贈与税はいくらから発生するの? 税金が発生しない特例の「教育費」の具体的な対象は?
配信日: 2025.04.12

贈与税には非課税枠や特例があり、制度を理解して活用すれば、税負担を抑えることが可能です。本記事では、贈与税が発生する金額の基準と、非課税となる「教育費」の特例について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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贈与税は年間110万円を超えると課税される
まず、贈与税は個人から財産(現金・不動産など)を無償で受け取ったときに課される税金です。贈与を受ける際には、課税方式として「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類があります。
暦年課税の基礎控除額は110万円
最も一般的なのが、「暦年課税」です。この場合、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った贈与額の合計が110万円以下であれば、贈与税は発生しません。
例えば、祖父母から50万円、両親から60万円を受け取ったとしても、合計110万円以内であれば非課税です。合計額が110万円を超える場合は、その超えた部分に対して贈与税が課されます。税率は、金額に応じて10〜55%と段階的に上がります。
相続時精算課税は累計2500万円まで非課税
もうひとつの方式が、「相続時精算課税」です。これは、60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子または孫への贈与に適用されます。相続時精算課税を選択する場合は、累計で2500万円までは贈与税がかからず、超えた部分には一律20%の贈与税がかかります。
ただし、この制度を選択すると、将来その贈与分が相続財産として加算されて相続税の対象となるため、そのため、節税効果を最大化するには事前にシミュレーションを行い、専門家に相談することをおすすめします。
教育資金の一括贈与には特例で最大1500万円まで非課税
教育費の支援については、贈与税がかからない特例制度が用意されています。これは「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」と呼ばれ、子や孫の教育のためにまとまったお金を贈与する場合に適用できます。ただし、この非課税制度を利用するためには、金融機関に教育資金非課税申告書の提出をしなければなりません。
非課税限度額は最大1500万円
この特例を利用できるのは、30歳未満の子や孫が、父母または祖父母から教育資金を一括でもらう場合です。非課税となる金額の上限は1500万円ですが、そのうち学校以外に支払う費用(塾・習い事など)は500万円までが対象となります。
この特例の適用期限は令和8年(2026年)3月31日までとされていますが、今後の税制改正により延長・変更される可能性があります。
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教育費として認められる具体的な支出とは?
では、非課税となる「教育費」とは、どのような支出が対象になるのかを見てみましょう。制度上、以下のように分かれています。
●入学金、授業料、施設費、教育充実費、保育料など
●修学旅行や遠足の費用
●入学検定料
●PTA会費、生徒会費、学級費など
●寮費(学校が認めたもの)
●各種証明書の発行手数料
●学生向けの災害傷害保険の掛金(※一部対象外あり)
これらは、大学・高校・中学校・小学校・幼稚園・保育園・認可外保育施設など、幅広い教育機関が対象です。
●学習塾やそろばん教室の月謝
●ピアノや絵画などの習い事
●水泳や野球などのスポーツクラブへの指導料
●語学学校の費用
※これらに係る物品購入費も対象となる場合があります。
ただし、レジャー目的や趣味色が強い内容の場合、教育費として認められない可能性もあります。あくまで、「教育のために必要な費用」であることが前提です。
領収書の提出が必須! 使い切れなかったら課税される?
この特例を利用するには、贈与された資金を専用口座に預け入れたうえで教育資金として使用した際に、その支払いを証明する領収書等を金融機関に領収書を提出する必要があります。期限までに提出しない場合は、非課税扱いとならずに贈与税が課されます。
また、30歳までに教育資金として使い切れなかった残額については、その時点で贈与税の課税対象となるため、注意が必要です。大学や大学院進学など、長期的な学費を見越した計画的な使い方が求められます。
さらに、贈与を受ける本人の前年所得が1000万円を超えている場合は、この特例を利用できません。利用する際には事前に確認しましょう。
教育資金の援助は特例を活用すれば税金ゼロも可能
贈与税は、年間110万円を超える贈与を受けると課税されますが、教育費については「教育資金一括贈与非課税制度」を利用することで、最大1500万円まで非課税となります。入学金や授業料に限らず、塾や習い事などへの支出も500万円までが上限対象となるため活用できる場面は広く、多様な教育費用に活用できるでしょう。
ただし、領収書の提出や年齢制限、所得制限などの条件もあるため、制度の内容を十分理解したうえでの利用が重要です。大切な子や孫の将来のために、税金の負担を減らしながら支援できる制度として、ぜひ検討してみてください。
出典
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー