親が亡くなったら行うことは? 必要な手続きや書類を時系列順に解説

配信日: 2024.02.08 更新日: 2024.02.09

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親が亡くなったら行うことは? 必要な手続きや書類を時系列順に解説
「親が亡くなったらやることって何があるの?」、「親が亡くなったら市役所に届出が必要なの?」いざという時、このような疑問が出る方も多いのではないでしょうか?
 
親が亡くなったときにさまざまな手続きをしなければならないことは理解できますが、具体的にどのような手続きを行うのか、いつまでに行えばいいのか、疑問に思っている方は少なくないでしょう。
 
しかし、親が亡くなったときには多くの手続きを行わなければならないため、どのような手続きが必要なのか理解しておくことが大切です。
 
本記事では、親が亡くなったときに行うことを時系列順に紹介し、必要な書類があるのかどうかについても解説していきます。親が亡くなったときのために知識をつけておきたいと考えている方は、ぜひ最後まで記事をご覧ください。
 
菅野 正太

監修:菅野 正太(かんの しょうた) / 弁護士

上智大学法学部法律学科 卒業
早稲田大学大学院法務研究科 卒業。
弁護士法人永総合法律事務所の勤務弁護士

中小企業法務、不動産取引法務、寺社法務を専門とする弁護士法人永総合法律事務所の勤務弁護士。
第二東京弁護士会仲裁センター委員、同子どもの権利委員会委員

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親が亡くなったら必要な手続き一覧

まずは時系列でどのようなことをしなくてはならないのか確認しましょう。以下、一例として、図表1のようなタイムスケジュールをご紹介します。

図表1

筆者作成

親が亡くなったときには、次のようにさまざまな手続きが必要です。

●通夜や葬儀のような近親者とのお別れの手続き

●遺体を埋葬するための手続き

●行政サービスの停止や変更の手続き

●私的企業サービスの停止や変更の手続き

●税金に関する手続き など

親が亡くなると各方面への手続きが必要であり、手続きによっては期日が決められているものもあります。また、提出しなければならない書類や費用が必要である手続きもあります。

親が亡くなったときには多くの手続きが必要であるため、どのような手続きが必要であるか理解しておくことが大切です。

ここからは、親が亡くなったときに行う手続きを時系列順に解説していきます。

親が亡くなって1日目に行うこと

親が亡くなって1日目に行うこととしては、次のようなものがあります。

●医者などから死亡診断書の発行を受ける

●親族などに連絡する

●葬儀社を決めて葬儀内容を打合せする

●遺体を搬送する

それでは、親が亡くなって1日目に行っている手続きについて詳しくみていきましょう。

医者などから死亡診断書の発行を受ける

親が亡くなったときには、まず「死亡診断書」を受け取らなければなりません。

死亡診断書は病院の主治医などから受け取ります。病院外で亡くなった場合、死亡診断書ではなく、「死体検案書」を受け取ります。

死亡診断書も死体検案書も亡くなった人に近しい人であれば、受け取ることが可能です。
どちらの書類も今後多く利用するため、複数枚のコピーを取得しておきましょう。

親族などに連絡する

親が亡くなったときに、親族などの近親者への連絡を行いましょう。

親がどのような人と付き合っていたのかは亡くなった後にはわからないことがあるため、生前に連絡すべき人を決めておくとよいでしょう。近親者に対して連絡漏れがあると、トラブルになる可能性があるため注意しなければなりません。

連絡するときに通夜や葬儀の時間が決まっていたのであれば、連絡時に通夜や葬儀の日時も伝えておきましょう。

葬儀社を決めて葬儀内容を打合せする

親が亡くなるとすぐに通夜や葬儀を行う必要があるため、葬儀社と打合せし、どのような通夜や葬儀をするのか決定します。

通夜や葬儀を決定する場合、プランや費用を選択する必要があります。しかし、親が亡くなってすぐに通夜や葬儀のプラン・費用を決めるのは大きな精神的負担となるため、親と葬儀のことを話し合っておくとよいでしょう。

精神的な負担が大きすぎるときには、とりあえず遺体の安置先を決めるだけでも構いません。

遺体を搬送する

親が亡くなったときには、「遺体の搬送先」を決めなければなりません。

病院で亡くなった場合、数時間は遺体を安置してくれますが短時間であるため、遺体の搬送先を決めます。自宅で安置する場合は遺体を自宅に搬送し、葬儀社に安置するなら葬儀社に搬送します。

なお、病院から搬送するときには、入院費や治療費の精算が必要なケースも考慮し、支払いができる金銭を持参しておくことを忘れないようにしましょう。

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親が亡くなって2日目に行うこと

親が亡くなって2日目に行うこととしては、次のようなものがあります。

●自治体に死亡届を提出する

●自治体から火葬許可証を取得する

●通夜を執り行う

それでは、親が亡くなって2日目に行っている手続きについて詳しくみていきましょう。

自治体に死亡届を提出する

死亡届の届出期限は、亡くなった日から7日以内ですが、葬儀に必要な火葬証明書の関係があるため2日目には提出しておきましょう。

死亡届とは、死亡診断書や死体検案書と対になっている書類です。つまり、死亡診断書や死体検案書には、死亡届も兼ねているということです。具体的にいうと、1枚の書類の左側が死亡届、右側が死亡診断書もしくは死体検案書となっています。

死亡届を提出する先は、次のとおりです。

●亡くなった人の本籍地の市区町村

●死亡届を届け出る人の住所地を管轄する市区町村

●亡くなった人の死亡場所を管轄する市区町村

また、死亡届を提出するのは、次の人です。

1.親族(同居、非同居問わず)
2.同居している親族以外の人

3.家主や地主
4.後見人

自治体から火葬許可証を取得する

遺体を火葬するには、自治体から火葬許可証を取得しなければなりません。

火葬許可証は葬儀手続きに利用する関係上、死亡届と同時に提出するのが原則です。そのため、亡くなってから2日目に死亡届の届出とともに、火葬許可証の申請も行うとよいでしょう。

火葬許可証の申請をするときには、次の情報が必要になります。

●亡くなった人の本籍地

●亡くなった人の現住所

●火葬する火葬場

上記の情報がないと火葬許可証の申請ができないため、情報を事前に入手しておきましょう。

通夜を執り行う

葬儀社との段取りに問題がなければ、親が亡くなった次の日には、通夜を執り行うのが一般的です。

通夜では亡くなった人と近しい人だけを呼び、喪主が来賓者への挨拶などを行います。通夜で行うことは多くありますが、基本的に葬儀社の人が取り仕切ってくれるため任せてしまうとよいでしょう。

日本各地に通夜の風習もありますが、葬儀社の人であれば風習も熟知しているため安心して任せることができます。

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親が亡くなって3日目に行うこと

親が亡くなって3日目に行うこととしては、次のようなものがあります。

●葬儀を執り行う

●出棺し火葬場で火葬を行う

●火葬場で火葬許可証に押印してもらう

●初七日法要を執り行う

それでは、親が亡くなって3日目に行うことがどのような手続きなのか詳しくみていきましょう。

葬儀を執り行う

葬儀社との段取りに問題がなければ、親が亡くなって3日目には、葬儀を執り行うのが一般的です。

葬儀では多くの来賓者が訪れるため、受付や全体の流れなどを決めておかなければなりません。ただし、通夜と同じく葬儀の内容も葬儀社の人が取り仕切ってくれるため、どのような葬儀内容になるのか確認するだけでよいでしょう。

なお、通夜も葬儀も亡くなった人や残された人によっては2日目や3日目に行わないこともあります。

出棺し火葬場で火葬を行う

葬儀を終えたら、出棺し火葬場で遺体を火葬します。

火葬場で火葬するときには、火葬許可証が必要であるため、忘れないように準備しておきましょう。火葬場では火葬まで待たなければならないこともあり、順番が回ってきても1時間ほど火葬にかかります。時間的な余裕のない参列者がいないかどうか、配慮しておくことも大切です。

