書遺言のメリットは、①自宅で作業ができコストがかからない、②記載内容が秘密にできる、③必要に応じて書き直しも出来る、があげられます。反対にデメリットとしては、①書式を間違えると無効になる、②誰からも発見されない可能性がある、③家庭裁判所に検認を受ける手続きが必要、があげられます。
 

公正証書遺言

本人が公証役場へ出向き、遺言の内容を口頭で伝え、それを公証人に記載してもらい、本人、2人の証人、公証人が内容を確認のうえ署名・捺印をします。これを公証役場で保管してもらい、相続が発生した場合に公開します。病気などで身体的自由が利かない人は、公証人を自宅や病院へ呼んで作成することができます。
この場合、2人の証人は第三者に依頼するのが原則です。ただし作成者の親族にあたる人や、公証人の親族、また未成年者は、この証人になる資格がありません。
公正証書遺言のメリットは、①保管場所が決められ安全性が高い、②記載漏れなどで遺言状が無効になることはない、③家庭裁判所の検認が必要ない、があげられます。反対にデメリットとしては、①他人が介在するので秘密が保ちにくい、②2人の証人が必要、③作成には手数料がかかる、があげられます。

自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらを選ぶかは、遺言を書く人の判断です。どうしても他人に知られたくない内容があるならば、自筆証書遺言を、もし記載ミスなどで思い通りに相続ができない危険性を意識するなら、公正証書遺言を選択するといいでしょう。

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