孫の教育資金を「一括贈与」で渡すつもりでしたが、夫に「分けた方がよい」と言われました。非課税制度を利用すればお得なのではないでしょうか?
配信日: 2024.10.15
今回は、教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度の詳細および利用するメリット、注意点について調べてみました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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教育資金一括贈与の贈与税非課税制度とは?
教育資金の一括贈与における贈与税の非課税制度は、祖父母や親など直系尊属から孫や子に教育資金を贈与する際、一定の条件のもと、一定額まで贈与税の非課税枠が設けられている制度です。この制度の利用により、贈与が最大1500万円まで非課税になります。贈与された資金は、教育関連の費用に充てられることが条件です。
通常、財産を贈与する場合は、年間110万円を超えた額には贈与税がかかります。しかし、直系尊属から一括贈与を受けた教育資金や住宅取得資金、結婚・子育て資金などにおいては、一定の要件を満たすことで税金が免除される(非課税制度)措置がとられています。
少子高齢化が進む日本において、教育費の負担は家庭にとって大きな課題です。一方で、高齢者世代(60、70代)の貯蓄額は一般的にその下の世代よりも多い傾向にあります。この非課税制度には、資産を次世代に受け渡し、教育の質を高めて人材育成を支援するという背景があるのです。
国税庁によれば、非課税制度を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
●贈与者は直系尊属(祖父母や親など)であること
●受贈者は30歳未満であり、教育資金としての使用が前提
●金融機関で専用の口座を作り、申告書の提出などの手続きが必要
●最大1500万円が非課税対象(学校等以外に支払う費用は500万円が限度)
●教育資金には、学費・入学金・教材費・留学費用などが含まれる
制度を利用するメリット
この制度の利用で、受贈者(教育資金を受け取る子や孫)への贈与に関して大幅な贈与税の軽減が可能です。利用すれば安心して教育資金を提供できるでしょう。
また、この制度によって長期的な教育資金の確保が可能となり、将来に向けた投資を計画的に行えます。とくに、大学進学や留学を考えている家庭にとっては大きなメリットです。
祖父母から孫へ贈与する場合、一世代飛ばして早期に資産を次世代に移転することで、将来発生する相続税の節税対策としても有効であるといえます。
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制度の注意点
この制度は、令和8年(2026年)3月31日までの期限が設けられています。また、受贈者には、前年の合計所得金額が1000万円以下という制限がある点に注意しましょう。
非課税制度を利用するためには、金融機関などを通じて所定の手続き(教育資金口座の開設、教育資金非課税申告書の提出など)が必要です。手続きには時間がかかる場合もあるため、早めに準備することが望ましいといえます。
受贈者が引き出す際には、教育資金として使ったことを証明する領収書や請求書などを決められた期限までに提出する必要がある点に注意が必要です。贈与された資金は、教育資金としてのみ使用が可能であり、ほかの用途に使用した場合、贈与税が課税されると考えておきましょう。
また、受贈者の年齢は30歳未満が条件です。30歳を超えると、贈与された金額に対して通常の贈与税が課されることになります(ただし、30歳を過ぎても在学中である場合は課税されません。在学しなくなった年の年末、あるいは40歳になった時点での残高に対し、贈与税がかかることになっています)。
契約期間中に贈与者(祖父母や親など)が死亡した場合、受贈者がその死亡日において23歳未満の場合や在学中の場合などを除き、残額に対して相続税がかかる可能性があります。
一括贈与の非課税制度と、分割贈与のどちらが得かはケース・バイ・ケースといえる
教育資金の一括贈与における贈与税非課税制度は、大きな金額を税金負担を軽減しながら贈与できる制度であり、教育資金を早くから確保するのに役立ちます。そのため、とくに教育費が高額になる場合に有利な方法といえるでしょう。
一方、分割贈与は毎年の贈与で贈与税の基礎控除を利用し税負担を軽減するもので、長期間にわたって贈与を行う場合、負担を分散できる点がメリットです。
一括贈与と分割贈与のどちらが得かは、各家庭の状況や教育資金の必要額によって異なるといえるでしょう。家族にとって最適だと思われる方法を選び、賢く資金を管理する必要があります。
教育資金の贈与に関する制度は、将来の教育費用を計画的に準備するために役立つ手段です。制度にはさまざまな条件があるため、利用する際には最新の情報を確認するよう心がけましょう。
出典
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー