養子となった子は、実の親の相続人になることができる? できない?
配信日: 2018.11.01 更新日: 2020.04.07
養子となった子は実の親の相続人となることができるのでしょうか。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
養子となったAさんの相続権は?
Aさんは幼少期にBさんの養子となりました。その10年後、Aさんの実親であるCさんが亡くなりました。
CさんにはAさんのほか、Dさんという子がいました。さて、この状況でBさんの養子となったAさんには実の親であるCさんの相続人となることができるのでしょうか。
Cさんを中心に相続関係を整理しましょう
少し事例が複雑なので、まずはAさんの実親であるCさんを中心に相続関係を整理していきましょう。
Cさん……AさんとDさんの実親であり、今回亡くなった人
Aさん……Cさんの実子であり、Dさんの兄弟、現在はBさんの養子
Dさん……Cさんの実子であり、Aさんの兄弟
Bさん……Aさんの養親であるが、CさんDさんと血縁関係はない
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Aさんは普通養子? 特別養子?
養子が実親の相続人となることができるか否かは、養子と養親との養子縁組の種類が「普通養子縁組」であるか、それとも「特別養子縁組」であるかによって判断されます。
養子となった子に兄弟(今回の例でいうとDさん)が存在するかどうかは関係がありません。
それでは、AさんとBさんとの間にある養子縁組が「普通養子縁組」の場合と「特別養子縁組」場合とに分けて考えていきましょう。
普通養子縁組である場合
結論から述べると、AさんとBさんとの間にある養子縁組が普通養子縁組であった場合、AさんはBさんの養子となったあとも、実親であるCさんの相続人となることができます。
なぜそのような結論になるのか、順を追ってご説明します。まず、養子縁組とは法律上において親子関係のない者同士の間で親子関係を作り出す制度のことをいいます。(民法727条)
このとき、普通養子では養子と養親の間に親子関係が発生することになります。
一方、実親と養子となった子との間の親子関係は消滅せず、養子となった子は実親と養親の両方と親子関係が存続することになるのです。
その場合でも、兄弟であるDさんの存在に左右されることはありません。そのため、AさんとBさんのした養子縁組が普通養子縁組であった場合、養子となったAさんは実親であるCさんの相続人となることができるのです。
特別養子縁組である場合
AさんとBさんとの間の養子縁組が特別養子縁組であった場合、Aさんは実親であるCさんの相続人となることができません。
なぜなら、特別養子縁組は実親と実子の間の法律上の親族関係を消滅させ、養子と養親との関係をより実親子関係に近づけ、安定した養親子関係を作り出すことを目的とする制度だからです。(民法817条の9)
その結果、養子となったAさんと実親のCさんとの間では法律上親子関係が消滅してしまい、AさんはCさんの相続人にはなれません。
養子は実親と養親の両方の相続人となることがあります
養子となった子が実親の相続人となることができるか否かは、養子縁組の種類が「普通養子縁組」か、それとも「特別養子縁組」か、によって異なります。
養子であることのみを理由に実親の相続人となることができないと判断されるのではありません。
実際の相続の場面において、養子となった子が存在する場合には、養子縁組の種類について確認し、相続について判断する必要があります。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士