更新日: 2023.12.05 贈与

親が奨学金「400万円」を代わりに払ってくれた! でも「贈与税」の対象になるって本当!? 非課税にする方法はあるの?

執筆者 : 辻本剛士

親が奨学金「400万円」を代わりに払ってくれた! でも「贈与税」の対象になるって本当!? 非課税にする方法はあるの?
子どもの奨学金の返済負担を少しでも軽減してあげたいと思う親は多いでしょう。資金に余裕があれば奨学金の肩代わりを検討することもあるかもしれません。しかし、肩代わりの仕方によっては贈与税が発生する可能性があります。
 
本記事では、奨学金の肩代わりが贈与税の対象となる事例と、肩代わりする際に贈与税が発生しない方法を解説します。
辻本剛士

執筆者:辻本剛士(つじもと つよし)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

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奨学金を親が肩代わりすると贈与税の対象になる

まず、原則として子どもの奨学金を親が肩代わりする行為は贈与と見なされ、贈与税の対象となります。本来、親が子どもの学費や養育費を負担すること自体は贈与税の対象とはなりませんが、親が肩代わりする奨学金については、子どもの債務として扱われ、贈与税が適用されます。
 
贈与税は1月1日~12月31日の期間に発生した個人間の贈与の総額から、基礎控除額である110万円を差し引き、その残額に税金がかかる仕組みです。そのため、年間に110万円を超える資金を奨学金の返済として子どもに贈与する場合は、贈与税が発生してしまいます。
 

贈与税が発生する具体例

例えば、親が23歳の子どもへ奨学金の返済のために400万円の資金を贈与した場合、贈与税は実際いくらになるか見ていきましょう。今回のケースでは親から子どもへの贈与となり、子どもの年齢が18歳以上のため、贈与税率は図表1の「特例税率」を適用して計算します。
 
図表1
 

 
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
図表1をもとに贈与税額を計算します。
 

【課税金額】

400万円(贈与額)-110万円(基礎控除)=290万円

 

【贈与税額】

290万円×15%(税率)-10万円(控除額)=33万5000円

 
贈与税額は33万5000円となります。このように安易にまとまった資金を子どもに贈与すると、数十万円もの贈与税が課されることになります。
 

贈与税をかからなくする方法はある?

では、贈与税を課されずに奨学金を肩代わりするにはどうすればよいのでしょうか。対策として、数年に分けて110万円以下の贈与をすることが考えられます。暦年課税の場合は、1月1日~12月31日までの期間に贈与された金額が110万円以下であれば贈与税がかかりません。
 
例えば、先ほどの400万円を一括贈与したケースでは、一括贈与するのではなく、100万円を4年に分けて贈与するのが1つの策といえます。そうすることで、毎年の贈与額を110万円以下に抑えられ、4年で奨学金を完済することが可能です。
 

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奨学金ではなく教育ローンを活用するのも選択肢の1つ

奨学金を親が肩代わりすると贈与税の対象となり、年間110万円以上を贈与してしまうと贈与税が課されます。1つ考えられる策は、110万円以内の贈与を数年に分けることです。
 
そうすることで、毎年の贈与額を110万円以下に抑えられ、4年で奨学金を完済できます。また、これから子どもの学費などでまとまった資金が必要となる場合は、奨学金の代わりに「国の教育ローン」を選択する方法もあります。
 
「国の教育ローン」は日本政策金融公庫が扱っているローンです。借入上限は学生1人当たり350万円まで、金利も2.25%とカードローンなどの金利と比較して低く設定されています。返済期間も最長18年と長期間かけて返済できるため、毎月の返済負担も軽減できます。
 
その他にも民間の金融機関が提供する教育ローンもあります。子どもに債務を負わせたくない場合などはこちらの制度を検討してみてもよいかもしれません。
 

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

日本政策公庫 教育一般貸付(国の教育ローン)

 
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

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