大学の合格祝いに、父方の祖父から「100万円」を学費で、母方の祖父から「35万円」を免許取得費用としてもらった! 年間「110万円」を超えるので、贈与税が発生する? 複数人からもらった場合で解説

配信日: 2025.04.10

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大学の合格祝いに、父方の祖父から「100万円」を学費で、母方の祖父から「35万円」を免許取得費用としてもらった! 年間「110万円」を超えるので、贈与税が発生する? 複数人からもらった場合で解説
大学に合格した後は、学費や自動車運転免許取得費用など、まとまったお金が必要になることが多いです。そのため、祖父母からの援助を受けるケースも珍しくありません。こういったときにまとまったお金を受け取ると、「贈与税はかかるの?」と気になるのではないでしょうか。
 
例えば、父方の祖父から100万円の学費、母方の祖父から35万円の免許費用をもらった場合、贈与税はどうなるのでしょうか? 贈与税がかかるのは「年間110万円を超えた場合」と知っていても、複数の人からの贈与の扱い、学費や免許費用が対象になるかどうかなどで、悩む人も多いかもしれません。
 
本記事では、これらの疑問について詳しく解説します。
浜崎遥翔

執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

贈与税がかかるのはいくらから? 複数人からもらった場合は?

1月1日から12月31日までの1年間に110万円を超える金額を受け取ると、贈与税の課税対象になります。逆に言えば、1年間に受けた贈与の金額が110万円以下の場合は贈与税がかかりません。理由は贈与税に「年間110万円の基礎控除」があるからです。
 
基礎控除は、「1年間に受け取った全ての贈与」を合算したうえで適用されるため、複数の人からもらった場合、それぞれに基礎控除を適用することはできません。例えば、ある人から100万円、別の人から35万円の合計135万円を受け取った場合、基礎控除110万円を差し引いた25万円に対して贈与税がかかることになります。
 
基礎控除後の課税価格が200万円以下の場合、贈与税率は10%です。135万円の贈与を受けた場合の贈与税の金額は「(135万円-基礎控除110万円)×10%」から求めた2万5000円です。
 
贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、贈与を受けた人が確定申告をしなければなりません。
 

学費や自動車免許取得費用の援助は贈与税の対象になる?

贈与税には、「扶養義務者から生活費や教育費としてもらったお金は、通常必要な範囲であれば非課税」というルールがあります。ここでいう扶養義務者には祖父母も含まれるため、祖父母から学費の援助を受けた場合は、通常は贈与税の対象にはなりません。
 
例えば、祖父からもらった100万円のうち、大学の授業料や入学金、施設設備費、教科書代などに充てられた分は贈与税がかからないこととなります。ただし、学費として受け取ったのに、貯金したり、ほかの用途に使ったりした場合は、その分は贈与税の対象となることに注意が必要です。
 
本当に学費に使ったとしても、贈与税のかかる財産だと誤解される可能性があります。それを防ぐためにも、大学の学費の振込明細や教科書代の領収書(レシート)を保管しておくと良いでしょう。
 
一方、自動車免許取得費用としてもらった35万円については、明確な規定があるわけではありません。しかし、「教育資金の一括贈与の非課税措置」では、自動車学校の費用は教育費として認められていることから、非課税となる可能性が高いでしょう。
 
また、自動車免許取得費用35万円が贈与税の対象となった場合でも、それ以外の贈与と合わせて110万円の基礎控除内に収まるのであれば、贈与税が課されることはありません。
 
まとめると、本ケースであれば、父方の祖父からの学費援助100万円も、母方の祖父からの免許取得費用35万円も、「非課税」とみなされる可能性が高いため、1年間に受け取った金額は110万円を超えますが、贈与税はかからないという結論になる可能性が高いでしょう。
 

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110万円を超えても学費の援助であれば贈与税はかからない

贈与税は1年間に贈与を受けた金額を合算し、110万円を超えた場合に課税の対象となります。複数人からもらった場合は、そのすべてを合算して、それらが110万円を超えるかどうかで判断します。
 
しかし、親や祖父母など扶養義務者から受けた贈与のうち、学費や教科書代などに使った分は、贈与税が「非課税」となります。
 
なお、教育資金としてもらってその用途で使用したことが分かるように、振込明細や領収書を保管しておきましょう。大きな金額の贈与を受けた場合は、贈与税がかかるかどうかの観点で考え、適切に対応することが大切です。
 

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
文部科学省 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について
 
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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