生活保護の申請をしたばかりなのですが「遺産」が入りました。申請を取り下げるべきでしょうか?

配信日: 2024.10.16

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生活保護の申請をしたばかりなのですが「遺産」が入りました。申請を取り下げるべきでしょうか?
生活保護は、生活に困窮している人に対して、その程度に応じて必要な保護を行う制度です。制度を利用する際には、居住地域を管轄する福祉事務所の生活保護担当に事前の相談をしてから申請します。
 
しかし生活保護を申請してから遺産が入ることがあるかもしれません。この場合は申告して申請を取り下げたほうがよいのでしょうか。
 
そこで今回は、生活保護を受けるための要件を確認して、遺産が入った場合の適切な対応について調べてみました。
FINANCIAL FIELD編集部

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生活保護を受けるための要件とは?

厚生労働省によると、生活保護を申請する際は、保護を決定するために生活状況や資産についての調査が行われます。ほかにも家族からの仕送りや年金など何らかの収入の有無なども調査され、これらを総合的に判断して保護の決定がなされるようです。
 
保護が決定されると、厚生労働大臣の定める最低生活費から、年金や就労などによる収入を引いた額が保護費として毎月支給されます。
 
生活保護を受けている間も「利用し得る資産、能力その他あらゆるものを最低限度の生活維持のために活用」する義務があり、状況が変化した場合に保護費が減額されたり、要件を満たさなくなると保護が打ち切りになったりすることも考えられます。
 

生活保護の申請をしたばかりなのに遺産が入った……どうすればよい?

生活保護を申請してから、遺産が入った場合はどうすればよいでしょうか。生活保護を受けている人が遺産相続をすることは可能ですが、財産が増えることで生活保護を受けるための要件を満たさなくなる場合がある点に注意が必要です。
 
例えば多額の財産を相続すれば、それを生活費に充てられると判断され、生活保護の受給は認められなくなると考えられるでしょう。一方で、生活保護費の1ヶ月分にも満たないような遺産を相続する場合は、それだけでは生活が成り立たないため生活保護の決定に影響はないとされています。
 
いずれにしても、生活保護を受けられる相続財産がいくらまでかを定める具体的な規定はありません。そのため、申請をしたばかりで遺産が入るような場合は、速やかに福祉事務所に報告して相談する必要があります。
 

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多額の遺産を相続した場合は不正受給に注意

生活保護を受けるための要件を満たさずに保護費を受け取ると、不正受給になるため注意が必要です。申請をする際に、自身の財産や収入について正確に申告する必要がありますが、生活保護を受けている間も、世帯の収入や状況に変化があった場合に速やかに正しく届け出る義務があります。
 
例えば習志野市の「不正受給とならないために(生活保護受給者の皆様へ)」では、不正受給にならないために届け出る内容の一例として、以下のことを挙げています。
 

・世帯員が働き出した。転職した。雇用形態が変わった。
・子どもが就職・大学進学した。
・世帯員が死亡・出産・転入・転出した。
・相続などで資産を得た。
・保有していた資産を処分して収入があった。
など

 
ここには「相続などで資産を得た」も含まれていて、遺産が入った際に速やかに申告する必要があると理解できます。自分で勝手に判断して、遺産が入ったことを黙っていたり、保護が受けられなくなることを心配して遺産の額を偽って申告したりすることがないようにしましょう。
 

生活保護を申請してから遺産が入った場合は速やかに申告しよう! 取り下げるべきかは状況によって異なる

生活保護を申請してから遺産が入るような場合は、福祉事務所に速やかに申告する必要があります。遺産の金額によっては最低限の生活が維持できるようになり、生活保護を受けるための要件を満たさなくなる場合があるからです。しかし遺産が少額で、長期的な生活維持が困難な場合は、申請を継続する可能性があります。
 
十分な遺産を相続して最低限の生活を維持できるようになったのに、それを黙って生活保護の申請を継続して保護費を受け取る場合は、不正受給に該当するでしょう。不正受給にならないためには、遺産について自分で勝手に判断するのではなく、福祉事務所に申告して申請を取り下げるべきか相談することが大切です。
 

出典

厚生労働省 生活保護制度
習志野市 不正受給とならないために(生活保護受給者の皆様へ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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