3年後に「私立小学校」の受験を目指す我が子。父が「教育費の援助」を申し出てくれたのですが、「贈与税がかかる」と説明をした方がいいでしょうか?
配信日: 2025.04.28


執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」を利用すれば「贈与税」はかからない
国税庁によると、贈与税がかからない財産として、「直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの」が挙げられています。すなわち、直系尊属(今回の場合は祖父母)から社会通念上相当と認められる金額の援助は、贈与税の非課税制度を利用できます。
利用できる贈与税の非課税制度はいくつかある
利用できる非課税制度はいくつかあります。まず、1年間に基礎控除額110万円までの贈与であれば、「暦年課税(暦年贈与)」の利用が可能です。しかし、毎年一定額を贈与してしまうと、一括贈与と判断されて課税される可能性もあるため注意が必要です。
次に、「相続時精算課税制度」があります。この制度では、自分(60歳以上)の財産をわが子や孫(ともに18歳以上)に贈与する場合は2500万円までは非課税です。
しかし、贈与者が相続する場合、「相続財産」と「相続時精算課税」の適用を受けた贈与財産の価額を合わせて算出する必要があります。その額が相続税の基礎控除額を超えれば相続税が発生するため、注意が必要です。
最後に、文部科学省が2013年4月より実施した「教育資金の一括贈与についての非課税措置」があります。
この制度は、「30歳未満の方が、直系尊属(祖父母など)から、金融機関等との一定の契約に基づき教育資金に充てるため贈与を受けた場合、金融機関等の営業所を経由して教育資金非課税申告書を提出することにより、1500万円までの金額に相当する部分の価額については、贈与税が非課税」という制度になります。
非課税枠が1人1500万円までと大きい点が特徴で、当面使わない金額も時期を待たずに非課税で贈与できる点が魅力です。なお、この制度は2026年3月31日までの措置となっているという点に注意しましょう。
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非課税制度を利用するには「教育資金口座」の開設が必要
前述の通り、非課税制度の適用を受けるためには教育資金口座の開設が必要です。また、口座開設を行ったうえで、口座開設を行った金融機関の営業所に、信託や預け入れなどをする日(通常は教育資金口座の開設日)までに「教育資金非課税申告書」を提出しなければならないため注意しましょう。
そもそも「教育費」が発生したタイミングで行う「都度贈与」は原則非課税
そもそも教育費は、必要額をその都度渡す(都度贈与)なら課税されないようです。例えば、入学金や授業料をその都度援助しても、それは扶養義務の範囲内とみなされ、非課税となるでしょう。
非課税額の上限額は特にありませんが、一般的な金額を超えないことが目安になります。また、できれば領収書を保管することで使い道を明確化し、金融機関のデータから贈与日や金額がわかるようにしておくと安心でしょう。
まとめ
教育費は社会通念上必要と判断できる金額であれば、原則非課税で援助できることが分かりました。なお、「暦年贈与」「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」は、それぞれ併用することが可能です。時期や金額などを考えながら、うまく組み合わせて活用してください。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4405 贈与税がかからない場合
文部科学省 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー