更新日: 2024.07.05 贈与
娘の婚約で「300万円」を結納金として受け取りました。婚約者はかなりの「資産家」らしいのですが、高額でも贈与税はかかりませんか? 申告などしなくて良いのか不安です…
そんな結納金ですが、思っていた以上の金額を相手方が包んできた場合、贈与税はかからないのでしょうか。本記事では結納金は贈与税の対象となるのか、また結納金を使う際の注意点について解説します。
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
年間110万円を超える贈与には課税される
贈与税とは、個人から金品を受け取った際に発生する税金のことをいいます。贈与税の対象となるのは、1月から12月までの1年間で110万円を超える贈与に対してです。ただし、110万円を超える贈与であっても贈与税の対象とならない「例外」があります。
そのひとつが「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの」に当てはまる場合です。結納金は「祝物」に該当し、かつその金額が「社会通念上相当」であれば贈与税の対象にならないということになります。
結納金の平均額と「社会通念上相当額」
実はここでいう「社会通念上相当額」がいくらであるのかは法律で明記されていません。それでは、今回のケースである結納金300万円は「社会通念上相当額」といえるのでしょうか。
ゼクシィの調査によると、結納金の相場は地域によって異なるものの、大体100万円から150万円の間が多いという結果が出ています。さらに全国平均は97万3000円となっており、結納金はキリのいい額を包むことを考慮すると、100万円が最も一般的な結納金の金額であるといえるでしょう。
一方で、同じくゼクシィの調査で、結婚費用としてかかった総額は約415万円であるという調査結果もあります。結納金が結婚準備金であるという性質を踏まえると、300万円の結納金は、決して常識を超える金額ではないということがいえるでしょう。
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結納金の使い道には要注意
結納金として300万円という金額は「社会通念上相当額」であるとみなされても、結納金の使い方によっては注意が必要です。先ほども解説した通り、結納金には「結婚準備金」という意味があります。
そのため、結婚に関することから大きく離れた目的外使用の場合は、「祝物」のための贈与ではなかったと判断され、通常の贈与と同じとみなされてしまうこともあります。
例えば、新生活で使う家具や家電あるいは結婚後の慶弔時に着用する留袖といったものであれば「結婚に関するもの」なので、妥当な用途になるでしょう。しかしブランドのバッグを購入した場合、結婚との因果関係が認められにくく「結婚に関わりのないもの」とみなされる可能性もあります。
あくまでも結納金は結婚のために使われるものであり、それゆえに贈与税の対象外となっているということに注意しましょう。
まとめ
結納金の金額は地域や家庭ごとで異なるため、高額な結納金を受け取ったら贈与税などが頭によぎり、戸惑うこともあるかもしれません。しかし、結納金は贈与税の「例外」である「祝物」に該当し、「社会通念上相当額」であれば贈与税の対象とはなりませんので、安心してください。
今回のケースのように300万円の結納金は結納の平均額から見ると高額な部類に入りますが、結婚準備金の平均額から判断して「社会通念上相当額」の範疇であるといえるでしょう。ただし、結納金は結婚準備のために計画的かつ大切に使用し、目的外使用は控えるようにしましょう。
出典
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
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執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級