自営業だった両親は年金が少なく、生活費が心配です。少しでも助けられればと思い仕送りを考えていますが、贈与税はかかるのでしょうか?
配信日: 2025.02.28

そこで本記事では、自営業者の年金事情や、仕送りに関する税金の注意点について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
自営業者は会社員と比較すると年金が少ない
自営業者や個人事業主として働いてきた人は、国民年金(老齢基礎年金)が老後の主な収入です。国民年金保険料は所得にかかわらず月額1万6980円(令和6年度)と一定で、会社員が加入する厚生年金と比べると毎月支払う金額の負担は比較的軽いですが、その分受け取れる年金額も少なくなります。
老齢基礎年金の支給額は、納付期間に基づいて決まります。日本年金機構の主要統計によると、令和6年9月末現在の平均支給額は月5万8267円と厚生年金と比べると大幅に少ないため、自営業者であれば老後の生活費が十分にまかなえないケースもあるでしょう。
両親への仕送りで贈与税が発生するパターンもある
両親の生活費や通院、介護費用など必要な金額を仕送りする場合、基本的には贈与税はかかりません。しかし、状況によっては贈与税が発生するケースもあります。例えば、まとめて大きな金額を渡す場合です。両親の生活に必要以上の金額を仕送りすると、贈与とみなされ課税対象となる可能性があります。
贈与税の支払いを避けるためには、送金した金額が生活費や医療費、介護費用として使われたものであると証明しなければなりません。通院費や介護費用の領収証を保管し、送金が具体的な支出に対応していることを記録しておくと安心です。
仕送りの金額を年間で110万円以下にすれば贈与税は発生しない
贈与税には、基礎控除額として110万円が設定されているため、両親への仕送りを年間110万円以内に抑えれば贈与税が発生することはありません。
ただし、贈与税は1月1日から12月31日までの1年間の合計額に基づいて計算されるため、送金のタイミングにも注意が必要です。仕送りを計画する際は、1年間の総額が基礎控除額を超えないように調整しましょう。
【PR】「相続の手続き何にからやれば...」それならプロにおまかせ!年間7万件突破まずは無料診断
両親に仕送りをするならいくら?
両親に仕送りをする場合、具体的な生活費を把握することが大切です。総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、2人以上の世帯のうち、65歳以上の無職世帯の家計収支は図表1のとおりです。
図表1
食料 | 7万2930円 |
住居 | 1万6827円 |
光熱・水道 | 2万2422円 |
家具・家事用品 | 1万477円 |
被服・履物 | 5159円 |
保健医療 | 1万6879円 |
交通・通信 | 3万729円 |
教養・娯楽 | 2万4690円 |
その他の支出 | 5万839円 |
合計 | 25万959円 |
出典:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」より筆者作成
図表1によると、月々の生活費の平均額は約25万円となっています。一方で、前述の日本年金機構の主要統計から考えると、国民年金を受給している夫婦の受給額は月約11万6500円です。
この年金額を生活費から差し引くと、毎月約9万円が不足します。不足分をどのように補うかは、家庭の事情や両親の貯蓄状況によって異なりますが、家族の仕送りが選択肢の一つとなるでしょう。
仕送りをする際は家計の負担を考慮し、両親と具体的な金額について話し合うことが大切です。両親の収入や支出を詳しく確認し、どの部分に支援が必要なのかを明確にすることで、効果的なサポートが可能になります。
仕送りに贈与税がかかる場合もあるため金額に注意する
自営業者だった両親への仕送りを行う際には、贈与税が発生しない範囲で金額を調整する必要があります。また、生活費や医療費など、実際に生活に必要な費用に限定することで、贈与税の支払いを避けることが可能です。
年間110万円以内の仕送りであれば非課税となるため、送金額やタイミングを慎重に計画しましょう。また、両親と具体的な生活費について話し合い、サポートが最も必要な部分を明確にすることが効果的な援助につながります。
出典
日本年金機構 国民年金保険料
日本年金機構 日本年金機構の主要統計
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー