更新日: 2019.07.04 相続税

知っておきたい相続のキホン。相続の3つの方法って?放棄したい場合は?

執筆者 : 林智慮

知っておきたい相続のキホン。相続の3つの方法って?放棄したい場合は?
親が亡くなると絶対にやってくるものは何でしょう。そう、『相続』です。これは、避けては通れません。
 
「家には何も無いから関係ない」と言う場合も、現預金は無くても家や車、それ以外でも何かしらの持ち物があります。また、「家はマイナスになるから必要ない」と言うことも聞きますが、マイナスになる財産もちゃんと相続人に相続されます。
 

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林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

相続には3つの方法があります

相続には、「単純承認」「相続放棄」「限定承認」の3つの方法があります。
 
1「単純承認」・・相続人(相続する人)が被相続人(亡くなった人)の土地の所有権等の権利や借金等の義務を全て受け継ぐ。
2「相続放棄」・・相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない。
3「限定承認」・・債務がどの程度あるか不明であり、財産が残る可能性もある場合に、相続によって得た財産の範囲で債務の負担を受け継ぐ。
 
明らかにマイナスの財産が多い場合、「相続放棄」を選ぶことが多いでしょう。しかし、プラスになるかマイナスになるかわからない場合は、受け継いだプラスの資産の分を限度に負債を受け入れる「限定承認」を選択することもあります。
 
例えば、資産が1,000万円で、後から負債が1,500万円見つかった場合、限定承認はその相続資産1,000万円を限度に負債を引き受ければ良いので、本来の自分の資産は守られます。しかし、単純承認は、差額の500万円を自分本来の財産から負担しなければなりません。
 
「相続放棄」や「限定承認」を選ぶ場合は、自分に相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てをしなければなりません。そのまま何もせず3ヶ月過ぎてしまうと、「単純承認」とされます。
 
もし、相続財産の調査をしていて3ヶ月では相続を放棄するかどうかの判断が出来ない場合、「相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立書」を相続の開始を知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てをすることで、相続を放棄するかどうか判断する期間を伸ばすことが出来ます。
 

相続放棄の理由

明らかに、プラスよりマイナスの財産が多い場合に選ぶ相続放棄ですが、相続財産がプラスになる場合でも放棄することがあります。
 
「相続放棄の申述書」には、放棄の理由の欄に以下の項目が挙げられています。
・生前に贈与を受けている
・生活が安定している
・遺産が少ない
・遺産を分散させたくない
・債務超過
・その他(その他には具体的な理由を記入します)

 
相続放棄が受理されると、最初から相続人でなかったとされます。相続争いをしたくない、何か貰うより関わりたくない場合や、兄弟の家族が親と同居して親の面倒を見ているから放棄する場合と、理由は様々です。
 
理由は何にせよ、家庭裁判所は、「自分の意志で相続放棄するのか」ということを確認します。家庭裁判所に相続放棄の申述をすると、「相続放棄紹介書」、「相続放棄回答書」が送られてきます。自分の意志で相続放棄をするのかを確認するためです。本人が申述書を提出した場合は、提出窓口で確認することもあります。
 
よって、理由と意思を確認し問題が無ければ受理され、通知書が郵送されます。相続放棄の申述後に取り下げを希望する場合、受理される前ならば可能です。
 

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相続放棄したら、取り消しは出来るの?

申述書が受理されると、相続開始から3ヶ月以内でも相続放棄を撤回することは出来ません。
ただし、
・詐欺又は脅迫によって相続放棄した場合
・未成年者が法定代理人の同意を得ず相続放棄した場合
・成年被後見人が相続放棄した場合
・後見監督人がいるのに、同意を得ず、被後見人もしくは後見人が相続放棄した場合
・保佐人の同意を得ず被保佐人が相続放棄した場合

は、受理された後でも取り消すことが出来ます。
 
相続放棄をすると、最初から相続人でなかったこととされます。そのため、相続放棄をすることで、相続が移動する場合も出てきます。放棄の決断は慎重に行う方がいいでしょう。
 
詳細は、裁判所のHPをご覧ください。
 
※一部内容を修正させて頂きました(最終更新:2019/1/28対応)
 
執筆者:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者