実家の開かずの金庫から、現金「680万円」が! 持ち主が「祖父」か「父」で相続税か贈与税か変わるけど、どう確かめればいい? 知っておきたい税金の話
配信日: 2025.04.04

本記事では、予期しない大金が見つかった場合の手順と税制上の注意点について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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相続税か贈与税か判断する必要がある
現金や財産を受け取る際、一定額以上で税金が発生します。亡くなった親族から受け取った場合は相続税がかかります。また、存命中の親族から譲り受けた場合は贈与税の対象となります。
そのため、まず「誰のものか」を確認することが重要です。祖父と父親が存命であれば確認が最も確実ですが、どちらも亡くなっている場合は以下の手順で判断します。
金庫の設置時期や場所を確認する
金庫が設置された時期を確認すると、どの家族が関わっていたかを特定できる可能性があります。また、金庫が特定の部屋にあり、その部屋が特定の家族のものだった場合、その家族が所有者である可能性が高くなります。
現金の帯封やメモを確認する
銀行の帯封やメモがあれば、日付や名前から所有者を推定できます。また、現金が特定の袋に入っていた場合、その袋の情報から手がかりを得ることもできるでしょう。
通帳や預金履歴を確認する
対象者の銀行口座の入出金履歴を調べ、大きな現金の引き出しや預け入れがないか確認します。特に、亡くなる直前に大きな金額が引き出されていた場合、その現金が金庫に保管されていた可能性があります。
相続税の計算方法
現金が誰のものであるか判明すれば、その人物の相続財産として相続税が計算されます。相続税は、相続財産が基礎控除額を超えると発生しますが、この基礎控除額は、3000万円+600万円×相続人の数で決まります。例えば、相続人が3人の場合、基礎控除額は4800万円となります。相続財産が基礎控除額を超えると、相続税が課税される仕組みです。
また、相続税の申告期限後に発見された財産(例えば、金庫から出てきた現金など)は、当初の相続財産に加算され、改めて申告・納付する必要があります。後から見つかった財産も元々の相続分として計算し適切に手続きを行いましょう。
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申告漏れがもたらす追徴課税のリスク
被相続人が生前に保有していた現金(タンス預金)を申告せずに受け取ると、税務調査で発覚した際に追徴課税の対象となる可能性があります。税務署は、相続財産の調査で預貯金の出入金を確認し、不自然な現金の流れを精査します。
特に、生前に現金を大量に引き出していた場合、その現金が相続財産として受け継がれた可能性があり、申告内容との整合性が問われることになります。
相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日から10ヶ月以内です。この期限を過ぎると、延滞税や過少申告加算税が課され、隠蔽(いんぺい)が認定されれば重加算税が適用されることもあります。
相続税には時効があり、申告期限から5年が経過すると課税権は消滅します。ただし、故意に申告しなかった場合、時効が7年まで延長されることがあります。そのため、タンス預金を申告せずに放置していた場合、税務調査で発覚すれば過去の相続財産として課税されるリスクがあります。
まとめ
金庫の現金の持ち主が存命であれば、見つけても特に問題はありません。しかし、持ち主が祖父か父かが不明な場合は、相続税に関するリスクが生じる可能性があります。
現金を発見した際には、すぐに使うのではなく、まずは専門家に相談し、適切な対応を取ることが重要です。税務リスクを避けるためにも、正しい手続きを踏むことが求められます。
出典
国税庁 No.4152 相続税の計算
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー