更新日: 2024.10.21 その他相続

祖父の死後からしばらく経って「現金500万円」を発見!母は「兄弟で分ける」と言っていますが、問題ないのでしょうか?

祖父の死後からしばらく経って「現金500万円」を発見!母は「兄弟で分ける」と言っていますが、問題ないのでしょうか?
遺産分割も終わったあと、亡くなった方の家から現金や預金通帳などの財産が見つかるケースがあります。金額によっては兄弟間で分けたり親子間で分けたりしようと考える方もいるでしょう。
 
しかし、状況に応じては兄弟間だけで分けられないケースもあるため、確認が必要です。今回は、あとから見つかった財産を勝手に分けてもよいのかや、非課税財産などについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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あとから見つかった財産は勝手に分けても問題ない?

亡くなった方の財産は、基本的に遺産分割の対象です。あとから財産が見つかった場合も、その財産を分割する必要があります。ただ、遺産分割の内容に大きな影響を与えるものでなければ、遺産分割協議を完全にやり直す必要は基本的になく、見つかった分の財産に対してどう分割をするのかを、相続をした方同士で話し合って決めれば問題ないとされています。
 
ただし、あとから見つかった財産の金額によっては、相続税が発生する可能性があるため注意が必要です。国税庁によると、相続税の基礎控除額は「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」です。もし、母親と叔父の2人が法定相続人だった場合は、基礎控除額が4200万円になります。そのため、相続財産総額があとから見つかった500万円を足すと4200万円を超える場合は、相続税の申告が必要です。
 
例えば、母親と叔父が法定相続人で、最初の相続財産が合計4000万円、あとから500万円が見つかったとしましょう。最初の時点では基礎控除額よりも相続財産が少ないため、相続税の申告は必要ありません。しかし、500万円が足されると基礎控除額を300万円超えるため、申告が必要です。
 
課税対象が300万円のときは税率が10%のため、相続税額は30万円です。ただし、各種控除の適用により、税額が少なくなる可能性もあります。
 

非課税になる財産もある

国税庁によると、亡くなった方の財産のうち、以下に該当するものには相続税が課されません。

1 墓所、仏壇、祭具など
2 国や地方公共団体、特定の公益法人に寄附した財産
3 生命保険金のうち次の額まで
500万円×法定相続人の数
4 死亡退職金のうち次の額まで
500万円×法定相続人の数

もし、亡くなった方が生前に500万円の仏壇や祭具を購入していたとすると、あとから見つかっても相続税の課税対象にはならない可能性があります。ただし、仏壇をローンで購入していて、亡くなった時点で支払いが終わっていなければ、未払い分は課税対象です。仏壇を見つけた際は、支払いが終わっているか確認しておきましょう。
 

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遺留分の取り扱いに注意

相続財産が増えた際、チェックしておきたい点が遺留分です。遺留分とは、遺言や生前の贈与に関係なく遺族の生活を保障するためなどに決められている遺産の留保分をいいます。亡くなった方と相続した方との関係性や、対象の人数などによって割合は異なり、政府広報オンラインによると以下の通りです。

●相続人が配偶者のみ、直系卑属(子など)のみ、配偶者と直系卑属(子など)、配偶者と直系尊属(父母など)の場合:2分の1
●相続人が直系尊属(父母など)のみの場合:3分の1
●相続人が兄弟姉妹のみの場合:遺留分なし

相続人が複数人いる場合は、法定相続分によって遺留分の割合を計算します。相続人が母と叔父だけだと、遺留分は2人で「2分の1×2分の1=4分の1」ずつです。しかし、祖父の配偶者も相続人の場合は、配偶者が「2分の1×2分の1(法定相続分)=4分の1」、母と叔父が「2分の1×2分の1(法定相続分)×2分の1(人数)=8分の1」ずつとなります。あとから見つかった財産も対象になるため、祖父の配偶者がいる場合は、あとから見つかった現金を兄弟だけで分けられない可能性もあるでしょう。
 

状況によっては兄弟だけで分けられない可能性も

あとから財産が見つかったときは、相続人の当事者同士で話し合えば、原則として再び遺産分割協議をする必要はありません。ただし、あとから見つかった金額とすでに把握していた遺産の合計額が基礎控除額を超えた場合、相続税の申告が必要です。
 
さらに、相続人の中に母の兄弟以外に祖父の配偶者もいた場合、遺留分の都合で兄弟だけでは、新たに見つかった財産を分けられない可能性があります。
 

出典

国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和6年度版) 財産を相続したとき
内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン 知っておきたい相続の基本。大切な財産をスムーズに引き継ぐには?【基礎編】
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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