更新日: 2024.04.06 その他相続
実家にある「100万円貯まる貯金箱」もタンス預金の仲間? いつか課税されるのでしょうか?
タンス預金などの手元現金は本当にバレないのでしょうか。今回は相続に際して税務署がどのように臨んでいるのか解説していきます。
執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)
FPオフィス Conserve&Investment代表
2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。
タンス預金などの手元現金は相続申告しないでも大丈夫?
終活が注目を集める昨今。相続を控えた方からよく受ける相談のひとつに「銀行などに預けていないタンス預金や貯金箱などの手元現金であれば申告しないでも分からないのではないか?」といったものがあります。
もちろん相続税が生じないのであれば課税対象とはならず申告も不要です。
しかし、相続税が課されるような規模の相続を行う場合は、故人の手元現金も他の相続財産と同様に確実に申告するようにしましょう。
なぜタンス預金がバレるのか?
確かに家庭内にあるタンス預金などの手元現金は、通帳のある預貯金などと異なり、外部からはその存在や金額などは分からないように思えます。
しかし、税務署や国税局は故人の資産構成や収入を把握しており、必要に応じて調査も行います。
税務署は強い調査権限を持っており、被相続人だけでなく相続人の口座、家族や相続人にあたる人物の資産状況も金融機関の入出金の履歴を照会するなどして調査することができ、過去何年もさかのぼって口座の出金記録も調査し、これらの調査結果をもとに、ヒアリングや反面調査、実地調査も行いますので、タンス預金がバレる可能性は高いです。
このため、預貯金を引き出してタンス預金にしていたり生活費の一部を貯金箱などに貯めておいたりするなどし、相続発生時に相続財産として申告しなかった場合は申告額の少なさに疑問を持たれ、タンス預金などの手元現金の存在を疑われる可能性があります。
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相続財産の申告に疑問を持たれると税務調査を受けるかも
税務署は故人の生前の資産構成・収入を把握しているため、課税が生じる可能性が高いにもかかわらず相続税の確定申告が行われなかったり、相続発生前に本人または親族の口座で多額の入出金があったりした場合には事情説明を求められる可能性があります。
また、故人の資産構成・収入から相続財産の推定額から申告額を比較し、申告財産が少なすぎる場合は、相続税の確定申告の内容が適正かどうか税務調査を受けることになるかもしれません。
もし申告内容に不備が見つかった場合、延滞税や過少申告加算税などのペナルティを課されてしまうことにもなりかねません。タンス預金にしておけばバレないと考えず、しっかりと申告するようにしましょう。
タンス預金などの手元現金も忘れずに申告を
相続時、故人の所有していたタンス預金や貯金箱といった手元現金も相続財産に含まれますので、相続税の確定申告の際には家の中にある現金も集計して申告を行う必要があります。
もっとも、手元現金は不動産などの他の財産と異なり、申告に際して第三者に金額を証明してもらう必要はなく、相続人の自己申告のみで済みます。
しかし、手元現金は故人がしまいこんでいる場合もあり、相続時に全ての手元現金を把握しきれないかもしれませんが、相続時点で全額を網羅する必要まではないので発見できた限りの手元現金を申告するようにしましょう。
そして、相続後に多額の手元預金が見つかった場合は「相続税の修正申告」で対応することになるのですが、申告の手間が増えるため相続人への負担が増えます。相続に備える際は手元現金の場所などを忘れずに伝えるようにしておきましょう。
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表