更新日: 2024.04.05 贈与

子どもの塾代が「年間50万円」もかかって大変なことを祖父に相談したら、肩代わりすると言ってくれました。学校費用ではないので「贈与税」はかかりますか?

執筆者 : 佐々木咲

子どもの塾代が「年間50万円」もかかって大変なことを祖父に相談したら、肩代わりすると言ってくれました。学校費用ではないので「贈与税」はかかりますか?
子どもの塾代の負担は大きいですよね。一時的な費用ではないので、毎月の家計にのしかかり、四苦八苦している家庭も多いことでしょう。祖父母を頼る人もいるようです。
 
そこで本記事では、祖父母に塾代を出してもらった場合に、贈与税がかかるのかについて解説します。ある程度調べている人であれば、学費に対して贈与税がかからないことは知っているかと思いますが、学校以外で自主的にかけている塾代ではどうなのでしょうか。
佐々木咲

執筆者:佐々木咲(ささき さき)

2級FP技能士

教育費の贈与に贈与税はかからない

人から人へ財産の移転があった場合には、贈与額に対して贈与税がかかります。ただし、贈与財産の性質や贈与の目的などから考えて、贈与税をかけることが適切ではないと認められている財産については贈与税がかからないようになっています。
 
そして、その贈与税がかからない財産には「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」も含まれています。つまり、「教育費」に贈与税はかかりません。
 
ただし、贈与税がかからない教育費は、「扶養義務者から」の贈与で、かつ「通常必要と認められるもの」である必要があります。
 
まず、祖父母が扶養義務者に該当するのか否かですが、民法に定められている扶養義務者とは、「直系血族及び兄弟姉妹並びに家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった3親等内の親族」とされており、祖父母は2親等の直系血族であることから、扶養義務者に該当します。
 
次に塾代が通常必要と認められるものか否かについては、正確な線引きがないため確定はできません。しかし、現代の子どもが塾に通うことは珍しいものではなく、年間50万円であれば一般的な塾であると考えられるため、「通常必要」と判断される可能性が高いでしょう。
 

必要な都度渡す必要がある

塾代の贈与に贈与税がかからないようにするためには、もう1つ条件があります。「必要な都度直接教育費に充てるためのもの」でなければなりません。
 
つまり、塾から費用の請求がある都度、請求金額を贈与しなければならず、「取りあえず200万円渡しとくから、それで工面しなさい。なくなればまた言いなさい」では非課税にならないのです。この場合の200万円は単なる贈与の扱いになり、贈与税の対象になります。
 

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年間110万円の非課税枠を上手く利用しよう

ただ、月謝、長期休みの講習会、宿泊合宿など逐一のタイミングで数万円を振り込むのは手間に思う人も多いでしょう。そこで、贈与税の非課税枠110万円を利用しましょう。贈与税には年間110万円の基礎控除が設けられているので、その範囲内であれば教育費以外の贈与であっても非課税になるからです。
 
例えば、4月の月謝3万円の請求があったタイミングで、年間分36万円を渡した場合、3万円については教育費として非課税、残り33万円については通常の贈与扱いにはなりますが、110万円の非課税枠が利用できるので、こちらにも贈与税はかかりません。
 

まとめ

祖父母が肩代わりした孫の塾代に贈与税はかかりません。ただし、必要な都度、必要な金額を贈与する必要がある点に注意しましょう。塾代が年間110万円以下であれば、非課税枠を利用した柔軟な贈与が可能です。
 

出典

国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 第1条の2《定義》関係
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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