更新日: 2024.05.01 贈与
子どもの入学祝いに「300万円」の入った通帳を祖母からもらいました。名義は子どもですが、「税金」などはかかりますか…?
入学にあたっては入学金や教科書、制服代など費用がかさむこともあり、費用の足しにできる入学祝いはありがたい存在ともいえます。できれば税金を払うことなく、全額を有効に活用したいと考える人も多いでしょう。本記事では入学祝いが贈与税の対象となるのか、また非課税で受け取るための方法を解説します。
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
年間110万円を超える金銭の受け渡しには贈与税がかかる
他人から金銭や財産を受け取ると、贈与税が発生します。対象となるのは1月から12月までの1年間で110万円を超える贈与があった場合です。ただし、110万円を超える贈与のすべてに税金がかかるわけではありません。
その贈与の目的が「祝儀金、弔慰金など社会通念上妥当である」場合などは例外として贈与税はかからないのです。今回のように入学祝いとして受け取っている場合は「祝儀金」にあたると考えられます。
これが社会通念上相当、つまり一般常識的に考えて入学祝いの範囲内の額であれば非課税となるというわけです。しかし「社会通念上」に正確な定義があるわけではありません。大学の入学祝いであれば必要な費用面から相当と認められても、公立幼稚園の入園祝いでは過分すぎると判断される可能性もゼロではないのです。
「教育資金」であれば特例の対象に
贈与税の「社会通念上」の基準はある種漠然としたものでありますが、入学祝いを非課税で受け取る方法もあります。それは「教育資金」として受け取る場合です。実は30歳未満の子や孫が直系尊属から教育資金として贈与を受けた場合は、受贈者1人につき1500万円まで非課税とされるのです。
「教育資金」とは 入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費または入学試験の検定料など、学用品の購入費、修学旅行費や学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など学校等に直接支払われるものと、塾やスポーツの習い事や定期代、留学費用など学校外での費用であっても子どもの教育に関わるものが対象となります。
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贈与税非課税措置を受けるためにすること
教育資金の贈与として非課税措置を受けるためには、「教育資金として贈与します」と口頭のやりとりだけでは認められず、贈与者と受贈者で書面にて贈与契約を結ぶ必要があります。その後受贈者が金融機関にて教育資金管理契約を結び、教育資金口座を開設し、贈与者はその口座に一括で教育資金を振り込みます。
最後に金融機関を通じて受贈者の居住地の税務署に教育資金非課税申告書を申請することで完了です。実際に学費や学用品などの支払いのために口座から資金を引き出した場合は、領収書を金融機関に提出するという流れになります。
まとめ
好意として入学祝いをもらった以上、せっかくなら有効に活用したいですね。高額な金銭の受け渡しは基本的に相続税の対象となりますが、祖父母からの入学祝いは高額であっても社会通念上相当と認められれば相続税はかかりません。
ただしその基準は明確ではないので、確実に非課税として受け取るためには、教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置制度を利用して受けるのがいいでしょう。
出典
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
文部科学省 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級