子どもが来春進学する予定です。親から「300万円」援助すると言われましたが「贈与税」はかかりますか? 入学金や学費なら非課税でしょうか?
配信日: 2023.12.24
しかし方法を間違えると「贈与税」がかかり、せっかくの援助金が減ってしまうことがあります。本記事では、このような援助を受けるときに気を付けたいポイントを解説します。
執筆者:根本由佳(ねもと ゆか)
FP2級、中小企業診断士
贈与税の基本的な非課税枠は「110万円」
贈与税とは、他人からお金や財産などをもらったときにかかる税金です。通常の贈与の場合、1月から12月の1年間(暦年)で受ける金額が合計110万円までは非課税、超える場合は超過分について贈与税が課されます。
もし「300万円」を一括でもらった場合、300万円-110万円=190万円に贈与税がかかることになります。税率は、贈与者と受贈者(もらう人)の関係と贈与金額で変わります。
教育資金のときは特例がある!
贈与の目的が教育資金の場合、一定の条件を満たせば年間110万円の枠を超えて非課税となる特例があります。
・受贈者が30歳未満
・贈与者が直系尊属(親、祖父母など)
・受贈者の前年の合計所得が1000万円以下
教育資金の用途にも条件があり、次の用途にのみあてることとなっています。
・小学校、中学校、高等学校、大学、大学院、幼稚園、保育園、認定こども園にかかる費用
・入学金、授業料、入学時の試験検定費、修学旅行費、学校給食費など学校などに直接支払われる費用
・学習塾やそろばん、水泳などの指導を受けるときに指導者に支払われる費用
・学校や指導のときに必要な物品購入費や施設費
・通園や通学などにかかる費用(定期券など)
・留学など海外の教育施設にかかる費用
一方、教育資金の非課税枠は下記のとおりです。
・1人の受贈者について贈与の合計が1500万円まで非課税
・前記のうち、学校などに直接支払われる費用は1500万円まで。学校以外の費用は500万円まで
贈与は上限の1500万円に達するまで複数年にわたり何度でも受けることができるので、年間「110万円」の基本的な非課税枠より大きな節税効果があります。
・受贈者が30歳未満で用途が学費など教育資金であるとき→教育資金贈与の非課税枠1500万円
・受贈者の年齢に関係なく用途も決まっていないとき→暦年贈与の非課税枠110万円
なお教育資金贈与と暦年贈与は併用が可能です。
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祖父母からの教育資金「300万円」の贈与は非課税! ただし注意点がある
今回の「300万円」の贈与の場合、祖父母(贈与者)が子ども(受贈者)の直系尊属であること、入学金や授業料など学校に支払う費用にあてること、教育資金の1500万円の非課税枠内の金額であることから、非課税にすることができます。ただし、この制度を利用するには注意点があります。
まず特定の手続きが必要です。非課税だからといってそのまま現金をもらう、銀行口座に振り込んでもらうなどでは非課税の対象となりません。手続きは次のとおりに行います。
・贈与者と受贈者の間で贈与契約書を作る
・銀行や証券会社など金融機関で教育資金を管理する専用の口座を開設する
・金融機関に「教育資金非課税申告書」を提出する
教育資金非課税申告書は専用口座を作成した金融機関から書類をもらい、必要事項を記入して金融機関に提出します。これに基づいて金融機関が非課税の手続きを進めます。
またこの制度に基づいて贈与されたお金は教育資金のみに使い、受贈者の生活費や娯楽費にあてることはできません。子どもが小遣い代わりに使うことはできません。さらに、卒業時点でお金が余った場合は贈与税が課されることがあります。
まとめ
祖父母から孫への学費援助には、贈与税の非課税枠があります。ただし、非課税枠を利用する際は、所定の手続きを確実に行うこと、お金の用途を明確にして計画的に使用することが重要です。上手に非課税枠を使って、学費援助を受けましょう。
出典
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
文部科学省 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について
執筆者:根本由佳
FP2級、中小企業診断士