更新日: 2024.11.22 贈与
子ども名義の口座でお金を貯め、「300万円」になりました。来年大学生になるので学費代わりに「口座」を渡そうと思いますが、税金はかかりますか?
今回は、子ども名義の口座が課税対象になる理由や通常の贈与でも非課税になるケースなどについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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状況によっては贈与税の課税対象
子ども名義でお金を貯めていて、渡したときに課税対象となるかは「年間110万円以下か」「子どもが贈与を認識していたか」を確認しましょう。
まず、贈与は1年間で受け取った財産の合計が基礎控除額である110万円を超えていると課される税金です。そのため、子ども名義の口座に毎月10万円ずつ、年間で120万円を入金すると、課税対象になる可能性があります。
さらに、子ども名義の口座を子どもが受け取るまで認識していないときは、年間ではなく受け取り時点での金額を基に税額を判断されるため、注意しましょう。民法第549条によると、「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」と定められています。
つまり、贈与は財産を渡した相手が「これは贈与として受け取ったものである」と認識した時点で初めて成立するものです。子どもが口座を受け取ったときに初めてお金の存在を知った場合、受け取った時点の合計額がそのまま同年に贈与されたと判断される可能性があります。
もし受け取った子どもが課税対象であることを知らないまま放置していると、申告漏れとしてあとから無申告加算税や過少申告加算税などの税金を追加で課される可能性もゼロではありません。そのまま口座のお金を渡しても課税されないかは、専門家に問い合わせるなどして事前に確認しておきましょう。
贈与税がかからないケースもある
子どもへ口座を利用して一度にお金を渡さなくても、非課税になる項目を知っておくと子どもに税金の負担をかけずに支援が可能です。非課税になる項目の例をご紹介します。
生活費や教育費として都度直接渡す場合
国税庁によると、親子間での財産贈与に関して「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」は非課税と示しています。
例えば、大学入学に際して子どものために授業料や教材費を支払ったり文房具を買いそろえたりするのは、非課税になるでしょう。ただし、親から受け取ったお金を子どもが教育費に使わず、貯金や遊びに使用すると課税対象になるため、子どもへ「目的外で使用しないこと」を伝える必要があります。
お年玉や入学祝い金として渡す場合
お年玉や入学祝い金などは、社会通念上相当と認められる範囲であれば非課税です。国税庁の公式サイトでは「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの」は贈与税がかからないと示されています。
ただし、社会通念上相当とみなされる明確な判断基準は提示されていません。お祝いとして渡した金額が課税対象になるか分からないときは、専門家の方に相談しましょう。
制度を活用して渡す場合
制度を活用するとまとめて教育費を渡しても一定金額まで課税されないケースもあります。一度にまとめて渡せる制度の例は以下の通りです。
・直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度
・直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度
・直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度
どの場合でも、一定の要件を満たし手続きをしたうえで制度を活用すると、まとめて渡しても一定金額までは非課税です。お金を渡す目的が制度の適用される内容なら、今すぐ渡さずに入学時など必要になったタイミングで渡す方法もあるでしょう。
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課税対象となった場合の税額
今回は、以下の条件で子どもに口座を引き渡したときの贈与税額を求めましょう。
・渡した時点で預金残高は300万円
・子どもは渡したときに初めて自分のために貯金されていたことを知る
・ほかに贈与はない
・子どもが大学生(18歳)のときに渡す
基礎控除を引くと、課税金額は190万円です。国税庁によると、特例税率で課税金額が200万円以下のときの税率は10%と定められています。そのため、贈与税額は19万円です。
渡す時点の金額が110万円を超えているため課税対象になる可能性がある
子ども名義の口座にお金を貯金する場合、年間で110万円を超えていたり子どもが受け取るまでその存在を知らなかったりすると、贈与税の課税対象になる可能性があります。今回のケースだと、300万円なので子どもが受け取ったときに初めて贈与を認識していれば課税対象になるでしょう。
子どもへの税金負担をなるべく抑えたいときは、非課税となる項目を確認して教育費を出したり、制度を活用したりする方法があります。
出典
e-Govポータル法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号) 第三編 債権 第二章 契約 第二節 贈与 第五百四十九条(贈与)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー