更新日: 2024.03.26 その他相続

わざわざ本籍地まで戸籍を取りにいかなくてもいい! 戸籍の広域交付制度が始まりました

わざわざ本籍地まで戸籍を取りにいかなくてもいい! 戸籍の広域交付制度が始まりました
保険金の請求や相続などで必要となる戸籍謄本(抄本)。
 
これまでは本籍地がある市区町村でなければ取得できなかったものが、2024年3月1日より最寄りの市区町村の窓口でも取得できるようになりました。遠方から本籍地まで赴いていた方にとっては、移動費などのコストが軽減されることでしょう。今回は法改正と戸籍についてみていきます。
田久保誠

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

戸籍・戸籍制度とは、何のためにあるの?

戸籍とは、日本人が産まれてから亡くなるまでの身分関係(出生、結婚、死亡、さらには親族関係など)について、登録かつ公証するためのものです。また、人の身分関係の形成(婚姻、離婚、縁組、離縁等)に関与する制度でもあります。
 
戸籍は、戸籍法に基づく届出により記録され、本籍地の市町村役場に保管されており、原則1組の夫婦およびその夫婦と同じ氏の未婚の子を編製単位として作られています。本人等が役所へ申請すると戸籍謄本を発行してもらえます。住民票には現住所だけが記載されていますが、戸籍謄本には本籍地と身分事項が書かれています。
 

戸籍には何が書かれているの?

戸籍に書かれている主な内容は、

1.本籍・氏名
2.筆頭者(戸籍簿の一番最初に記載されている人)
3.その戸籍の中に在籍する人の氏名と生年月日
4.父母・子等の続柄
5.出生日や婚姻日、養子縁組等の身分事項

となっています。
 

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どのようなときに戸籍が必要となるの?

住民票と違い、戸籍が必要となるケースは限られています。例を挙げると、以下のようなケースで戸籍が必要です。
 

・パスポートの発給を申請するとき
・本籍地以外の市区町村に婚姻届を提出するとき
・相続の手続きをするとき
・公正証書遺言を書くとき
・保険金の請求をするとき
・年金の請求をするとき
・養子縁組をするとき
・本籍の変更をするとき

などが挙げられます。
 

戸籍の広域交付制度とは

前述のとおり、これまでは本籍地がある市区町村でなければ取得できなかった、あるいは、これは主に相続に関してですが、ほしい戸籍の本籍地が全国各地にある場合は、すべての戸籍がある市区町村で手続きをする必要がありました。しかし、これが最寄りの市区町村の1ヶ所の窓口で請求することができるシステムです。
 
その際に取得できる戸籍は、本人のものだけでなく、配偶者・直系尊属(祖父母・父母)、直系卑属(子や孫)の戸籍も請求できます。
 

注意点は?

請求できる戸籍には、兄弟姉妹は入っていませんので注意が必要です。また、郵送や代理人による請求はできませんので、戸籍証明書等を請求できる方本人が、市区町村の戸籍担当窓口に行って請求する必要があります。
 
その際は、運転免許証、マイナンバーカード、パスポート等の写真付き身分証明書も必要となります。さらに請求できる戸籍証明書はコンピューター化されているものに限られますので、コンピューター化されていない一部の戸籍や除籍謄本に関しては請求できません。また、一部事項証明書、個人事項証明書も請求できません。
 

そのほかの戸籍に関する法改正は?

本籍地とは異なる場所で暮らしている方のなかには、本籍地ではない自治体の窓口で戸籍の届出をする方もいらっしゃるでしょう。そのような場合でも、提出先の自治体の職員が本籍地の戸籍を確認することができますので、原則として、戸籍届出時の戸籍証明書等の添付が不要となります。
 

相続時には便利な制度です!

相続手続きをご自身でされる方も中にはいらっしゃると思います。相続手続きはさまざまな面で大きな負担になる作業が多いですが、これまで遠方の役所で何度も行っていた手続きの手間が削減され、移動費などのコストが軽減されるという方もいるでしょう。
 
ただ、戸籍を取得することと読み解くことは別物ですので、難しいと思ったら専門家に相談することも考えて行うようにしましょう。
 

出典

法務省 戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)
 
※2024/3/26 記事を一部修正いたしました。
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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