更新日: 2024.05.09 贈与

親が定年後「月8万円」で年金暮らしをしています。子どもとして「月4万円」程度仕送りしたいのですが、贈与税は発生しますか? 生活費として使えば大丈夫でしょうか?

親が定年後「月8万円」で年金暮らしをしています。子どもとして「月4万円」程度仕送りしたいのですが、贈与税は発生しますか? 生活費として使えば大丈夫でしょうか?
定年退職した親が、「月8万円の年金暮らし」をしている場合、仕送りをして生活を支えたいと考える人もいるでしょう。しかしお金を渡すのであれば金額や使い方次第で受け取った側に贈与税が発生してしまうため、注意する必要があります。
 
本記事では、「親に仕送りをする際に贈与税などがかかるか」について解説するので、仕送りを検討している人は参考にしてみてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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毎月4万円の仕送りなら贈与税はかからない

贈与税が発生するのは、1月1日から12月31日までの一年間に、贈与を受けた金額が基礎控除額である110万円を超えた場合です。毎月4万円の仕送りなら、月4万円×12ヶ月で年間48万円のため、基礎控除額である110万円を下回るので贈与税はかかりません。もし贈与税がかからない範囲で最大の金額を仕送りするのなら、110万円÷12ヶ月=約9万円となります。
 
ただし贈与税は、1人が1年間に贈与を受けた金額によって決まるため、複数人から贈与を受けている場合は注意が必要です。例えば3きょうだいがそれぞれ4万円ずつ仕送りしている場合、親が受け取っている金額は月12万円・年144万円となります。このように贈与されている金額がトータルで110万円を超えているのに申告せずに後からバレれば、追徴課税などの対象になる可能性もあります。
 
自身の仕送り以外に贈与を受けていないかを親に確認し、もし110万円を超えているようであれば贈与税の申告が必要な可能性がある旨を伝えてあげましょう。
 

そもそも親子間の仕送りでは贈与税がかからない可能性が高い

ただし、そもそも親子間での仕送りでは贈与税がかからない可能性が高いでしょう。
 
なぜなら夫婦や親子・兄弟姉妹などは、経済的に支援する義務のある「扶養義務者」であるからです。そのため通常必要とされる「生活費」や「教育費」については、贈与税がかからないとされています。本事例では、年金が月8万円と老齢厚生年金受給者の平均受給額よりも少額であることを考えれば、生活支援を目的とした仕送りが年110万円を超えても、贈与税はかからないでしょう。
 
しかし、すべてのケースにおいて仕送りが贈与税の対象外になるわけではありません。例えば、受け取ったお金を預金や株式購入資金、不動産購入資金に充てるなど「生活費」以外に使用した場合は贈与税の対象となる可能性があります。他にも仕送りの金額が社会通念上、かなりの高額で生活費の支援の範囲を超えていると判断されれば贈与税の対象になります。
 
「社会通念上」にはっきりとした基準はありませんが、介護費用や医療費などを同じ年にまとめて送る際には注意してください。
 

明らかに金額が高くなる場合の対処法

生活費の仕送りと一口にいっても、その受け渡し方は家庭によりそれぞれ異なります。諸般の事情により、数年分の生活費としてまとまった金額を渡すこともあるでしょう。他にも、介護施設などに入居する際の初期費用などを用意するときであれば、一般的な仕送り金額よりも高額になるかもしれません。贈与税が請求されてしまえば、実質的に支援金額が減ってしまいます。
 
こうした事態を避けるためにも、仕送りをする際には贈与税への対策を欠かさないようにしましょう。
 
特別な事情がないなら一気に年110万円を超える仕送りを避け、その都度必要な金額をこまめに送金すると安心です。介護施設などへの入居費用が高額になった場合は、領収書などその事実がわかるものを保管しておくよう、親に伝えておくといいでしょう。
 

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まとめ

年金収入のみで老後生活を送っている親を心配し、仕送りを検討している人もいるのではないでしょうか。親子など扶養義務者からの生活費名目の仕送りには贈与税がかからないケースも多いです。
 
ただし、それは「社会通念上」の金額とされ、あまりにも高額な仕送りは生活費として認められない可能性もあります。医療費や介護施設入居費などまとまったお金を渡す必要がある際は、その使用用途を証明できる領収書などを親に保管しておいてもらいましょう。
 

出典

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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