孫が大学に合格したので、1年目の「入学金・授業料」の150万円を払ってあげたい! 110万円を超えるなら「贈与税」が発生すると聞きましたが、学費なら大丈夫と聞きましたが、税金はかかるのでしょうか?

配信日: 2025.02.27

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孫が大学に合格したので、1年目の「入学金・授業料」の150万円を払ってあげたい! 110万円を超えるなら「贈与税」が発生すると聞きましたが、学費なら大丈夫と聞きましたが、税金はかかるのでしょうか?
大学入試で見事合格を勝ち取った孫に対して、大学の入学金や授業料を援助してあげたいと思う祖父母もいるでしょう。しかし「1年間で110万円を超えると贈与税がかかるはず」「いや、学費なら贈与税はかからないのでは?」など、贈与の仕組みを詳しく知らず悩む人もいるかもしれません。
 
実はどちらも正しい情報で、年間110万円を超える贈与を受けると贈与税がかかるのが通常ですが、学費であれば贈与税がかからない場合があります。しかし、贈与の仕方によっては学費であっても贈与税が課されるため注意が必要です。
 
本記事では、贈与税を回避しつつ孫の学費を支払う方法を解説します。
浜崎遥翔

執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

年間110万円を超えると贈与税がかかる。150万円の場合は?

贈与税は、1年間に個人から受け取った財産が110万円を超えた場合にかかる税金です。110万円まで非課税な理由は基礎控除があるからで、1年間に贈与を受けた金額から基礎控除額の110万円を差し引いた金額に贈与税がかかります。
 
例えば、150万円の贈与を受けた場合は、150万円から110万円を引いた40万円に贈与税がかかります。贈与税は贈与を受けた金額が多ければ多いほど税率が上がる仕組みです(累進課税)。1年間で贈与を受けた金額が200万円以下のときの税率は10%なので、贈与税の金額は「40万円×10%」で4万円です。
 
なお、贈与税は贈与を受けた人が支払います。翌年の3月15日までに支払わずに税務署の指摘を受けると、本来の贈与税に加えて延滞税や無申告加算税などが課税されるため、正しい申告と贈与税の納付が必須です。
 

学費として都度渡した場合、贈与税はかからない

国税庁は、「扶養義務者が学費や生活費として渡す、必要な都度直接学費に充てるための財産」は贈与税の対象外としています。民法上は祖父母も孫に対する扶養義務者です。
 
したがって、実際に入学金と授業料で150万円が必要で、そのために贈与された150万円は贈与税の対象外となります。
 
では、実際にかかる学費が145万円のところ、キリよく150万円の贈与を受けた場合はどうでしょうか? 確かに、150万円のうち5万円は「学費の都度贈与」に該当しないため課税対象です。ただし、基礎控除110万円の範囲内であるため、結果的に贈与税はかかりません。
 
これらのことから、通常であれば孫の学費援助に贈与税がかかることはないといえます。
 

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注意! 学費の援助が贈与税の対象となる場合もある

扶養義務者からの学費の援助であっても、都度贈与に当たらない財産の贈与には贈与税がかかることに注意が必要です。
 
国税庁は、「学費の名目で贈与を受けた場合でも、預金や株式の購入に充てる場合は贈与税がかかる」としています。例えば、祖父母が孫に学費のつもりで贈与をしたとしても、学費は親(祖父母の子)が支払っており、祖父母からもらった全額を預金していたというケースのような場合、贈与税の対象となってしまいます。
 
また、都度贈与に該当するかどうかの判断は税務署が行うため、客観的な証拠を残しておくことが重要です。例えば、学費の領収書や振り込み明細を保管しておくことや、祖父母が直接学費を支払う(振り込む)ことなどが有効とされています。
 
では、4年間の学費の援助を目的に、400万円を一括で贈与した場合はどうでしょうか? 1年目の入学金や学費は都度贈与に当たります。しかし、それ以外の部分は、「2年目以降の学費」のための預金となるので、贈与税の課税対象となります。
 
贈与税を非課税とするためには、数年分を一括で贈与するのではなく、毎年必要額を贈与する形にしなければなりません。
 
数年分の教育資金を一括で贈与したい場合は「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度」を利用する方法もあります。この制度を利用すれば、最大1500万円まで非課税贈与が可能です。金融機関との契約が必要でひと手間かかるものの、検討しても良いでしょう。
 

学費としての贈与には原則贈与税はかからないが、例外もあるので気を付けよう

通常祖父母から孫へ、学費として贈与をする際には贈与税はかかりません。これは、学費が高くなりがちな理系学部、医学部などへの進学に関しても同様です。ただし、あくまでも「必要な都度、直接学費に充てる財産」の贈与に限られます。
 
また、学費として渡しても孫が学費として使わなかった場合や、数年分の学費を一括で渡した場合には贈与税の対象となることは知っておくべきでしょう。贈与税が課されることを避けたいのであれば、孫にお金を渡すのではなく、直接祖父母が学費を支払う(振り込む)ことが確実です。
 
学費の贈与について正しい知識を身に付け、余計なトラブルを防ぎましょう。
 

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
 
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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