更新日: 2024.01.23 贈与

父が孫に甘く「来年は成人だから」と、お年玉に100万円をくれました。ほかの親戚からもらったお年玉と合わせると「110万円」を超えるのですが、贈与税はかかりますか? お年玉なら非課税でしょうか?

父が孫に甘く「来年は成人だから」と、お年玉に100万円をくれました。ほかの親戚からもらったお年玉と合わせると「110万円」を超えるのですが、贈与税はかかりますか? お年玉なら非課税でしょうか?
新年の風物詩、お年玉。子どもの頃はお年玉にワクワクし、何を買おうか胸を膨らませたという思い出のある人は多いでしょう。そんなお年玉ですが、もしも思いがけない金額を受け取った場合、「贈与税」が頭をよぎる人もいるのではないでしょうか。
 
2022年度から成人の年齢が20歳から18歳に引き下げられました。お年玉をあげる年齢はいつまでと決まっているわけではありませんが、ここでいう「成人」を、お年玉をあげる年齢の一区切りと考えることも多いでしょう。「成人前の最後のお正月」と、奮発してもらったお年玉を受け取った場合、相続税の対象となるのでしょうか。
渡辺あい

執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)

ファイナンシャルプランナー2級

110万円を超えると贈与税がかかる

贈与税は、1年間(1月1日から12月31日まで)に譲り受けた財産の合計額に対して、基礎控除額である110万円を差し引いた残りの額に対してかかるもので、受け取った本人に対して課税されるものです。また贈与契約は、贈与する人と受け取る人との合意で成立するので、書面がなくても口約束や実際の金品・物品の受け渡しのみで有効となります。
 

お年玉に贈与税はかかる?

実は贈与の中には贈与税がかからないものがあります。贈与税の対象にならないものには次の12のものがあります。

1 法人からの贈与により取得した財産
 
2 扶養義務者による生活費や教育費に充てるための財産
 
3 宗教、慈善、学術など公益を目的とする事業に使われることが確実なもの
 
4 奨学金の支給を目的とする特定公益信託から交付される金品
 
5 精神や身体に障害のある人またはその人を扶養する人が支給される給付金を受ける権利
 
6 公職選挙法の規定による報告がなされたもの
 
7 特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権
 
8 個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの
 
9 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金
 
10 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金
 
11 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金
 
12 相続や遺贈により財産を取得した人が、相続があった年に被相続人から贈与により取得した財産

お年玉は「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの」のうち「年末年始の贈答」に含まれると考えられるため、贈与税の対象とはなりません。
 
今回のケースのようにお年玉が100万円という金額であっても、社会通念上「相当である」と認められれば、贈与税の対象となることはないでしょう。
 

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数年間のお年玉をまとめて渡す場合は注意が必要

お年玉に贈与税がかからないとはいえ、お年玉を親が管理している場合は注意が必要です。例えば、数年間にわたってお年玉を親が管理し、成人を機にまとめて子どもに渡す際に総額で110万円を超えていると贈与税の対象となります。贈与税を節税したい場合は110万円以下の金額に分けてこまめに渡す、あるいは「教育費」や「結婚・子育て資金」として渡すなど工夫をしましょう。
 

非課税のお年玉は有効活用しよう

通常であれば1年間で110万円を超える贈与を受けた場合は贈与税の対象となり、所定の税金を納める必要があります。しかし、「お年玉」という名目であれば、社会通念上相当と認められる範囲内ではありますが、非課税で受け取ることができるのです。ただし、あまりにも高額で「社会通念上相当」であるか判断できない場合は税務署に相談をすることをおすすめします。
 

出典

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
 
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級

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