更新日: 2019.08.07 相続税

<相続税対策>相続税のかからない財産も。相続額を減らす知恵

<相続税対策>相続税のかからない財産も。相続額を減らす知恵
土地・家屋、金融資産などは、原則として相続税の対象になりますが、相続税のかからない財産もあります。また借入金などの債務は、相続の際に控除され、相続財産を減らすことができます。被相続人の死亡時点で混乱したため、相続税の申告にあたって、こうした遺産がどのくらいあるかを点検しましょう。
黒木達也

執筆者:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

相続税のかからない財産は

金融資産や不動産を相続すると、相続税がかかります。しかし、実際に相続税の対象にならない財産もあります。決して多くはありませんが、以下のものが該当します。基本的には。葬儀に関連して入金のあるものと、寄付にかんれんするものです。
1)祭祀用具の購入費
具体的には、墓所や墓石の購入費、仏壇・神棚・位牌などの購入費には、相続税はかか
らない非課税財産です。ただし、墓所や墓石などはかなり高額になるため、節税効果は
十分にあります。ただし生前に購入しておく必要があります。明らかに投資目的と判断
される高額な金の仏像などは、この対象になりません。
2)葬儀時に得た金銭>
3)具体的には、葬儀の際に受け取った金銭です。参列者から受け取った香典、花輪代、弔慰金などが対象です。ただし、常識を超えた高額な香典や弔慰金は認められません。
4)公益法人等への寄付
国や地方自治体が設立した公益法人、学術や文化交流を目的に設立された特定公益法人に対する寄付は、課税されません。ただし、寄付した時点から2年以内にその組織がなくなると、相続税の申告をやり直す必要が出てきます。

債務は税制控除の対象に

もし被相続人に、個人的な借入金や未払いの税金などの債務があれば、相続財産から差し引くことができます。これを「債務控除」といいます。控除対象は被相続人が、死亡時点で負っていた債務が対象になります。例えば、住宅ローン・教育ローンなど各種のローンの残金、銀行からの借入金、電気・ガスなど公共料金の未払い分、固定資産税など未払いの税金、医療機関などへの未払い分、借金保証人としての保証債務の未返還分、といったものが債務控除に該当します。
これらの債務は、相続人が引き継ぐことになるため、相続財産から控除できます。後から申告し直すことは大変ですので、申告前にきちんと債務の額をチェックしましょう。かりに債務の額が多く、相続財産の金額を上回るようなケースは、相続税がかかりません。

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葬儀費用も控除の対象

葬儀に関係する具体的な費用も、控除対象になります。具体的には、通夜や告別式の会場費、火葬や埋葬にかかわる費用、利用したクルマ代、故人の職業などに応じた戒名にかかる費用、祭祀者への謝礼、遭難死や事故死に際して支払った捜索費用や遺体運搬費などがこれに該当します。
しかし、対象になるのは直接葬儀の際にかかった分だけで、その後に発生する分は対象外です。ですから、香典返しの費用、初七日や四十九日など各種法要にかかった費用は、対象になりません。また墓地や墓石も後で購入した場合は、控除の対象にはなりません。

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