死後に家族が困らないために……。「書いておくだけで助かる」エンディングノートの中身とは?
配信日: 2025.03.25

エンディングノートを開いてみると、とても大切な項目もあれば、そこまで重要ではない項目もあります。では、書く必要のある大切な項目というのはどういうものなのでしょうか。
人によってさまざまではあるのですが、多くの人にとって書く必要のある項目について、お話ししていきましょう。

執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士
エンディングノートとは?
エンディングノートは、自分自身に何かがあったときに備えて、家族に意思表示をし、さまざまな判断や手続きを進める際に必要な情報を残すために使うノートです。また、生活の備忘録として、そして、これまでの人生を振り返り、これからの人生を考えるきっかけづくりにするものです。
最近では、法務省と日本司法書士会連合会によって共同して作られたものが公開されていたり、本屋さんにも多くのものが並んでいたりします。
エンディングノートは法的拘束力がないにもかかわらず、ここまで浸透したのには、訳があります。それは、法的拘束力がないからこそ「思い」が書ける、というところにあるでしょう。
人は、いつ最期を迎えるかは分かりません。そのため、60歳になったから書こうというものではなく、常日頃から大切なことを書き記しておき、数年に一度は見直すことをお勧めします。
書くべき項目は?
エンディングノートに何を書けばいいのか悩む人もいますが、書くことを限定する必要はありません。つまり、人それぞれ自分自身が家族に伝えておきたいことを自由に書けばよいのです。しかし、家族にとっては「これを書いておいてくれたら助かる」ということはあります。
1. もしものときの連絡先
知人や友人、かかりつけ医等、一緒に暮らしていない家族でも、もしものときに連絡できるように、その人の名前や関係性、電話番号や住所等を書いておきます。
2. どのような財産を持っているか
こちらは、書くとなると面倒に感じる人も多いでしょう。そのため、書くというよりは関連する書類をこのノートとともに保管しておくことが大切です。
以下に、一例を挙げておきます。
・固定資産税通知書
・通帳の表紙をめくった次のページのコピー
・生命保険の証券
・証券会社の残高証明書
1年に一度送られてくるものについては、毎年新しいものと差し替えておくとよいでしょう。
3. デジタルデータのIDとパスワードなど
こちらは、最近問題になりつつあるデジタル遺産についてです。IDとパスワードが分からければ、死後の手続きができないと問題になっています。
そのため、SNS関連やサブスクリプションの契約、インターネットバンクやインターネット証券に関するものなど、家族が困らないように書き残しておきましょう。
4. 介護や延命治療、葬式や墓のことなど
介護状態になったときや延命治療を望むか望まないかという自分自身の命に関することは、家族に口頭でも伝えられます。しかしいざとなると、家族も「そう言っていたはずだけど……」と不安になります。本人の自筆で書き残してあれば、家族は家族自身が決めたのではなく本人が望んでいたのだ、と決定しやすくなります。
葬式や墓のことについても、同様のことがいえるので、家族に苦しい選択をさせないように書き残しておきましょう。
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エンディングノートは自分自身が家族に伝えたいことを書けばOK
エンディングノートを買っても、家の本棚に置きっぱなしになっている人は多くいます。テレビの報道などを見聞きして、エンディングノートを書こうとしても、挫折してしまう人も多いです。
しかし、挫折してもかまいません。一気に全ページを書く必要もありません。
自分と向き合える時間があるときに、少しずつ書き進めていきましょう。全てを書かなければいけないと思うのではなく、家族が困らないようにここは書こう、という判断で書き進めてみてはいかがでしょうか。
出典
(※)法務省、日本司法書士会連合会 エンディングノート
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士