10年前に“絶縁”した父が急逝。再婚していたようですが、父の「持ち家」や「借金」は自分に関わってくるのでしょうか?

配信日: 2025.05.30 更新日: 2025.07.02
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10年前に“絶縁”した父が急逝。再婚していたようですが、父の「持ち家」や「借金」は自分に関わってくるのでしょうか?
親が亡くなるとその子どもが法定相続人となり、財産を相続する場合が多いでしょう。
 
しかし、何年も前に絶縁している親が亡くなった場合だとどうなるのか、疑問に思うこともあるかもしれません。
 
本記事では、10年前に絶縁した父親が亡くなった場合の相続権についてご紹介するとともに、相続放棄すべきケースについてもまとめています。
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父親と絶縁している場合、相続権はどうなる?

日本の法律には親子関係を消滅させる内容のものはないため、父親と絶縁状態にあっても親子であることは変わりません。そのため、父親が亡くなった場合、その子には相続権があると考えてよいでしょう。
 
しかし、今回の事例のように何年も前に絶縁した父親の財産を相続するにあたって、抵抗を感じる人もいるかもしれません。
 
相続税法第3条には「相続又は遺贈により取得したものとみなす場合」について、相続人には「相続を放棄した者及び相続権を失つた者を含まない」と記載されています。
 
国税庁によると、ここで言う「相続を放棄した者」とは「民法で規定された期間内に同法第938条の規定により家庭裁判所に申述して相続の放棄をした者」のことであり、正式な手続きをしなければ相続放棄をしたことにはなりません。
 
また、「相続権を失った者」についても、民法第891条に定められている相続人の欠格事由に該当する者のほか、「民法の規定による推定相続人の廃除の請求に基づく」必要がある旨が記載されています。
 
そのためこれらの手続きをおこなっていない場合は、基本的に絶縁した父親の相続権は失われることはないと考えてよいでしょう。亡くなった父親に持ち家や借金があった場合は、子どもである自分にも関わってくる可能性があります。
 

法定相続人になるのは?

今回の事例では亡くなった父親が再婚していたということなので、実子である自分以外にも法定相続人がいる可能性があります。
 
国税庁によると、亡くなった人の配偶者は常に相続人となり、そのほかの人は以下の順位で配偶者とともに相続人となります。
 

・第1順位:死亡した人の子ども
・第2順位:死亡した人の直系尊属(父母、祖父母など)
・第3順位:死亡した人の兄弟姉妹

 
ここで言う「配偶者」は、今回の事例だと再婚している現在の妻となります。前妻との間には婚姻関係がなくなっているため、前妻には相続権は認められないと考えられます。
 
つまり、今回の事例では、父親が亡くなったときの配偶者である現在の妻と、前妻との子どもである自分自身、また、現在の妻との間に子どもがいる場合はその子どもも、法定相続人になると考えられます。
 

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絶縁した父親に借金があった場合は相続放棄した方がよい?

絶縁していることを理由に相続放棄を希望される人もいるでしょう。
 
また、亡くなった父親が借金をしていた場合、その借金も相続の対象になり、相続人が返済しなければならなくなります。プラスの遺産よりもマイナスの遺産の方が多い場合などは、相続することで大きな損害を被ることになる可能性もあります。それを回避するために、相続放棄をすることも可能です。
 
相続放棄の手続きは、相続が開始されたことを知ってから3ヶ月以内におこなう必要があります。ただし、絶縁している場合は父親が亡くなったことをすぐに知ることができない場合もあるかもしれません。その場合は、死亡したことを知った日から3ヶ月以内に手続きをすれば問題なく認められると考えられます。
 
必要な書類をそろえたうえで、申立手数料の800円を支払い、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申述してください。
 

絶縁していても相続放棄しなければ原則として相続権はなくならない

父親と絶縁状態にあっても親子関係はなくならないため、父親が亡くなった場合は相続権が発生すると考えられます。相続放棄などの手続きをしなければ、亡くなった父親の持ち家や借金などの相続にも自身が関わってくる可能性があるでしょう。
 
父親にマイナスの遺産があった場合など、相続放棄を希望する場合は、決められた期間内に家庭裁判所に申述書など必要書類を提出し、手続きをおこなう必要があります。申立手数料として800円かかるため、確認しておきましょう。
 

出典

e-Govポータル法令検索 相続税法(昭和二十五年法律第七十三号) 第一章 総則 第二節 相続若しくは遺贈又は贈与により取得したものとみなす場合 第三条(相続又は遺贈により取得したものとみなす場合)
国税庁 法令解釈通達 第3条《相続又は遺贈により取得したものとみなす場合》関係
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4132 相続人の範囲と法定相続分
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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