子どもがいないので、死後は甥っ子に「1000万円」を相続させたいです。実子に資産を残すよりも“税金”はたくさん取られてしまうのでしょうか?
配信日: 2024.10.08
兄弟姉妹がいる人で、おいやめいに贈与するケースは往々にしてあり得ます。しかし、おいやめいが遺産を相続する場合は相続税の負担が重くなる点を知っておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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配偶者と1親等の血族以外の人は相続税が2割増しになる
相続税には、配偶者と1親等の血族以外の人は相続税が2割増しになるルールがあります。例えば、兄弟姉妹・おい・めいなどは、相続税の負担が重くなるのです。
つまり、同じ価値を持つ財産を相続した場合でも、子とおいでは納めるべき相続税に2割の差がつきます。例えば、子が納めるべき相続税が100万円だった場合、おいは120万円を納めなければなりません。
ただし、相続税には「3000万円+(法定相続人の数×600万円)」という基礎控除があります。遺産が基礎控除内に収まっていれば、そもそも相続税は発生しません。
つまり、今回の相談者に配偶者と子がおらず、両親も他界している場合は基礎控除が3600万円となります。1000万円の現預金以外に2600万円を超える資産を保有していなければ、相続税の心配をする必要はありません。
おいに財産を渡す方法
法定相続人以外に財産を渡す方法は、いくつか種類があります。具体的な方法は次のようなものです。
遺言書を書く
自分が死亡したとき、法定相続人以外に遺産を承継させたいときは遺言書が必須です。遺言書がないと、特別縁故者がいない限り財産は国に帰属します。
多くの場合、おいは法定相続人になりません。そのため、おいに遺産を相続させたい場合は判断能力があるうちに遺言書を書くとよいでしょう。
ただし、被相続人(亡くなった人)に配偶者と子がおらず、直系尊属と兄弟姉妹がすでに他界している場合は、おいやめいが法定相続人になるケースがあります。この場合、遺言書がなくてもおいに遺産を相続させることが可能です。
生前贈与する
自分が死亡する前に、おいに生前贈与を行う方法があります。基礎控除である年間110万円を超える贈与を行うと贈与税が発生し、例えば一度に1000万円を贈与すると甥は231万円の贈与税を納めなければなりません。
なお、贈与税には18歳以上の人が直系尊属から贈与を受けたときに適用される「特例税率」と、特例税率以外の「一般税率」があります。特例税率のほうが税負担を抑えられますが、おいへの贈与は一般税率が適用されます。
1000万円の贈与を行うと、一般税率の場合は231万円の贈与税が発生する一方で、特例税率の場合は177万円です。つまり、子への贈与よりもおいへの贈与のほうが、税負担が重くなります。
おいの贈与税負担を抑えて資産を継承させたい場合は、年間110万円の基礎控除を有効活用して複数年に分けて贈与するとよいでしょう。
死因贈与契約を締結する
死因贈与契約は贈与契約の一種で「自分が死んだら財産を渡す」という契約です。贈与契約は口頭でも成立しますが、書面で残したほうが確実性は高いでしょう。
遺言書で財産を渡す場合と異なり、死因贈与契約では当事者同士の合意が必要です。また、贈与契約は遺言書よりも形式要件が緩いことから、贈与が無効になってしまうリスクが低いメリットがあります。
なお、死因贈与は「贈与」という言葉がありますが、発生する税金は相続税です。そのため、贈与者が死亡したときに遺産が相続税の基礎控除を超えていなければ、税負担は発生しません。
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まとめ
配偶者と1親等の血族以外の人が遺産を相続したとき、相続税が2割増しになります。ただし、そもそも相続税の基礎控除内に遺産が収まっていれば、相続税は発生しません。
生前贈与を行う場合は、贈与税が発生するケースがあります。年間110万円以上の贈与を行うと、受贈者であるおいが贈与税を納めなければならないため注意しましょう。
出典
国税庁 No.4157 相続税額の2割加算
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4105 相続税がかかる財産
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー