祖父から「400万円」をもらったので「50万円」を口座に、残りをタンス預金にしました。入金額は110万円以内なので税金はかかりませんよね?
配信日: 2025.05.08

今回は、受け取ったお金を分けて保管すると課税されるのか、また、お金をタンス預金にするリスクや贈与税の申告時期などについてご紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
受け取ったお金は分けて保管すれば課税されない?
贈与税とは、1年間に受け取った贈与財産に対して課税される税金です。民法第549条によると、「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」と定められています。
そのため、たとえ分けて保管しても、祖父から400万円を無償で受け取った時点で贈与は成立するでしょう。贈与となった場合、1年間の合計額が110万円(基礎控除)を超えた金額に対して課税されます。
もし、400万円が課税されると、110万円を差し引いた290万円が課税対象です。税率は15%で、控除額は10万円のため、贈与税は33万5000円が課されます。なお、同じ年にほかの人からも贈与されていた場合は、税額が変わる可能性があります。
タンス預金にして放置するリスクとは?
送られたお金をタンス預金にしても、贈与税の申告は必要です。口座に入金していなくても、お金を送った側の口座の動きなどの調査によって、贈与税の申告漏れが発覚する可能性があります。
贈与税の過少申告や無申告は、状況によっては加算税の課税対象です。財務省によると、例えば、申告をしていないことで無申告加算税の課税対象になると、納付すべき金額に応じて15~30%の税金が課される可能性があります。また、納付期限を過ぎた日数に応じて延滞税も課税されるでしょう。
延滞税の場合、延滞した期間や時期に応じて税率が変わります。国税庁によると、令和4年1月1日~令和7年12月31日までの間で延滞したときの税率は以下の通りです。
・納期限の翌日から2ヶ月を過ぎる日まで:年2.4%
・納期限の翌日から2ヶ月を過ぎた日以降:年8.7%
さらに、タンス預金には盗難のリスクもあります。口座に入れておくと空き巣や強盗の心配はありませんが、タンス預金は直接お金を盗める状態にあるためです。また、災害時などに焼失する可能性もあります。
どうしてもタンス預金にしたい場合は、課税対象になっていないか調べたうえで、必要最低限にした方がよいでしょう。
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贈与税の申告はいつする?
贈与税の申告と納税の期限は、原則として贈与された年の翌年2月1日~3月15日までです。期限内であれば、気付いた時点で申告と納税をすれば問題ありません。追加で税金も課されないでしょう。国税庁によると、納付方法は以下が利用できます。
・e-Taxを利用した口座振替
・インターネットバンキングなど
・クレジットカード
・スマホアプリ
・コンビニ納付
・金融機関か所轄の税務署での窓口納付
期限を越えて申告をするときは「期限後申告」となります。期限後申告であってもできるだけ早い申告と納税が必要です。先述したように、遅くなるほど延滞税の金額が大きくなり、税金の負担が多くなります。
受け取ったときの金額を基に判断するため小分けにしても課税される可能性がある
贈与税は、その年に贈与された財産の金額によって税額を計算します。たとえ小分けにして一部をタンス預金として保管しても、課税される基準は受け取った総額です。合計金額が年間110万円を超えていれば、課税されるでしょう。
税務署は口座の流れなどを把握できるので、タンス預金にしてもあとから指摘される可能性があります。あとで申告をすると、贈与税のほかに延滞税や加算税の課税対象となるケースもあります。贈与税の申告・納税期限は、原則として贈与された年の翌年2月1日~3月15日までです。忘れないために、できるだけ早く申告・納税をしましょう。
出典
e-Govポータル法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号) 第三編 債権 第二章 契約 第二節 贈与 第五百四十九条(贈与)
財務省 納税環境整備に関する基本的な資料 加算税の概要
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.9205 延滞税について
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4429 贈与税の申告と納税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー