教育費のために「月5万円」を、子どもの預金口座に貯金しています。18年後には「1000万円」になる予定ですが、子どもに通帳を渡したら“贈与税”がかかりますか?

配信日: 2025.02.24 更新日: 2025.02.25

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教育費のために「月5万円」を、子どもの預金口座に貯金しています。18年後には「1000万円」になる予定ですが、子どもに通帳を渡したら“贈与税”がかかりますか?
子どもの教育費(幼児~大学まで)は、入学金や授業料などで約840万~2400万円のお金がかかるとされます。そのため、子どもが小さいときから貯金をしている家庭もあるでしょう。
 
しかし、子ども名義の通帳に貯めていたとしても、場合によっては贈与税がかかってしまう可能性があります。贈与税の対象となるケースや負担を軽減するための方法について確認しておきましょう。
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年間110万円を超えると贈与税がかかる

子ども名義の通帳にお金を貯めておくのは、教育費や結婚祝いなど将来のために役立つ1つの方法です。しかし、1年間に渡したお金の合計が110万円を超えた場合には「贈与税」が発生します。
 

贈与税の仕組みとは?

贈与税は、個人から贈与により財産を取得したときにかかる税金で、基礎控除額110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。つまり、親や祖父母が子どもに渡したお金が年間110万円を超えた場合、その超えた分に対して課税されます。子ども名義の通帳に1000万円を一度に入金すると、110万円を差し引いた890万円が課税対象になります。
 
贈与税の税率は、金額が大きくなるほど高くなります。1000万円を子どもに渡した場合、贈与税は以下の通りです。

●18歳以上の子に贈与する場合、特例税率が適用され177万円
課税対象890万円に税率(30%)をかけて、控除額の90万円を引いた額
 
●18歳未満の子に贈与する場合、一般税率が適用され231万円
課税対象890万円に税率(40%)をかけて、控除額の125万円を引いた額

このように一度に大きな金額を子どもに渡すと、多額の税金がかかります。
 

名義預金とみなされるリスク

また、「名義預金」とみなされるリスクにも気を付けたいところです。名義預金とは、通帳は子ども名義でも、実際には親が管理し、自由に使える状態を指します。この場合、税務署はそのお金を親の財産と判断します。
 
例えば、親が通帳や印鑑をずっと管理していて、子どもが大人になったときに「1000万円貯めておいたよ」と渡したとします。贈与税がかからないように、貯金額を年間110万円以内に抑えていたとしても、この渡したタイミングで贈与が成立したとみなされ、課税対象になる可能性があります。
 

教育資金であれば贈与税はかからない

教育費や生活費として子どもに都度贈与をする場合、贈与税はかかりません。子どもの高校入学金を支払った、大学進学のための受験費用を支払ったなど、都度必要な分だけを渡すのであれば、110万円以上でも贈与税の申告は不要です。
 
また、一括で贈与する場合でも、「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」という制度を使えば、1500万円まで贈与税なしで渡すことができます。対象となる主な費用は以下の通りです。

●学校の授業料や入学金
●教材費や制服代
●塾や習いごとの費用(500万円まで)
●通学の交通費
●修学旅行費

将来の教育に必要なお金を、まだ使う予定がなくても、まとめて一度に贈与したい場合、前もって資金を準備しておきたい場合などに利用します。制度を利用するには以下の条件があります。

●30歳未満の子どもが対象
●教育目的で使ったことを証明する領収書が必要
●金融機関で専用の口座を開設する

教育資金以外でも、日常生活に必要な費用(食費、家賃、医療費など)を子どもに贈与する場合は非課税です。ただし、ぜいたく品の購入や浪費と判断されると課税対象になることもあるため注意しましょう。
 

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贈与税の負担を軽減するポイント

贈与税の負担を減らすためには、いくつかのポイントがあります。
 

1.110万円以下の範囲で入金する

年間110万円以内で贈与する場合、贈与税はかかりません。
 
ただし、毎年同じ時期に同じ金額を入金すると、もともと110万円以上の贈与をする予定だった(定期贈与)とみなされ、課税対象となる可能性があります。1年目は4月に90万円、2年目は8月に100万円、3年目は12月に105万円など月や入金の金額を変えると、定期贈与とみなされるリスクが減らせます。
 

2.贈与契約書を作成する

贈与契約書は、贈与が正式に行われたことを証明する重要な書類です。親が子ども名義の口座に資金を入金する場合、証明書がなければ税務署から親の財産とみなされ、課税対象となる可能性があります。
 
贈与契約書を作成することで、税務調査や相続時に贈与の事実を明確に示すことができ、名義預金や定期贈与とみなされるリスクを軽減します。
 

3.早めに通帳の管理を子どもに任せる

通帳や印鑑を親が管理していると、名義預金とみなされるリスクが高まります。そのため、子どもの成長に合わせて、少しずつ通帳の管理を任せていくことが大切です。
 
多くの銀行では15歳以上から単独で口座開設ができるようになるので、その年齢を参考に、子どもの管理能力を見ながら、徐々に任せていきましょう。
 

まとめ

子どもの教育費のための貯金は、将来への大切な投資です。しかし、子ども名義の口座を使用して貯金をしたとしても、贈与税の対象となる場合があります。教育費として都度渡す、教育資金の一括贈与の非課税措置を利用する、贈与契約書を作成するなど適切な方法を選択することが重要です。
 
また、名義預金と判断されないよう、通帳の管理方法にも注意しましょう。贈与の方法や税金の取り扱いについて不安な場合は、税理士に相談することをおすすめします。
 

出典

文部科学省 令和5年度子供の学習費調査の結果について
文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
文部科学省 教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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