更新日: 2024.06.29 贈与
息子のマンション購入費を「全額援助」しようとしたら、断られました。親からの援助は嬉しくないのでしょうか?
しかし、住宅の購入費用を全額援助する行為は、間接的な損失を生む場合があります。今回は住宅購入における全額援助のデメリットについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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住宅の購入には手当や控除がある
今回のケースでは住宅購入費用の全額援助を断られていますが、このとき考えられる理由は以下の3点です。
●職場の福利厚生で「住宅手当」が支給される
●住宅ローン控除の適用を検討している
●援助金による贈与税の発生を「もったいない」と考えている
こちらではまず、「住宅手当」と「住宅ローン控除」の存在について解説します。
住宅手当の支給
住宅手当とは、勤務先の企業が労働者に対して住宅の取得費用から一定金額を上限に補助金を出してもらえる制度です。賃貸にお住まいの場合は「家賃補助」という名称となっている場合もあります。
住宅手当を福利厚生として採用している企業も存在し、求人においては住宅手当の有無を重要視する求職者も珍しくありません。通常の給与にプラスアルファで手当がもらえるため、できるだけ取得したいと考える方も多いでしょう。
住宅ローン控除の適用
国土交通省によると、住宅ローン控除とは、「年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税から最大13年間まで控除する制度」です。所得税から控除しきれない分は、翌年の住民税から控除されるケースもあるようです。
控除を受けるには物件と購入者にそれぞれ条件があり、原則として住宅ローンに加入しなければなりません。たとえ0.7%の控除であっても購入金額が大きい住宅の場合は、相当な金額となることが予想されます。
このように節税効果が高いことから、本制度を利用する方は多いでしょう。控除は住宅ローンを組んでいる必要があるため、全額援助を受けた場合は適用されません。
親からの援助はどれくらいがベスト?
次に、援助金による贈与税の発生を「もったいない」と考えている場合について解説します。
国税庁によると、「令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築等に対価に充てるための金銭を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。」と記載されています。
この制度は数多くの家庭で相続税対策に用いられており、高い節税効果が期待できるでしょう。
非課税枠には上限があり、全額援助すると金額次第では贈与税が高くなってしまうかもしれません。全額援助を断った背景には贈与税を考慮している可能性があるでしょう。
1000万円までなら贈与税がかからない
非課税限度額は省エネ等住宅の場合には1000万円まで、それ以外の住宅だと500万円と定められています。
省エネ等住宅と認められる住宅には一定の条件があり、また援助を受ける側にも年収や援助金の使い道などの条件が課されます。必ずしもすべての世帯で使える制度ではない点に注意しましょう。
今回の場合、全額は難しくても、購入費用の一部であれば援助を受け入れてくれる可能性はあります。もちろん、息子さんが両親に対して「老後のためにお金をとっておいてほしい」「自分たちだけで生活できることを証明して両親を安心させたい」といった考えがあるのかもしれません。
住宅購入費用の援助について話し合うときは、金銭の損得だけでなく、お互いの気持ちも確かめましょう。
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住宅購入の全額援助はもったいない可能性がある
住宅購入費用の全額援助は、住宅手当・住宅ローン控除・贈与税の観点からもったいないと感じる方もいるでしょう。援助しても非課税限度額までに抑えるのが賢明かもしれません。適切な援助額は、ローンを組むメリットと財産贈与のバランスを話し合ったうえで決定するのをおすすめします。
出典
国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
国土交通省 住宅ローン減税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー