母が銀行通帳を「ペーパーレス化」したとのこと。夫に「相続のとき大変にならない?」と言われたけど、やっぱり“紙の通帳”のほうがラクなの? 注意点を解説
配信日: 2025.02.24 更新日: 2025.02.25

その一方で、「相続しにくくなるからやめたほうがいい」と考える人もいるようです。実際はどうなのでしょうか?
本記事では、銀行がペーパーレス通帳を推奨する理由や相続時のデメリット、対処法を解説します。

執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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大手ネット銀行は通帳廃止を促進! 理由は印紙代?
現在、大手メガバンクを中心に、紙の通帳を使わない「Web通帳」(三井住友銀行)、「みずほダイレクト通帳」(みずほ銀行)、「Eco通帳」(三菱UFJ銀行)といったサービスが展開されています。
メリットとして挙げられるのは、長期間の明細確認ができること(三井住友銀行の場合30年)、24時間いつでも最新の残高や明細が確認できること、紙資源の保全につながることなどです。
ほかにも、ATM利用手数料が優遇されるなど、ペーパーレス通帳に対する特典が提供されています。
銀行側がこれを進める理由は、利用者の利便性向上のためだけではありません。
各銀行が通帳のペーパーレス化を進める背景には、通帳発行にかかるコスト削減があるとされています。通帳の原価に加えて、1冊(1年ごと)にかかる200円の印紙代が銀行にとって大きな負担となっているのです。
三井住友銀行は年間400万冊の通帳を発行しているとしています。この全てに印紙代がかかっているわけではないものの、大きなコストであることは間違いないでしょう。
通帳がないと相続が大変なのは本当?
通帳がないと相続が大変になると言われる最大の理由は、遺族が口座の存在に気付けない可能性があるからです。紙の通帳があれば、相続手続き時に口座の確認が比較的簡単ですし、その場である程度であれば資産も把握できます。
しかし、ペーパーレス化された口座の場合、遺族が口座を把握できず相続もれにつながるリスクがあるのです。
現在、全国全ての銀行に口座があるかどうか一括で調査する仕組みはありません。全く手がかりがない場合は、それぞれの銀行窓口で個別の確認が必要で、手間や費用がかかってしまうのです。
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通帳をペーパーレス化する場合にすべきことは?
ペーパーレス化された通帳を利用する際には、万一のことがあったとしても、遺族が口座の存在をスムーズに把握できるように、親に準備してもらうことが大切です。
具体的には、親の銀行口座や証券口座の名称、支店名、口座番号を一覧表にしてもらうと良いでしょう。通帳は銀行口座を把握するのには役立ちますが、通帳がないと相続ができないというわけではないため、十分な対策となります。
また、不要な口座は解約しておいてもらうことで、相続時の調査や手続きの負担を大幅に減らせます。
なお、こういった対策は紙の通帳を利用している場合でも有効です。紙の通帳があっても、遺品整理の際に遺族が見落とすことは十分考えられます。事前に一覧表を作成してもらい、相続人の間で共有しておくか、安全な場所に保管しておきましょう。
ペーパーレス通帳でも紙通帳でも、相続準備が大切
銀行のコスト削減を背景に普及が進んでいるペーパーレス通帳は、利用者にとってもメリットがあるものです。しかし、通帳が一切ない場合は相続で見落とされる可能性が高まることにも注意しなければなりません。
見落とさないように、日頃から親が利用している口座の状況を家族にも分かりやすく共有してもらうことが大切で、これは紙通帳を使う人にも当てはまります。この記事をきっかけに、親に資産や銀行口座を整理してもらうのはいかがでしょうか。
出典
三井住友銀行 Web通帳
みずほ銀行 みずほe-口座・みずほダイレクト通帳
三菱東京UFJ銀行 Eco通帳(インターネット通帳)
国税庁 印紙税額
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士