火葬場で火葬許可証に押印してもらう

火葬場で火葬したら、火葬場の押印がしてある火葬許可証を受け取ります。

火葬場の押印がしてある火葬許可証は、納骨時に必要となるため保管しておかなければなりません。火葬から納骨までには時間が空くため、火葬場の押印がしてある火葬許可証は無くさないよう、しっかりと保管しておきましょう。

初七日法要を執り行う

「初七日法要」を葬儀と同時に終わらせていない場合は、亡くなった日から7日目に初七日法要を執り行いましょう。

基本的に初七日法要は亡くなった日から7日目に行いますが、最近では葬儀と同時に終わらせてしまうことが多いようです。初七日法要に関しては、仏教の慣わしであり、宗旨宗派によってもその有無や、違いがあるので、わからない場合は近い親族や葬儀社などに聞いてみるのがいいでしょう。

なお、初七日法要とは、7日ごとに行う法要の1回目であり、故人の親族が集まりお経をあげてもらいます。初七日法要を執り行うには、お寺の手配なども必要ですが、葬儀と同じく葬儀社に手配を任せておけば大丈夫です。

親が亡くなって1週間前後に行うこと

親が亡くなって1週間前後で行うこととしては、次のようなものがあります。

●葬儀代を支払う

●葬儀代の領収書を取得する

それでは、親が亡くなって1週間前後に行っている手続きについて詳しくみていきましょう。

葬儀代を支払う

葬儀を終えたら、葬儀費用を葬儀社へ支払います。

葬儀費用の支払時期や支払方法は葬儀社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

なお、注意点として葬儀費用を故人の預貯金で支払うことは慎重に検討するべきです。この時点で相続手続きが終わって預貯金の名義が変更されていれば問題ありませんが、そこまで手続きは進んでいないでしょう。故人名義の預貯金を使うということは遺産を勝手に使うことになるため、他の相続人に事情を知らせないまま進めてしまうと相続手続き中にトラブルになる可能性がありますし、裁判例の中には、葬儀費用は喪主で負担すべきという考えもあるからです。なお、相続放棄の場面においては、やむを無い範囲で支出した常識的な額の葬儀費用は、相続財産からの支出を許容されている例もあります。

葬儀代の領収書を取得する

葬儀代を葬儀社に支払ったら、忘れずに葬儀代の領収書をもらっておきましょう。

葬儀代の領収書があれば、葬祭費の支給申請手続きを受けることができます。葬祭費は、亡くなった人が後期高齢者医療制度や国民健康保険に加入していた場合に受け取れます。

葬祭費の申請をするときには、葬儀代の領収書が必要となるため、きちんと保管しておきましょう。

親が亡くなって10日前後に行うこと

親が亡くなって10日前後に行うこととしては、次のようなものがあります。

●亡くなった人の本籍地で行う手続き

●亡くなった人の住所地で行う手続き

●年金事務所で行う手続き

●警察署で行う手続き

それでは、親が亡くなって10日前後に行っている手続きについて詳しくみていきましょう。

亡くなった人の本籍地で行う手続き

亡くなった人の本籍地では、亡くなった人の除籍謄本を取得します。

除籍謄本には死亡したことが記載されており、相続の手続きに必要となります。そして、取得が必要であれば戸籍謄本や住民票の除票も取得しておきましょう。戸籍謄本なども相続手続きに必要になるケースが多いため、除籍謄本とともに取得しておくことをおすすめします。

取得する枚数は、財産の名義変更などの手続きに何枚必要になるのかによって異なります。名義変更が必要な分の枚数が必要になるため、除籍謄本や戸籍謄本が何枚必要なのか事前に確認しておかなければなりません。

亡くなった人の住所地で行う手続き

亡くなった人の住所地で行う手続きは多く、次のような手続きを行わなければなりません。

・健康保険証の返還
・介護保険証の返還
・資格喪失届の提出
・送付先変更届の提出
・葬祭費支給申請用紙の取得
・高額療養費支給申請用紙の取得
・還付金の申請
・未払い手当等の申請 など

