更新日: 2024.03.11 その他相続

口座が凍結されると「家族でも」お金が引き出せない?判断能力があるうちに「贈与」するのがベスト?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

口座が凍結されると「家族でも」お金が引き出せない?判断能力があるうちに「贈与」するのがベスト?
年を取るにつれ、病気やけが、認知症などになる可能性が高くなっていきます。自分が万が一そうした症状を原因として動けなくなった場合に備えて、子どものためにお金を貯めている方は少なくありません。
 
しかし、認知症などで口座の名義本人に判断能力がないとみなされると、口座が凍結されてお金を引き出せなくなるリスクがあります。口座の凍結を防ぐには、判断能力があるうちに任意後見制度などを利用することがおすすめです。
 
今回は、認知症になると本人の口座がどうなるのか、もしものときに備えられる任意後見制度などについてご紹介します。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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口座の名義人が認知症になると凍結されるリスクがある

口座の名義人が認知症になると、口座が凍結されてお金を引き出せなくなることがあります。これは、判断能力がない状態の方のお金が不正に利用されることを防ぐためです。名義人が原則管理することが前提とされているため、本人の意思確認ができない状態ではたとえ家族でもお金は引き出せません。
 
そのため、認知症の症状が進んだり病気やけがを負ったりすることでお金が必要となった際、口座が凍結されていると本人のお金が使えなくなります。銀行に直接相談することで一時的にお金を引き出せるケースもありますが、継続的に使いたい場合は事前に対策が必要です。
 

元気なうちに任意後見制度を利用することがおすすめ

自分が認知症になる前に、あらかじめ任意後見制度を利用して任意後見人を指定しておくと、万が一自分の判断能力がなくなっても任意後見人が代わりに手続きできます。事前に家族と相談をして、誰を任意後見人にするのか決めておきましょう。
 

任意後見制度とは

厚生労働省によると、任意後見制度とは、ひとりで決められるうちに、認知症や障害の場合に備えて、あらかじめご本人自らが選んだ人(任意後見人)に、代わりにしてもらいたいことを契約(任意後見契約)で決めておく制度のようです。
 
任意後見契約は契約を結ぶ当事者同士が書類を作成するだけでは成立せず、法的な行為の証人である公証人により作成された公正証書を用いて契約します。
 
やがて本人が判断能力に不安を覚えた段階で、任意後見監督人の選任を裁判所に申し出て、任意後見監督人が選ばれてから任意後見契約が有効になる仕組みです。なお、任意後見監督人とは、任意後見人が契約で定めたように仕事をしているかチェックする人を指します。
 
任意後見契約が有効になると、契約で決められていれば任意後見人は本人の代わりにお金の管理も可能です。そのため、施設に入所するときや入院するときなどに、本人名義の口座からお金を引き出せます。
 
いざお金が必要となったときに対応しやすくなるので、判断能力があるうちに任意後見人を決めて契約を結んでおきましょう。
 

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子どものためのお金なら贈与することも方法の一つ

子どものためにお金を貯めている場合は、自分名義の口座ではなく子どもへ贈与として渡すことも手段の一つです。贈与してしまえば、お金は子どものものになるため、ご自身の口座を凍結されても子どもはお金を自由に使えます。
 
ただし、国税庁によると、1年間で贈与された合計額から基礎控除額110万円以上を差し引いた額に税率を乗じて贈与税が算出されるようなので、節税をしたいなら数年に分けてお金を渡すことをおすすめします。
 

自分が元気なうちに必要なことは家族と相談して決めておこう

たとえ今元気でも、いつまでも元気で生活できるとは限りません。
 
認知症になり判断能力がないと金融機関から判断された場合、本人名義の口座は凍結されるリスクがあります。凍結された口座は、一時的であれば銀行へ相談すると家族が引き出せる可能性はありますが、継続的に引き出すには凍結前に対策が必要です。
 
任意後見制度を活用すれば、自分の決めた相手に対応を依頼できます。公正証書を用いた正式な契約が必要なので、忘れないようにしましょう。
 
また、子どものためにお金を貯めている場合は、判断能力があるうちに渡してしまうこともおすすめです。贈与されたお金であれば、子どものものとして扱われるため自分が認知症になったあとでも子どもがお金を自由に使えます。
 

出典

厚生労働省 成年後見はやわかり ご本人・家族・地域のみなさまへ 任意後見制度とは(手続の流れ、費用)
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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