70歳で貯蓄「4000万円」の父。「寿命までに使い切れない」と生前贈与してくれることになったのですが、注意点はありますか?

配信日: 2025.03.15

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70歳で貯蓄「4000万円」の父。「寿命までに使い切れない」と生前贈与してくれることになったのですが、注意点はありますか?
相続税対策のために生前贈与を利用している人もいるのではないでしょうか。生前贈与は上手に使えば大きく節税できますが、持ち戻し期間があるなどいくつか注意点もあります。
 
本記事では、生前贈与の概要や生前贈与をする際の注意点を解説します。
山根厚介

執筆者:山根厚介(やまね こうすけ)

2級ファイナンシャルプランニング技能士

生前贈与とは

生前贈与とは、親など財産をもつ人(以下被相続人とします)が存命中に財産を子どもなどほかの人に贈与することです。贈与によって財産を減らすことで、亡くなったあとに行われる相続の財産が少なくなるため、結果として相続税が少なくなるメリットがあります。
 
生前贈与には暦年贈与と相続時精算課税制度の2つがあります。
 

暦年課税(暦年贈与)

暦年課税とは毎年贈与を行い、合計額に応じて贈与税が課税されることです。贈与税は1人あたり110万円の控除があります。つまり、110万円までなら税金がかからないため、毎年110万円ずつ贈与すれば、非課税で相続財産が減らせる仕組みです。
 
子どもや孫が複数いればその分多く非課税で贈与できます。例えば、子どもが2人、孫が3人いれば、110万円×5=550万円まで利用可能です。
 

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、年間110万円の基礎控除のほか2500万円までは贈与税を払わずに財産を受け取れる制度です。被相続人が亡くなった時点で、贈与された額と残された相続財産を合計した額から相続税額が計算されます。
 
2500万円を超えた額の贈与税率が一律20%になったり、収益物件を贈与すれば相続税対策になったりするなどのメリットがありますが、どちらかといえば相続財産が多めの人向けの制度でしょう。利用の際には申告が必要だったり、暦年課税に戻せなかったりするデメリットもあります。
 

生前贈与をする際の注意点

生前贈与は、相続税が少なくなるなどのメリットがありますが、注意点もあります。注意点を2点紹介します。
 

持ち戻し期間がある

生前贈与には「持ち戻し期間」があります。持ち戻し期間とは、被相続人が死去したときから一定期間までさかのぼった贈与が相続財産に戻されることです。つまり贈与によって税金がかからないと思っていたにもかかわらず、持ち戻し期間によって相続税がかかる可能性があります。
 
持ち戻し期間は7年間で対象は相続人のみです。例えば配偶者、子、孫がいる場合、一般的に相続人は配偶者と子です。この場合、孫は相続人ではないため持ち戻し期間が適用されません。ただし、遺言で孫も財産を相続したときなどは、孫も相続人になるため持ち戻し期間が適用されます。
 

相続税には基礎控除がある

相続税には基礎控除があります。基礎控除の額は「3000万円+(法定相続人の数×600万円)」です。法定相続人が1人の場合、基礎控除額は3000万円+(1×600万円)=3600万円になり、3600万円までは税金がかかりません。
 
基礎控除額に満たない額しか財産がないのであれば、無理に生前贈与などで節税する必要はありません。今回の事例のように財産が4000万円の場合、相続人が2人以上いればそもそも相続税がかからないからです。
 
相続人が1人の場合でも、相続税が課税されるのは400万円だけです。1000万円までの税率は10%のため、全額課税されたとしても40万円でそれほど大きな負担にはならないでしょう。
 

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まとめ

生前贈与を上手に使うと相続税を節税できます。生前贈与には暦年課税と相続時精算課税制度の2つがあり、財産の種類や金額などによって決めましょう。生前贈与には持ち戻し期間があるため、長期的な計画を立てて行うことが重要です。
 

出典

国税庁 令和5年度相続税および贈与税の税制改正のあらまし
国税庁 No.4155 相続税の税率
 
執筆者:山根厚介
2級ファイナンシャルプランニング技能士

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