亡くなった人の住所地で行う手続きは多くありますが、人によっては手続きする必要のないものもあります。確認するのは大変ですが、自治体の窓口で1つ1つ確認していくほかありません。

各種手続きには10日や14日という期限が決められていますので、早めの手続きとそれぞれの期限の確認をするよう心がけましょう。

年金事務所で行う手続き

年金事務所では、次の手続きを行います。

●年金受給者死亡届の提出

●未支給年金の請求

●遺族年金の請求 など

手続きする年金事務所は、亡くなった人の住所を管轄する年金事務所です。

手続き内容は年金を受給していたのか、まだ年金を納めているのかによって異なります。どのような手続きをすればよいかは、年金事務所に確認してから進めていきましょう。

警察署で行う手続き

親が運転免許証を保有していた場合は、警察署に出向き運転免許証を返納します。

運転免許証を返納する警察署は、亡くなった人の住所を管轄する警察署です。また、運転免許証を返納するときには、死亡診断書や死体検案書が必要となるため、忘れずに持参しましょう。

親が亡くなって2週間前後に行うこと

親が亡くなって2週間前後に行うこととしては、次のようなものがあります。

●公共料金の解約や名義変更

●電話やインターネット、テレビの解約や名義変更

●生命保険の手続き

それでは、親が亡くなって2週間前後で行っている手続きについて詳しくみていきましょう。

公共料金の解約や名義変更

公共料金の名義が親になっているのであれば、必要に応じて解約や名義変更の手続きを行います。

公共料金の具体例は、次のとおりです。

・上下水道
・ガス
・電気

各種公共料金は、支払明細書に記載されている連絡先に電話などをしましょう。

ガスや電気は支払明細書が見つからずわからないということがあるかもしれません。そのようなときは、親の預貯金口座を見ればわかるケースもあります。口座引き落としになっていれば、支払先の名称が口座に記載されています。

電話やインターネット、テレビの解約や名義変更

親が亡くなったときには、電話やインターネット、テレビなど通信関係の解約や名義変更も必要です。

通信関係の解約・名義変更も公共料金と同じく、支払明細書や預貯金口座で連絡先を調べるとよいでしょう。

電話やインターネットに関しては通信機器をレンタルしており、解約と同時に返却しなければならないものもあります。もし返却が必要であれば、レンタル機器を郵送したり撤去工事に立ち会ったりしなければならないこともあるため注意しましょう。

生命保険の手続き

親が生命保険に加入している場合は、保険金の受取人が保険金の受け取りの手続きをしなければいけません。

保険金の受取手続きは、保険金の受取人しか行ないため、自分が保険金受取人ではない場合は手続き不要です。もし保険金受取人の記載がない生命保険の場合は、保険会社の規定によって保険金受取人が決まるため、誰が保険金受取人なのか確認しましょう。

親が亡くなって2週間経過後に行うこと

親が亡くなって2週間経過後に行うことは、次のとおりです。

●準確定申告し所得税を納税する

●固定資産税を相続人が納税する

●相続税の申告をして納税する

それでは、親が亡くなって2週間経過後に行っている手続きについて詳しくみていきましょう。

準確定申告し所得税を納税する

親が確定申告をしなければならない条件を満たしている場合、亡くなった年に該当する確定申告は相続人が行わなければなりません。

相続人が本人の代わりに行う確定申告を「準確定申告」といいます。なお、確定申告しなければならない条件例は、図表2のとおりです。

図表2

・所得が48万円以上あるフリーランスや個人事業主
・不動産所得や株式の譲渡所得がある人
・一時所得があり一定の金額以上の所得が発生した人
・退職所得を得ており退職所得の受給に関する申告書を提出していない人
・所得税の猶予を受けている人 など

※国税庁 確定申告が必要な方を基に作成

上記のような条件を親が満たしている場合、相続人が親に代わって確定申告をします。

確定申告をするには多くの会計書類が必要であるため、税理士に代行の依頼をしたほうがよいでしょう。

固定資産税を相続人が納税する

もし親が不動産を所有していたのであれば、親の名義で課税された固定資産税を相続人が納税しなければなりません。

固定資産税は、1月1日現在の所有者に対して1年分課税される税金です。そのため、親が亡くなった年に関しては、どうしても親の名義で固定資産税の課税通知書が届いてしまいます。親の名義の課税通知書だから納税しなくてもよいわけではなく、固定資産税の納税義務は相続人に移ることには注意しましょう。

固定資産税をいくら納税すればよいのかは、固定資産税の課税通知書を見ればわかります。もし固定資産税の課税通知書が見つからない場合は、親が所有している不動産の所在地を管轄する市区町村に問合せてみましょう。

相続税の申告をして納税する

親の遺産を相続したとき、相続税の納税が必要な人は相続の申告をし、相続税の納税まで済ませておかなければなりません。

相続の申告と相続税の納税は、自分のために相続があったことを知った日から、10ヶ月以内に行う必要があります。申告期間を超えてしまうと、無申告加算税や延滞税などが相続税に上乗せされるため注意しましょう。

また、相続税は現金納付が原則であるため、現金がない場合は不動産や株式などの遺産を売却して換金しなければならないケースもあります。このような場合、納税期間に余裕がなくなるはずなので、相続税が発生する予定の人は早めに対処する必要があります。

相続税に関連する内容は複雑であるため、必ず税理士などの専門家の指示の元、手続きを進めていきましょう。

親が亡くなったときの葬儀で香典はどうする?

親が亡くなったときの葬儀で、香典を出したほうがよいか悩む人もいるかもしれません。香典は葬儀の参列者が故人の親族に対して弔意を示す金銭であるため、葬儀を執り行う立場にある人は、逆に香典を受け取る立場にあります。

そして、香典を受け取る立場の人は、香典返しを用意するのが一般的です。香典返しとはその名のとおり、香典を頂いた人に対するお礼の品です。
香典返しは祝儀ではなく、不祝儀であるため、一般的には消えて無くなる品物を用意します。一例ですが、食べて無くなる「海苔」や「お菓子」や涙を拭って無くす「タオル」などです。

香典返しは香典として頂く金額の半額分用意することも多いのですが、人によって考え方は異なります。もし香典返しについてわからない場合は、葬儀社に香典返しまで用意してもらうとよいでしょう。

親が亡くなってから遺産相続するための流れ

親が亡くなってから遺産相続するための流れは、次のとおりです。

●遺言書がないか調べる

●相続人や相続財産の確定をする

●遺言書の検認を家庭裁判所で受ける

●相続放棄するか検討する

●遺産分割協議し遺産分割協議書を作成する

●相続税の申告をして納税する

●相続登記をして不動産の名義を変更する

●各種財産の名義を変更する

親の遺産を相続するには多くの手続きをしなければなりません。遺産を相続するときにも期日の定められている手続きがあるため、親が亡くなってから行う手続きと同時並行で行っていく必要があります。

期日を過ぎることのないよう、親の遺産を相続するときの流れも理解しておきましょう。

遺言書がないか調べる

親が亡くなったときには、まず遺言書がないか調べます。

遺言書の内容は原則として法定相続分よりも優先されるため、遺言書が見つかれば記載内容どおりに遺産を分割していくことになります。

また、法定相続人に配偶者、子供、亡くなった人の親がいる場合は遺留分が発生するため遺言書の内容が遺留分を侵害していないかどうか確認しなければなりません。遺留分を侵害している場合には、遺留分に相当する金銭を特定の法定相続人に渡す必要があります。

万一遺言書の記載事項が遺留分を侵害するような内容である場合、家庭裁判所に対して遺留分額侵害額請求を申し立てることができます。遺留分侵害額請求を申し立てる場合、遺贈を受けるはずだった人とトラブルになる可能性が高いため、弁護士に相談してから手続きを進めていきましょう。

 

相続人や相続財産の確定をする

親が亡くなったときには、遺言書を探すのと同時に、相続人や相続財産の確定を行います。

遺産を分割するには、相続人の数や相続財産の金額が確定していないと分けられません。相続人の数や相続財産の金額を確定するのは難しい作業であるため、司法書士などの専門家に依頼するべきでしょう。

親に隠し子がいたり、家族に話していない借金があったりするケースもあるため、相続人や相続財産の確定は慎重に行う必要があります。

仮に、遺産分割協議を進めた後、新たに相続人が見つかってしまうと、遺産分割協議はやり直しとなります。遺産分割協議は相続人全員で行う必要があり、特定の相続人を排除した形での遺産分割協議書は相続の効力がないからです。

遺言書の検認を家庭裁判所で受ける

遺言書が見つかった場合、公正証書遺言を除き、自筆証書遺言(遺言書保管制度を使っている場合は検認不要)、秘密証書遺言だった場合は家庭裁判所による検認が必要です。

検認とは遺言書がいつ見つかったのか、見つかった時点ではどのような内容が記載されていたのかを家庭裁判所が記録することです。自筆証書遺言と秘密証書遺言は検認を受けていないと、相続手続きができないため注意しましょう。

なお、遺言書の種類は大きく分けて3種類であり、図表3のような違いがあります。

図表3

自筆証書遺言 ・自筆で記載した遺言
・遺言書保管制度を利用しているものを除き、家庭裁判所の検認を受けなければ相続手続きに利用できない(効力の有無には影響しない)
・遺言の内容が法律上の要件を満たしていないことも多く、無効となることも多いため注意が必要
公正証書遺言 ・依頼者の希望を聞き取り公証人が作成する
・遺言書の作成に手数料がかかる
・家庭裁判所の検認をしなくても相続手続きに利用できる
・法律的な内容を満たしているため無効になるケースは少ない
秘密証書遺言 ・公証人役場で保管するものの作成者は自身
・家庭裁判所の検認を受けなければ相続手続きに利用できない(効力の有無には影響しない)
・公証人が内容を確認できないため法律上の要件を満たさず無効な遺言書も多い

筆者作成

このように見つかった遺言書の種類によって内容や手続きも変わります。遺言書の種類による違いを理解し、手続きを進めていきましょう。

相続放棄するか検討する

相続人と相続財産が確定したら、相続放棄をするか検討しましょう。

相続すると預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や連帯保証契約などマイナスの財産も受け継がなければなりません。ケースによってはプラスの財産よりもマイナスの財産のほうが多いこともあります。

もしマイナスの財産のほうが多い場合は相続しても意味がないため、家庭裁判所に対して相続放棄の申述を行い、相続しないことを選択することも可能です。

なお、相続放棄の申述は、自分のために相続が発生したことを知ってから、3ヶ月以内に手続きをしなければならないことには注意しましょう。

遺産分割協議し遺産分割協議書を作成する

遺言書が見つからなかったときには、相続人全員で遺産分割協議を行い、話し合いがまとまったら遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書は遺産分割協議の内容を記載した書類であり、亡くなった人の財産の名義を変更するときや、相続税の申告をするときに必要です。

相続税の申告をして納税する

遺産分割協議書の作成が終わったり、遺言書の記載内容通りの遺産分配が終わったら、各相続人は自分が相続した財産の申告を行います。

相続財産の評価額によっては相続税の納税が必要となります。相続の申告や相続税の納税は、自分のために相続があったことを知った日の翌日から、10ヶ月以内に行わなければなりません。

相続人や相続財産の確定から遺産分割協議書の作成、相続税の納税まで10ヶ月以内に行うことになりますが、10ヶ月というのは余裕がある期間ではないため、スケジューリングしながら進めていきましょう。

もし時間的な余裕がない場合は、税理士と連携している司法書士に手続きを依頼して進めていくことをおすすめします。

相続登記をして不動産の名義を変更する

遺産に不動産がある場合は、相続登記を行い不動産の名義を相続人名義に変更します。

相続登記をするときには、法務局に対し登記の申請をします。申請時には登録免許税を納税しなければなりません。

相続登記の際に必要な登録免許税の計算方法は、図表4のとおりです。

図表4

登録免許税 = 相続する不動産の固定資産税評価額 × 税率0.4%

※国税庁 No.7191 登録免許税の税額表を基に作成

また、法務局に相続登記を申請するときには、提出しなければならない書類もあります。提出書類は相続の内容によって異なるため、どのような書類を提出しなければならないのかは法務局に確認しておきましょう。

各種財産の名義を変更する

遺産を相続した場合、受け継いだ財産の名義を変更しなければなりません。

名義の変更が必要な財産の代表例は、次のとおりです。

・自動車
・株式
・預貯金 など

各種財産の名義変更は、取り扱っている企業の取り決めによって必要書類が異なります。名義変更に際してどのような書類が必要なのか、あらかじめ財産を取り扱っている企業に確認しておきましょう。

親が亡くなったら行うことについてよくある質問

親が亡くなったら行うことについてよくある質問は、次のとおりです。

・親が亡くなったらまず何をしますか?
・親が亡くなった場合、何日休めますか?
・親が亡くなった場合、相続人は誰ですか?

親が亡くなったときには多くの手続きをしなければならないため、親が亡くなったときにどのような悩みや疑問があるのか理解し、スムーズに手続きを進めていくことが重要です。

ここからは、親が亡くなったら行うことについてよくある質問を紹介していきます。

親が亡くなったらまず何をしますか?

親が亡くなったらまず、医者などから死亡診断書を取得します。

死亡診断書は市役所や警察署などの手続きに必要です。そして、死亡診断書の取得と同時に通夜や葬儀の手配、遺体の搬送先を決定します。

通夜は基本的に亡くなった次の日に行われるため、親が亡くなった日に葬儀社との打合せを終えなければなりません。遺体の搬送先についても自宅に搬送するのか、他の場所に搬送するのか決めないと安置先が決定しないため、早めに決定する必要があります。

親が亡くなった場合、何日休めますか?

勤務している会社の制度にもよりますが、親が亡くなった場合、自分が喪主を務めるときには10日ほど、喪主を務めないのであれば7日ほど仕事の休みが取れます。

しかし、7日や10日という日にちは、親が亡くなったときの手続きがすべて終わるほどの長さではありません。休みが終わった後も手続きが続くため、どの手続きをしなければならないのか、いつまでに手続きをしなければならないのか把握し、スケジューリングしたうえで進めていきましょう。

親が亡くなった場合、相続人は誰ですか?

親が亡くなった場合、相続人の範囲が法律で定められており、場合によっては遺言書で指定されている人も関与する場合があります。

遺言書では法定相続人以外の人にも遺産を渡すことができるため、遺言書に第三者への遺贈が記載されていれば、その内容に従います。ただし、配偶者や子どもがいる場合などは遺留分があるため、全額を第三者に遺産として分けることができません。

また、遺言書が残されていなければ、法定相続人が遺産を相続します。法定相続人には順位があり、配偶者、子供、親、兄弟姉妹の順に相続権が発生します。先順位がいなければ後順位の人が相続人となるわけです。

親が亡くなったら行うことを把握しておこう

親が亡くなったときに行う手続きはかなりの量となり、どのような手続きが必要なのか理解しておかなければ、手続きを忘れてしまうほどです。

親が元気なうちに、亡くなったときの手続きを理解し、基礎知識として理解しておくことが大切です。事前に親が亡くなったときに必要な手続きを理解しておけば、いざという時に焦らずに手続きをすることが可能です。
手続きの中には期限があるもの、忘れると罰則があるものなどもあるため、必ず手続きの内容を把握しておくようにしましょう。

出典

国税庁 No.7191 登録免許税の税額表
裁判所 遺言書の検認
国税庁 確定申告が必要な方

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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