両親が亡くなり「古い実家」を仕方なく相続。物置から「500万円」のタンス預金や骨とう品が見つかったけど、相続を嫌がっていた兄弟には渡さなくていいですよね?
配信日: 2025.01.25
相続財産の協議が終わり、遺品を整理していると、その実家から資産価値の高いものが見つかることもあります。仕方なく実家を相続した人から見れば「実家を相続したのだから、そのままもらっていいだろう」と考えてしまうかもしれません。
本記事では、相続した古い実家から500万円のタンス預金と骨董品のコレクションが見つかった場合、相続ではどのような取り扱いになるのか解説します。また、その際は相続人の間でどのような対応が必要なのか解説します。
執筆者:松尾知真(まつお かずま)
FP2級
実家にあったタンス預金や骨董品はどんな取り扱いになるのか
相続した実家からタンス預金や骨董品が見つかった場合、その所有者は亡くなった親であるため、相続財産の1つになります。実家にあったものなので、実家を相続した人に所有権があると勘違いするかもしれませんが、あくまでも不動産である実家とは別の財産です。
そのため、新たに見つかったタンス預金や骨董品など資産価値が高い遺品は、ほかの相続財産同様、遺族間で遺産の分配を話し合う「遺産分割協議」が必要です。実家の相続を嫌がったほかの遺族にも権利があるのは、実家を相続した人には納得しづらいかもしれませんが、法定相続分がある遺族には速やかに連絡するほうが望ましいでしょう。
現金であるタンス預金は金額がハッキリしていますが、骨董品のコレクションは普通の人には価値が分かりにくいものです。
そのため、話し合いの前に価値が高そうなものは鑑定人などに鑑定を依頼したり、比較的低額なものは、取引事例や専門家の意見を参考にしたりして、正しい評価額を把握しておく必要があります。価値を把握しておけば、遺産分割の話し合いをスムーズに進められます。
遺産分割協議はやり直す必要があるのか
本来、遺産分割協議は全ての相続財産について話し合うものです。しかし、今回のケースではすでに実家の相続が終わっていることから、タンス預金などが見つかる前に遺産分割協議も終了している可能性が高いでしょう。
この場合、従前の遺産分割協議は必ずしもやり直す必要はありません。すでに行った遺産分割協議を取り消した上で、新たな相続財産を加えて協議し直すことも可能ですが、相続人間の承諾があれば、タンス預金など新たに見つかった相続財産についてのみの遺産分割協議を追加することもできます。
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相続税の申告が終わっていたら
相続財産が基礎控除の金額を超えていて、相続税の申告を済ませていた場合は、修正申告も必要になります。
タンス預金も骨董品も相続財産である以上、相続税の対象です。仮に親族間で分配しても、申告や納税義務がなくなるわけではなく、タンス預金500万円と骨董品の評価額を相続財産に含めた上で修正申告しなければなりません。
タンス預金は、銀行預金のように通帳があるわけでもなく、親が現金で保管していたものなので税務署も分からないと思うかもしれません。しかし、税務署は国税総合管理システム(KSK)や税務調査などによってタンス預金の存在を把握することが可能です。
そのため、修正申告を怠ると延滞税や重加算税といったペナルティを課せられる可能性もあります。相続税の申告が終わっていたとしても、新たに遺産が出てきた場合は、すみやかに修正申告などの対応をするように心掛けましょう。
まとめ
相続した実家から見つかったタンス預金や価値のある骨董品・美術品などの遺品は、実家とは別の相続財産です。そのため、実家を相続したからといって、そのまま自分のものにはできません。また、新たに見つかった財産についての遺産分割協議はもちろん、場合によっては相続税の修正申告も必要です。
すでに遺産分割協議が終わっていた場合は、遺産分割協議をやり直すか、新たに見つかった相続財産についての遺産分割協議を行う必要があります。親が残してくれた遺産を有効に活用するためにも、トラブルにならないよう、まずは相続人間で話し合いましょう。
出典
国税庁 延滞税
財務省 加算税の概要
執筆者:松尾知真
FP2級