養親よりも先に養子が亡くなっていた。養子の子は相続人になることができる? 養子縁組みと代襲相続の問題とは?

配信日: 2018.10.13 更新日: 2019.01.10

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養親よりも先に養子が亡くなっていた。養子の子は相続人になることができる? 養子縁組みと代襲相続の問題とは?
相続の発生時、相続人となるはずだった者が一定の事由に該当し、相続する権利を失っていた場合、その者に代わって、その者の子が相続することのできる「代襲相続」という仕組みがあります。
 
では、相続する権利を失っていた相続人が養子であった場合、その養子の子は「代襲相続」をすることができるのでしょうか。
 
柘植輝

Text:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

養子の子であるCさんは代襲相続できる? できない?

今回、Aさんという方が亡くなりました。
 
Aさんには養子であるBさんがいたのですが、BさんはAさんよりも先に亡くなってしまっていました。
 
Bさんには実の子であるCさんがいます。
 
さて、このような事例でCさんはBさんを代襲し、Aさんの相続人となることができるのでしょうか。
 
・Aさん・・・被相続人(亡くなった方)でBさんの養親
・Bさん…Aさんの養子(既に亡くなっていた)
・Cさん…Bさんの実子
 

Cさんの生まれた時期はいつ?

さて、先ほどの問題の答え合わせをしてみましょう。
 
答えは「Cさんの出生時期がAさんとBさんの養子縁組みの前か後かによって異なる」となります。では、Cさんの出生が養子縁組みの前と後、それぞれに分けて確認していきましょう。
 

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Cさんの出生が養子縁組み後の場合

CさんがAさんとBさんの養子縁組みの後に生まれてきた場合、Cさんは代襲相続により、Aさんの相続人となることができます。
 
では、その根拠となる民法727条を確認してみましょう。
 

民法727条

養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組みの日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。
 
そう長くはない条文なのですが、あまりわかりやすいとは言えません。そこで、今回の事例に即して条文を読み替えてみます。
 
すると次のような内容になります。
 
Bさんは養子縁組みの日からAさんの直系卑属(簡単に言うと子)となった。
 
そのため、Aさんの直系卑属(子)であるBさんの子として生まれてきたCさんもAさんの直系卑属(孫)となり、通常どおり代襲相続することができる。
 
ということになるのです。
 

Cさんの出生が養子縁組みより前の場合

この場合、Cさんは代襲相続することができません。
 
なぜなら、AさんとBさんの間に親族としての関係が発生していても、AさんとCさんとの間にはそれが発生していないからです。
 
つまり、BさんはAさんの直系卑属(子)となっていても、CさんはAさんの直系卑属(孫)にはなっていないということです。
 
この結論について少し不公平に感じられるかもしれませんが、昭和7年に行われた古い裁判の判例においても次のように判断されています。
 
・養子縁組み前に生まれた養子(Bさん)の子(Cさん)は養親(Aさん)との間に血族関係が発生しない
・養子縁組み後に生まれた養子(Bさん)の子(Cさん)は、養親(Aさん)と血族関係が発生する
 
実際、民法727条にも、「養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組みの日から…」と定められており、養子の子についてまでは言及していません。
 
ただ、BさんだけでなくCさんもAさんと養子縁組みをしていた場合、CさんはAさんの相続人として相続することが可能です(この場合は代襲相続ではなく通常の相続となります)。
 

養子の子の代襲相続は出生のタイミングによって結論が異なります

被相続人の子が養子であった場合、その養子の子が代襲相続することができるか否かは生まれたタイミングによって異なります。
 
養子だけでなく、その子にも確実に財産をのこしたいのであれば、相続の専門家に相談した方がよいでしょう。
 
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士

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