更新日: 2024.09.24 贈与
年収300万円なので車を買うお金がなく、親に「ヴェルファイア」を買ってもらいました。友人から「贈与税の対象になる」と言われたのですが、どういうことでしょうか…?
執筆者:山田麻耶(やまだ まや)
FP2級
贈与税とは
贈与税とは、個人から財産を譲り受けたときに、その財産に対して課される税金のことです。「もらった側」に支払い義務が生じます。
贈与税の対象となるものには、現金のほか、土地や家、宝石などさまざまなものがあり、車も贈与財産に含まれます。ただし、譲り受けた財産全てが贈与税の対象となるわけではありません。年間110万円を超える贈与があった場合に、その超えた部分に対して課税されます。
贈与税の計算は累進課税方式で行われます。つまり、贈与を受けた金額が大きくなるほど、税率も上がる仕組みです。1年間に110万円を超える金額を贈与された場合、その超過部分に対して10%から55%までの税率が適用されます。
贈与されたヴェルファイアにかかる贈与税
ヴェルファイアはトヨタ自動車が製造・販売する高級ミニバンです。その価格はモデルや仕様によって大きく異なります。
例えば、最も安いグレードである「Z Premier(ターボガソリン車 2WD)」は655万円(税込)です。一方、ハイブリッド仕様の「Z Premier(ハイブリッド車 2WD)」は690万円(税込)、最も高額な「Executive Lounge(ハイブリッド車 E-Four)」は892万円(税込)です。
これらの価格をもとに、贈与税がどのように計算されるかを具体的に見てみましょう。贈与税額は次の計算式で求められます。
贈与税額=(1年間で贈与された合計額-基礎控除110万円)×税率-控除額
ここで注意すべきなのは、贈与税は「贈与者(あげた側)」と「受贈者(もらった側)」の関係によって税率や控除額が異なるという点です。親子間の贈与の場合、子どもが18歳以上であれば特例贈与に当たるため、配偶者や他人から贈与を受ける一般贈与の場合よりも税率は優遇されています。
仮に親からヴェルファイアの最安グレードの「Z Premier(ターボガソリン車 2WD)」をプレゼントされた場合、贈与税は次のように計算されます。
(655万円-110万円)×20%-30万円=79万円
つまり子は79万円の贈与税を納めなければなりません。このようにたとえ親からであっても、高額な車を買ってもらった場合はかなりの税負担が発生することを理解しておく必要があります。
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贈与税が発生しないようにするには
親から車をもらったとしても、贈与税の対象外となるケースもあります。それは扶養義務者から「生活していく上で欠かせないもの」を贈与されたときです。しかし、一般的に高級車は生活必需品ではないとみなされることもあるため、贈与税が絶対にかからないとは言い切れません。
どうしても贈与税を避けたいというのであれば、次の方法を検討すると良いでしょう。
名義を親にして車を借りる
車の名義を親のままにしておき、自分が使用するときに借りるという形にすることです。この場合、車の所有者は親であるため、贈与には該当しません。ただし、車の保険や税金は親が負担することが前提となるため、親との合意が必要です。
価格が110万円以下の車をもらう
贈与税の非課税枠である110万円以下の車を選ぶことで、贈与税を回避する方法もあります。例えば、中古車など価格が低い車を選ぶことで、この枠内に収めることが可能です。もちろん、車の価格や状態をよく確認し、長期間使用できるものを選ぶことが大切です。
親から車をもらうときは贈与税も考慮しよう
たとえ親子間であっても、年間110万円以上の贈与があれば贈与税を支払わなければなりません。ヴェルファイアなどの高級車は600万円以上することが多く、贈与税がかかると考えていたほうが良いでしょう。
贈与税を支払えないようであれば、車の名義を親のままにしておく、110万円以下の車をもらうといった対策を考える必要があります。「買ってもらえる」と安易に考えるのではなく、税負担も考慮するようにしましょう。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
トヨタ自動車株式会社 ヴェルファイア
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:山田麻耶
FP2級