更新日: 2024.02.06 贈与

叔母が進学費用「500万円」出してくれるそうです。親じゃないので「贈与税」はかかりますか? 非課税にすることもできるのでしょうか…?

執筆者 : 佐々木咲

叔母が進学費用「500万円」出してくれるそうです。親じゃないので「贈与税」はかかりますか? 非課税にすることもできるのでしょうか…?
「扶養義務者に出してもらう進学費用に贈与税はかからない」ということを、知っている人は多いのではないでしょうか。子どもを育てる責任のある親が、その子どもの学費を出すのは当然だからですね。ただ、これが親ではなく「叔母」だった場合はどう取り扱われるのでしょうか。本記事で解説します。
佐々木咲

執筆者:佐々木咲(ささき さき)

2級FP技能士

贈与税がかからないケース

人から人へ財産の移転があった場合には、原則として全ての財産に対して贈与税がかかります。ただし、その財産の性質や贈与の目的などから見て、贈与税を課することが適さないと認められるケースに対しては、贈与税がかからないことになっています。
 
そのケースの中に、「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」があります。よって、扶養義務者が出した進学費用に対して贈与税はかかりません。
 
なお、教育費とは教育上通常必要と認められる学費、教材費、文具費などをいい、義務教育費に限定されません。
 

叔母は扶養義務者なのか?

次は、叔母が扶養義務者に該当するのか否かです。これで叔母が出した進学費用に贈与税がかかるか否かが決まります。結論を先にいうと、叔母は基本的に扶養義務者に該当しません。
 
民法第877条に定められている扶養義務者は、以下の通りとなっています。

・配偶者
 
・直系血族及び兄弟姉妹
 
・家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった3親等内の親族
 
・3親等内の親族で生計を一にしている人

叔母は3親等内の親族ではあるので、家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となっている場合、生計を同じくして生活している場合には扶養義務者に該当しますが、それ以外の関係性であれば扶養義務者になりません。
 
つまり、単に生活を別にしている叔母から進学費用を出してもらったのであれば、贈与税の対象になるということです。
 

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500万円にかかる贈与税

叔母に出してもらった進学費用500万円にかかる贈与税を計算してみましょう。
 
(500万円-基礎控除110万円)×20%-25万円=53万円
 
なんと、500万円の1割を超える53万円の贈与税がかかってしまいます。
 
ちなみに、贈与税率には「一般税率」と「特例税率」の2パターンが設けられています。両親や祖父母などの直系尊属からの贈与に対しては、一般税率より優遇された特例税率が適用されますが、叔母は直系尊属ではないことから一般税率となります。
 

叔母からでも贈与税がかからない方法

要は500万円を1回で贈与しなければよいのです。贈与税には年間110万円の基礎控除が設けられているので、110万円までの贈与であれば贈与税はかかりません。本記事では進学費用ということなので、もし大学4年分の学費ならば1年ごとに100万円ずつもらってはどうでしょうか。
 
また、基礎控除は受贈者一人ひとりに設けられているので、子どもの親(叔母の兄弟姉妹)にも贈与するという手もあります。
 

まとめ

叔母から出してもらった進学費用は贈与税の対象になります。500万円を1回で受け取ったのであれば53万円の贈与税がかかってしまうので、贈与税がかからないようにしたければ、数年に分ける、受贈者を分けるなどの工夫を検討しましょう。
 

出典

国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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