更新日: 2024.05.30 その他相続

財産の種類に条件ナシ!「60歳以上」なら使える「相続時精算課税」って何?

財産の種類に条件ナシ!「60歳以上」なら使える「相続時精算課税」って何?
60歳以上になると、自身の財産を子どもや孫にどのように引き継いでもらえるか考えはじめる人もいるでしょう。まとまった財産がある場合には、生前贈与した方がよいか、相続で渡した方がよいか悩む人もいます。
 
本記事では、生前贈与の際に活用できる相続時精算課税の概要を解説するとともに、利用が向いている人の特徴を紹介します。財産の贈与方法で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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相続時精算課税とは

相続時精算課税とは、生前贈与を後押しするための制度であり、贈与する側(がわ)が亡くなる前にまとまった資金を子どもや孫に贈与できる制度です。生前贈与で2500万円まで非課税となりますが、贈与する側(がわ)が亡くなった場合、生前贈与した財産は相続財産に加えられ、相続税が計算されます。
 
ただし、年110万円までの基礎控除が認められているため、1年間で110万円までの贈与であれば、贈与税がかからないうえに、相続財産へ加えられることもありません。
 

適用される対象者

贈与する側(がわ)は、贈与する年の1月1日時点で60歳以上で、父母または祖父母の者が対象です。贈与を受ける側(がわ)は、受ける年の1月1日時点で18歳以上かつ贈与する側(がわ)の子どもや孫である推定相続人が対象です。
 

制度を利用するためには必要書類の提出が必要

相続時精算課税を利用するためには、初めて贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに相続時精算課税選択届出書と必要書類を贈与税の申告書に加えて税務署へ提出する必要があります。
 

2500万円を超えると20%の贈与税が発生する

相続時精算課税は、贈与した合計金額が2500万円を超えるまでは、贈与税が発生しません。しかし、2500万円を超えてしまった分からは一律20%の贈与税がかかる点に注意しましょう。
 
ただし、年110万円の基礎控除は贈与税にならないうえに、2500万円の特別控除にも含まれません。
 

相続時精算課税の利用がお得になる人の条件

次に、相続時精算課税の利用によってメリットを受けられる人の特徴を紹介します。人によっては、利用しない方がお得な場合もあるため、利用価値があるか判断しましょう。
 

すでに年間110万円以上贈与している人

通常の生前贈与である暦年課税は、1月1日から12月31日の1年間に110万円までの贈与であれば、贈与税が発生しない制度です。しかし、暦年課税は超過累進課税を採用しているため、贈与額が増えるほど税金も高くなっていきます。そのため、すでに年間110万円以上贈与しており、さらに贈与を検討している場合は相続時精算課税を利用した方が税金が軽くなる可能性があるでしょう。
 

収益性のある財産をもっている人

アパートやマンションなどの賃貸といった収益物件をもっている場合、相続時精算課税の利用で節税対策になる可能性があります。収益物件を子どもや孫に生前贈与すると、収益物件によって得られる不動産収入は、贈与を受けた側(がわ)の収入になります。
 
生前贈与しなかった場合、毎月の収益は亡くなった際に相続財産に含まれてしまうでしょう。収益が多いほど相続税が高くなってしまうため、収益性の高い物件をもっていて、最終的に子どもや孫に譲る意志がある場合は、相続時精算課税を利用するのも一つの手です。
 

相続トラブルが発生しそうな人

親族間で相続トラブルが発生することは、よくあります。もし特定の相手に財産を引き継いでもらいたいという意志がある場合は、生前から贈与しておけば確実に引き継げるとともに相続時のトラブルも防げるかもしれません。
 
ただし、生前贈与によって特定の相手に多くの財産を渡してしまうと、相続時の遺産分割協議で相続人同士の争いが発生する可能性があるため注意しましょう。
 

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相続時精算課税制度が節税対策になる

相続時精算課税を活用すると、2500万円までの生前贈与が非課税になります。基礎控除110万円とは別に控除されるため、多額の財産があり子どもや孫に譲りたいと考えている方は、利用を検討しましょう。
 
ただし、年間110万円以内で少しずつ贈与したいと考えている方は、相続時精算課税を利用しなくてもよいといえます。自身の財産をどのように受け継いでもらいたいかを考えたうえで、利用するかどうか決めましょう。
 

出典

国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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