軽自動車を買いたい息子に「頭金80万円を負担してほしい」と頼まれた! 自動車学校の費用「35万円」も負担しているのですが、合計すると“贈与税”の対象になりませんか?

配信日: 2025.04.15

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軽自動車を買いたい息子に「頭金80万円を負担してほしい」と頼まれた! 自動車学校の費用「35万円」も負担しているのですが、合計すると“贈与税”の対象になりませんか?
地域によっては車が生活の必需品で、社会人になると同時に運転免許を取得し、自動車を購入するということもあるでしょう。しかし、運転免許の取得費用や自動車の購入費は若い世代には高額で、親が子に代わってその費用を一部、あるいは全額を負担するという家庭も少なくはないのではないでしょうか。
 
このように親が子どもの運転免許取得費用や自動車の購入費を負担している場合、金額が大きくなると贈与税はかかるのでしょうか。本記事では、自動車学校の費用に関する税制上の解釈と、贈与税について解説していきます。
渡辺あい

執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)

ファイナンシャルプランナー2級

年間110万円を超える金銭のやりとりは贈与税がかかる

贈与のうち、1月1日から12月31日までの1年間で、年間110万円を超えた部分に対して贈与税が発生する仕組みのことを「暦年課税」といいます。
 
1年間の合計の額が対象となるので、毎月10万円ずつ合計120万円を受け取っても、一括で120万円受け取っても、同じように課税されます。また、親子間であっても、血縁関係のない他人同士であっても条件を満たせばどちらも課税の対象となります。
 

「教育費」は贈与税の免除となる! 自動車学校の教習費は?

年間110万円を超える贈与に関しては基本的に贈与税の対象となりますが、贈与の趣旨や目的によっては贈与税が免除されるものがあります。その1つが「教育費」です。
 
夫婦や親子、兄弟姉妹といった扶養義務者から渡される、社会通念上必要な範囲での教育費は「生活費」として扱われ、贈与の対象とはなりません。
 
また、高額な教育費であっても、直系尊属からの1500万円までであれば、「教育資金」として金融機関に教育資金非課税申告書を提出することで、非課税にすることができます。
 
このように、「教育」に関係する贈与に関しては、社会通念上、学費や教材費のような一般的なものであれば生活費として、留学費用のような高額な贈与であれば、特別枠として申請することで一定額までは非課税とすることができるのです。
 
自動車学校の教習代については、国税庁は「教育費」に当たるとは明言していません。
 
しかし、文部科学省の「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置制度に関するQ&A」によると、自動車学校が都道府県で定める「各種学校」としての認可を受けていれば、「教育資金の一括贈与に係る非課税措置」の適用を受け、1500万円まで教習費を非課税の対象とすることができます。
 
また、各種学校としての認可を受けていない自動車学校でも、500万円を上限に非課税対象となります。つまり、自動車学校の教習費は「教育費」として扱われるため、贈与税の対象外ということになるのです。
 

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「車の頭金」の贈与は贈与税の対象になる可能性も

車の購入費や車両本体の贈与に関しては、通常の暦年課税で課税の対象となるかが決まります。今回のケースだと頭金として贈与する金額は80万円なので、贈与の合計が110万円以下のため非課税となります。
 
ただし、1年間にこの費用のほかに金品の贈与があり、その相当額の合計が110万円を超えると、贈与税の対象となるので注意しましょう。
 

自動車学校の教習費は非課税。年間の総贈与額に注意して

1年間に、自動車学校の教習費として35万円、車の頭金として80万円の合計115万円を贈与していても、自動車学校の教習費は「教育費」として扱われれば、年間110万円を超える贈与とはならず、非課税となります。
 
また、暦年課税は1年間に受けた贈与の合計額に対してかかるので、ほかにも贈与があり110万円を超えた場合は税務署に確定申告をしましょう。
 

出典

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
文部科学省 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置に関するQ&A
 
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級

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