相続のことを考えると「親の資産」がどれくらいあるのか心配です。自然に確認する方法はあるのでしょうか?
配信日: 2025.03.01


執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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親の資産がどのくらいあるか知らない人は多い
親の資産状況を把握していない人は意外と多いものです。親がいついなくなるかは分かりません。そのため、万が一のことが起こる前に準備をしておきたいと考える人もいるでしょう。親の資産で把握しておきたいものは預貯金だけではありません。株や投資信託、不動産、生命保険など、多岐にわたります。
親の資産を把握していないと相続でトラブルになりやすい
親の資産状況を把握していないまま不測の事態が起こると、さまざまな問題に直面する可能性があります。例えば、親が急な入院をした場合に、預金口座がどの金融機関にあるかが分からなければ、入院費を支払うことが困難になるかもしれません。
また、生命保険に加入していたとしても保険会社が不明であれば、給付金を受け取れないという事態もあり得るでしょう。
特に、相続においては注意が必要です。親が亡くなると、資産は法律で定められた相続人で分けることになります。相続財産が一定額を超える場合は相続税の支払いも必要です。相続税は、相続のあったことを知った日(通常は被相続人の死亡の日)の翌日から10ヶ月以内に申告と納税をしなければなりません。
しかし、相続手続きを進めるには、まず親の保有資産をすべて把握する必要があります。親が亡くなった後に預金通帳や保険証券を探すのは大変な作業です。こうした負担を減らすためにも、早めに親の資産状況を確認しておくことが望ましいでしょう。
親の資産を自然に確認する方法
親の資産状況を把握するためには、自然なタイミングで話し合うことが大切です。遠方に住んでいる場合、夏休みやお正月など帰省時が絶好の機会となります。ただし、突然「資産の話を聞かせて」と切り出すのは、親に不安や警戒心を与えるかもしれません。
まずは何を確認すべきかリストを作成しましょう。預貯金、株式、不動産、生命保険など、重要な財産情報に漏れがないよう整理しておくことがポイントです。資産情報に漏れがあると、親が亡くなった後の相続手続きでトラブルの原因になることがあります。聞き漏らしを防ぐためにも、リストを見ながら確認していきましょう。
また、親に話を切り出す際は、「お父さんとお母さんのために、財産を整理しておきたい」という気持ちを伝えることが大切です。「入院や介護が必要になったときの費用が心配だから」など、親の負担を減らすためであることを強調すると、話がスムーズに進みやすくなります。
直接聞き出すのが難しい場合はエンディングノートや遺言書を作成してもらう
親が資産について直接話すのをためらう場合は、エンディングノートや遺言書の作成をすすめる方法もあります。遺言書は法的効力があり、遺産の分け方を指定できます。一方、エンディングノートには法的効力はありませんが、預貯金口座や保険情報など、資産の所在を記録するのにおすすめです。
遺言書やエンディングノートの作成を促す際には、親が取り組みやすいようサポートしましょう。遺言書の作成に関する資料を用意したり、エンディングノートを購入して渡したりすることで作成してもらいやすいといえます。
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死後の財産調査における注意点
親の資産を生前に確認できなかった場合は、親の死後に財産調査を行う必要があります。財産調査を進めるためには、他の相続人とコミュニケーションを密に取ることが非常に重要です。
なお、財産調査では、預貯金口座や不動産、株式、保険契約などをすべて確認する必要があります。また、調査結果はすべての相続人と共有し、透明性を保つことが大切です。情報を隠したり、一部の相続人だけが情報を握ったりすれば、トラブルの原因になりかねません。
財産調査は、相続が発生してから2ヶ月以内に終わらせることが推奨されています。これは、相続放棄の期限(3ヶ月)や準確定申告の期限(4ヶ月)などがあるためです。
財産の種類や内容が複雑な場合や、特定の資産が見つからない場合は、専門家の力を借りることも検討しましょう。税理士や弁護士、司法書士に相談することで、手続きの効率化や税務対策が期待できます。
親の資産を確認する際は寄り添う気持ちが大切
親の資産状況を確認する際は、親の気持ちに寄り添いながら話を進めることが大切です。資産の確認は、万が一のときの事態に備えるための前向きな取り組みです。親と直接話しにくければ、エンディングノートや遺言書の作成を提案してみましょう。
また、親の死後に財産調査を行う場合は、相続人間で情報を共有し透明性を保つことがトラブル回避のポイントです。必要に応じて専門家の助けを借りることも検討しましょう。
出典
国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー