実家が遠方なので「お墓」を継げそうにありません…。「墓じまい」をせずにお墓を放置したらどうなるのでしょうか?
配信日: 2025.03.26

本記事では、墓じまいをしなかったらどうなるかについて解説します。墓じまいにかかる費用についても解説しますので、墓じまいを考えている人は参考にしてください。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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墓じまいをしないことで起こり得る問題
墓じまいとは、お墓の撤去や解体などをして土地をさら地にし、所有権をお寺や霊園に返還することです。お金や手間がかかるため、墓じまいをせずに放置してもよいのではと考える人もいるでしょう。
しかし、株式会社ディライト(東京都新宿区)が実施した「『墓じまいしなかった場合、どうなるのか』に関する調査」(調査期間:2025年1月、調査人数500人)によると、「特に何も起きていない」と答える人が48.6%いる一方、さまざまなトラブルに見舞われた人もいます。
本章では、墓じまいをしないことで起こり得る問題について解説します。
お墓が放置され無縁墓となった
同調査によると、「お墓が放置され、無縁墓になった」と答えた人は21.6%いました。無縁墓とは、お墓の継承者がおらず一定期間管理料が支払われないお墓を指します。
無縁墓になったからといって、墓石が撤去されるとはかぎりません。しかし、墓地の管理者によって墓石が撤去されることもあるため注意が必要です。
親族ともめた
同調査によると、「家族内でお墓の管理についてもめた」と答えた人は20.2%いました。
墓じまいをしないままでいると、家族や親族内で「墓じまいをするのか」「誰が墓の管理をするのか」といったことでもめることがあります。お金の問題や宗教の考え方の違いにより、仲が悪くなってしまったといったケースも多くあるようです。
遺骨が合祀された
同調査によると、「遺骨が合祀され、知らないうちに撤去された」と答えた人は5%いました。
無縁墓となって墓石が撤去された多くの場合、遺骨は合祀墓に移されます。一度合祀墓に移ると個別に遺骨を取り出すことはほぼ不可能となるため、後からお墓を建てたいと思っても対応できなくなるケースがあります。
また、一部では寺院霊園から事前に撤去の連絡がなく、改葬や合祀される事例も報告されており、大きなトラブルに発展する可能性もあります。そのため、お墓や遺骨の管理状況については、定期的に確認することをおすすめします。
墓じまいにかかる費用
墓じまいにかかる費用は、総額で30~300万円程度とされています。それぞれの費用目安は以下のとおりです。
・墓石の撤去……1平方メートルあたり8~15万円
・お寺へのお布施代……3~10万円
・離檀料……0~20万円
・行政手続き……1000~1500円
・新しいお墓の準備……5~250万円
・お寺へのお布施代……3~10万円
なお、お墓のある場所が山奥である、施設の通路が狭いなどの場合、お墓の撤去費用は高額になります。また、新しいお墓の種類によって、費用に大きな差が生まれるでしょう。
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墓じまいの費用が払えないときの対処法
墓じまいの費用は高額であるため、支払うことが難しいと感じる人もいるでしょう。しかし費用が払えないからといって放置すると、無縁墓になって撤去される恐れがあります。のちに撤去費用を請求されるケースもあるため、早めに対処するほうがよいでしょう。
本項では、墓じまいの費用を負担に感じる人に向けての対処法を解説します。
費用をおさえる
墓じまいにおいて費用がもっともかかる部分は、新しいお墓の費用です。新しいお墓を建てずに散骨や手元供養を選べば、大きく費用をおさえられるでしょう。一般墓所を用意すると数十~数百万円の費用がかかりますが、散骨や手元供養であれば数万~70万円程度で利用できます。
家族親族・寺院の住職に相談する
費用面が心配な場合は、家族親族に相談して費用面での協力を求めましょう。墓じまいをひとりで背負う必要はありません。管理元の寺院にも相談してみましょう。状況を説明することで、墓じまいに必要な費用について考慮してくれるかもしれません。
補助金制度を利用する
無縁墓の増加を食い止めるため、墓じまいの費用について補助金制度のある自治体もあります。お墓がある自治体に補助金制度がないか確認してみましょう。
分割払いやメモリアルローンを利用する
墓じまい費用は一括払いが理想とされますが、払えない場合は霊園や墓地管理者に相談して分割払いの可能性を確認しましょう。また、メモリアルローンなどの専用ローンを利用することも選択肢の一つです。
墓じまいは将来のための前向きな選択肢の一つ
墓じまいとは、お墓を撤去し、遺骨を別の場所に移すことを指します。少子化や高齢化により、お墓の管理が難しくなるケースが増えており、墓じまいを検討する家庭も多くなっています。墓じまいをせず放置を続けると、いつのまにか墓が撤去され遺骨が合祀されてしまう恐れがあります。
墓じまいは費用や手続きの手間はかかりますが、将来的な負担を減らすための前向きな選択肢の一つです。親族間でのトラブルの原因にもなるため、早めに墓じまいを検討するとよいでしょう。家族とよく話し合い、納得のいく方法を選ぶことが大切です。
出典
株式会社ディライト 「墓じまいしなかった場合、どうなるのか」に関する調査
市川市 市川市霊園一般墓地返還促進事業
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー