更新日: 2024.05.20 その他相続

親が亡くなり不動産を相続することになりました。不動産の相続登記は自力でもできますか?

親が亡くなり不動産を相続することになりました。不動産の相続登記は自力でもできますか?
4月から不動産の相続登記が義務化されました。自分には関係ないのでは? と思われている方も、確認しておいたほうが良さそうです。ほったらかしにしていると10万円以下の過料が科されることになります。
宮﨑真紀子

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
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不動産の相続登記は義務化

不動産を相続した場合、誰が相続して新しい所有者になったのかを登記する必要があります。ですがこれまでは、この相続登記は義務ではありませんでした。本来は相続人が複数人いた場合、故人の遺言書あるいは遺産分割協議によって当該の不動産の承継者が決まり、登記簿に登記する流れです。この作業を曖昧なまま過ごしていた結果、「この土地、持ち主 は誰?」といった所有者不明土地が増え、その面積は九州の土地面積よりも広くなってしまいました。
 
政府広報オンラインによると、不動産登記簿だけでは所有者の所在が判明しなかった土地の割合が24%にも及んでいるそうです。このままの状態が続くと相続発生後にますます相続人が増え、所有権者は複雑になります。所有者が不明の状態では、土地の管理が行き届かず「ゴミ屋敷」となり周辺の環境や治安の悪化を招く他、防災対策などの公共事業にも影響を及ぼします。
 
そこで国は所有者不明土地の発生を予防する方策の1つとして「相続登記の申請の義務化」を令和6年4月1日に施行しました。内容は下記のとおりです。
 
A)基本的なルール
 
相続(遺言も含む)によって不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
 
B)遺産分割が成立した時の追加的なルール
 
遺産分割の話し合いがまとまった場合には、不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記を申請しなければなりません。
 
C)義務に違反した場合
 
A・Bともに、正当な理由がないのに義務に違反した場合、10万円以下の過料の適用対象となります。
 
相続登記の申請義務は、改正法の施行後に発生した相続のみならず、施行日前に相続が発生していたケースについても適用されます。この場合、(1) 改正法の施行日(令和6年4月1日)、(2) それぞれの要件を充足した日のいずれか遅い日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
 
つまり「父親が亡くなったのは10年以上前なので該当しない」ではなく、相続から時間がたっていても登記の義務は負わなければなりません。これが、冒頭で「自分には関係ないのでは?」と思われている方も確認をお勧めした理由です。法務局で登記簿謄本を確認すれば安心です。
 

お金をかけたくないので自力でできますか?

Aさんは不動産相続登記の申請を自力で行った1人です。Aさんの母親は昨年他界しました。父親はすでに亡くなっていて、母親はAさん夫婦と同居。Aさんに兄弟姉妹はいません。
 
相続登記に必要な書類については、法務局が一覧表を作成していますので参照ください(※1)。
 
Aさんの場合は、相続人がAさん1人なのでとてもシンプルです。それでももっとも大変だったのは、集める書類の多さだそうです。母親の戸籍謄本はもとより除籍謄本や原戸籍は初めて耳にする書類ですし、出生から亡くなるまでを集めるのに苦労されたようです。作成する書類は法務局の方に親切に教えてもらい、想像したよりもスムーズに申請できたと言います。
 
法務局が「登記手続きハンドブック」(※2)を作成しています。これは手続きの手順が詳しく示されていますので参考になります。
 
相続関係が複雑な場合は特に、いくつもの山があり自力では不安が募ります。やはりそこは専門家である司法書士に依頼するのが王道かもしれません。対面で相談しながら申請を進める以外の方法として、ネットで完結する定額サービスがありますので、検索してみましょう。
 
本籍地以外の市区町村窓口で戸籍謄本が取得できるようになり、書類集めの負担は軽減されました。できれば自力で申請したいという人をサポートするネット定額サービスもありますので、利用してもいいでしょう。
 
このように自分の状況に応じてサービスを選ぶことで、費用は抑えることもできます。3年の猶予はありますが、なるべく早く着手することが大切です。
 
(※1)法務局 相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等
 
(※2)法務局 相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(登記手続ハンドブック)
 

出典

政府広報オンライン なくそう、所有者不明土地!所有者不明土地の解消に向けて、不動産に関するルールが大きく変わります!
 
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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