空き家になった「実家」を相続して10年。このまま放置すると「6倍」の固定資産税がかかる場合も!? 行政から連絡がなければ大丈夫? 対処方法を解説
配信日: 2025.04.03


執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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空き家を放置すると固定資産税が6倍になる?
空き家をそのままにしていると、固定資産税の負担が大きくなるかもしれません。
固定資産税は、土地や建物の所有者が毎年納める税金ですが、住宅用地には特例措置が適用され、税負担が軽減される仕組みになっています。小規模住宅用地(200平米以下)であれば固定資産税は1/6に、一般住宅用地(200平米超)でも1/3に軽減されます。
しかし、住宅が空き家のまま適切に管理されずに「特定空家」「管理不全空家」に指定されると、この軽減措置が適用されず、固定資産税が最大6倍に跳ね上がる可能性があります。
2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、放置することで周囲に悪影響を及ぼすと判断された空き家のことを「特定空家」としています。具体的には、以下の状態にある空き家のことを指します。
・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
・そのほか周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
また、2023年12月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」により、「管理不全空家」が新たに定義されました。
「管理不全空家」とは「特定空家」ほど深刻ではないものの、適切な管理がされていないと判断された空き家が該当します。空き家のまま適切な管理を怠ると、行政から指導や勧告を受け、最終的に「特定空家」として指定されてしまう可能性もあります。
空き家のまま管理不十分とみなされた場合、固定資産税が最大6倍となることには注意が必要です。
空き家を放置し続けるリスクとは
空き家を放置することは、税負担の増加だけでなく、周囲の景観を損ねるほか、不審者の侵入や火災リスクの増加、害虫の発生など、さまざまな問題を引き起こします。近隣住民とのトラブルにもつながりやすく、適切な管理を怠ると法的責任を問われる可能性もあります。
また空き家を長期間放置すると、建物が老朽化し、売却価格の下落につながるでしょう。さらに行政から「特定空家」や「管理不全空家」に指定されると、買い手にとってはリスク要因となり、売却そのものが難しくなるケースもあります。
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「特定空家」「管理不全空家」とされないために
空き家のまま放置せず、適切に管理することが重要です。定期的に掃除や修繕を行い、外観にも気を配るようにしましょう。雑草の除去や防犯対策を施すことで、近隣住民への悪影響も防げます。
長期的に管理が難しい場合は、売却を検討するのも1つの方法です。建物がまだ使用可能であれば、現状のまま売却することも可能です。老朽化が進んでいる場合は、解体して更地にすることで買い手が見つかりやすくなることもあります。
また、空き家を賃貸物件として活用することで、管理の手間を減らしつつ収益を得ることも可能です。手間とコストはかかりますが、リフォームやリノベーションを施すことで、賃貸需要に応えることができるでしょう。
まとめ
空き家を放置すると、固定資産税の負担が増加するだけでなく、倒壊や近隣トラブルといったリスクも発生します。「特定空家」や「管理不全空家」に指定されないためにも、定期的な管理や売却、賃貸活用などの対策が重要です。適切な対応を早めに検討し、将来的な負担を回避しましょう。
出典
東京都主税局 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)
国土交通省 空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報
国土交通省 空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー