毎年110万円以内なら「贈与税」はかからないと聞きました。「500万円」を5年に分けて子どもに渡せば課税されないのでしょうか?

配信日: 2024.12.13

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毎年110万円以内なら「贈与税」はかからないと聞きました。「500万円」を5年に分けて子どもに渡せば課税されないのでしょうか?
1年で110万円を超えて財産を渡すと贈与税がかかります。そのため、子どもに多額のお金を渡したいとき、数年に分けることで課税されるのを避けようと考える方もいるでしょう。
 
しかし、数年に分けた場合でも、状況によってはまとめて課税されるケースがあるため、注意が必要です。今回は、まとめて課税される理由や課税されないための対策などについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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贈与は受け取った年以外も合算されるケースがある

贈与税は、1年間の基礎控除額が110万円と定められています。年間110万円以内なら子どもに財産を渡しても税金はかかりません。ただし、毎年同じ金額を渡すときは「定期贈与」とみなされないよう工夫が必要です。
 
定期贈与とは、1000万円などの金額を数年間に分けて毎年同じ金額を同じ人物に渡すことをいいます。国税庁のホームページで記載されている、同じ金額を毎年渡したときにおける贈与税額の扱いをまとめると、以下の通りです。

・毎回贈与契約が行われているものなら毎年その金額分で贈与税を計算し、基礎控除額内なら申告は不要
 
・初年度の時点で毎年贈与されることがお互いに明らかなときは、初年度のときに渡す総額を贈与されたものとして計算する

子どもが、総額で500万円を受け取ることを、お金が渡される初年度時点で認識している場合は、初年度に500万円を贈られたとして基礎控除額を超えた分に贈与税が課されます。一方、子どもと毎年お金を渡すたびに贈与契約を結ぶ場合は、基礎控除額内であれば贈与税が課されません。
 

500万円が贈与された場合の贈与税はいくら?

今回は、以下の条件で税額を求めましょう。

・子どもは成人済み
 
・贈与額は500万円
 
・ほかに同じ年の贈与はない

条件を基にすると、基礎控除額110万円を引いた390万円が課税対象です。
 
贈与税の計算をする際、両親や祖父母など(直系尊属)から18歳以上の子どもへの贈与なら特例税率が、そのほかは一般税率がかかります。今回のケースだと特例税率で、国税庁によれば、課税価格390万円のときの税率は15%、控除額は10万円のため、税額は48万5000円です。
 
贈与税は受け取った側が支払うため、子どもが約49万円の税額を負担することになります。
 

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課税されないためのポイント

毎年お金を渡しても課税されない手段としては、贈与契約書を都度作る、生活費など非課税となる項目で支援するなどの方法があります。
 
国税庁によると、贈与で財産を受け取ったと判断される基準は、以下の通りです。

・口頭による贈与の場合:贈与の履行があった時
 
・書面による贈与の場合:贈与契約の効力が発生した時
 
・停止条件付贈与の場合:その条件が成就した時
 
・農地等の贈与の場合:農地法の規定による許可または届出の効力が生じた時

つまり、毎年贈与契約書を作ったうえで贈与するのであれば、100万円ずつ渡しても課税されない可能性があります。
 
また、贈与契約書を作らない場合は、非課税になる項目としてお金を渡す方法も有効です。子どもの生活費や教育費として親から渡されたお金は、必要な都度、直接その目的に使用したのであれば非課税になります。
 
そのため、子どもの生活のためにお金を渡したいときは、一括ではなく必要になるたびに渡した方がよいでしょう。ただし、子どもが受け取ったお金を本来の目的ではなく株式や貯金に回すと、贈与とみなされることになります。子どもには、目的通りに使用するよう伝えましょう。
 

毎年お金を渡すたびに贈与契約を結べば課税されない可能性がある

贈与税は、定期的に渡すことが事前に分かっていれば、お金を渡す初年度にまとめて税金がかかることがあります。もし、100万円を5年間渡したものが定期贈与として判断されると、初年度に500万円を贈与したとして贈与税がかかるでしょう。
 
課税されないように渡したいときは、毎年贈与契約書を作って渡したり、非課税項目を活用したりする方法があります。特に、お金の使い道が生活費や教育費のためなら、必要になったタイミングで直接支払った方が課税されないでしょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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