更新日: 2024.08.26 その他相続
帰省中、昨年亡くなった母のタンスから「10万円」を発見! これって“税務署”に追加で申告すべき? 正直、10万円くらいなら黙って使ってもばれないのではと思っています…
本記事では、そのような不要なリスクを避けるために知っておきたい相続税の基礎知識とペナルティについてお伝えします。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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基礎控除以下なら相続税はかからない
相続税は亡くなった人から財産を相続した人が、取得した遺産の評価額に応じて納める税金です。この相続税には基礎控除があり、故人の遺産総額が基礎控除額以下の場合、相続税の申告をする必要がありません。
相続税の基礎控除額=3000万円+600万円×相続人の数
ただし、後からタンス預金が発見され、遺産総額が変わることで申告が必要になるケースもあります。例えば法定相続人が1人で、3600万円相当の遺産を相続した場合、3000万円+1名600万円=3600万円となり、基礎控除額内のため相続税はかかりません。
しかし10万円のタンス預金が見つかり、3610万円になると、基礎控除額を超えた「10万円」に税金がかかります。
相続税率は最大55%
相続税は遺産総額の合計金額に応じて異なり、その税率は10%から55%まで幅があります
●1000万円以下:10%
●1000万円超から3000万円以下:15%(控除額50万円)
●3000万円超から5000万円以下:20%(控除額200万円)
●5000万円超から1億円以下:30%(控除額700万円)
●1億円超から2億円以下:40%(控除額1700万円)
●2億円超から3億円以下:45%(控除額2700万円)
●3億円超から6億円以下:50%(控除額4200万円)
●6億円超:55%(控除額7200万円)
すでに相続税を申告・納付した後でも、タンス預金が見つかった場合、相続人の取得総額の合計金額が増えることで税率が上がることもあります。
例:申告済みの相続財産(基礎控除後):998万円→税率は10%
タンス預金10万円が見つかったあとの相続財産:998万円+10万円=1008万円
→1000万円分の税率は10%、8万円分の税率は15%
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無申告だとペナルティが課される?
基礎控除を超える故人の遺産はすべて申告する必要があります。故意に申告せず、税務署の調査で発覚した場合は「過少申告加算税」が課税されます。過少申告加算税は、申告漏れによって新たに課される税額の10%から40%になります。さらに悪質と判断された場合は、さらに重いペナルティである「重加算税」が課されるリスクもあります。
申告・納付期限を過ぎると「延滞税」が課される
また、相続税は「相続開始の翌日から10ヶ月以内」に、申告・納付しなくてはいけません。期限内にタンス預金が見つかり、申告を修正(修正申告)し納付した場合、ペナルティは発生しませんが、期限を過ぎた場合は故意でなくても「延滞税」が発生します。
延滞税は、申告期限の翌日から納付の日までの期間に応じて加算されます。
●申告期限の翌日から2ヶ月以内:年2.4%(令和5年・6年)
●申告期限の翌日から2ヶ月を超えた場合:年8.7%(令和5年・6年)
例えば本来の納税額が100万円で、申告期限の翌日から3ヶ月目(91日目)に申告した場合の延滞税は以下になります。
●申告期限の翌日から2ヶ月以内の延滞税
100万円×60日×(2.4%÷365日)=3945円(端数切捨て)
●申告期限の翌日から2か月を超えた延滞税
100万円×31日×(8.7%÷365日)=7389円(端数切捨て)
3945円+7389円=1万1334円
延滞税は申告が遅れるほど増えるので、タンス預金を発見したらできるだけ早く申告するようにしましょう。
まとめ
相続税には基礎控除があり、基礎控除額を超える場合は申告が必要です。正しく申告しないと気づかぬうちにペナルティの対象になる可能性もあるため、タンス預金を見つけた場合は少額だからと軽く考えず、税理士などの専門家に相談するほうがいいでしょう。
出典
国税庁 No.4155 相続税の税率
国税庁 No.4102 相続税がかかる場合
国税庁 相続税及び贈与税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)
国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
国税庁 No.9205 延滞税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー