親から相続した「不動産」がいっこうに売れない…このまま放置し続けるとどのような「費用負担」が生じる?

配信日: 2025.07.29
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親から相続した「不動産」がいっこうに売れない…このまま放置し続けるとどのような「費用負担」が生じる?
親から相続した不動産が売却できず、居住予定もないため相続後の利用方法が見つからずにそのまま放置されるケースも少なくありません。しかし、不動産を所有している場合、活用されていない状態であってもさまざまな費用負担が発生する可能性があります。
 
特に、空き家として管理が不十分なまま放置されることは、想定外の大きな出費につながる可能性があるので注意が必要です。
 
そこで本記事では、売却が困難な不動産を放置し続けた場合に生じる具体的な費用負担と、そのリスクについて説明します。
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不動産を放置すると「固定資産税」と「管理費用」が発生する

相続した不動産を放置すると、固定資産税や管理費などが発生することがあります。これは、不動産を所有する人には使用の有無にかかわらず、毎年固定資産税や都市計画税の納税義務があるためです。
 
また、建物の劣化を防ぎ、近隣への迷惑や防犯上の問題を避けるためには、清掃・修繕・点検などの維持管理も必要不可欠となり、こうした維持管理にも費用が発生することがあります。そのため、売却できない間にも経済的負担が増す可能性があります。
 

「特定空家等」指定による固定資産税増加のリスク

相続した不動産を適切に管理している間は問題ありません。しかし、放置していると特定空家等に指定されて、固定資産税が大幅に増える可能性があります。
 
住宅が建っている土地(住宅用地)には、固定資産税の特例が適用となり税負担が軽減されていることが一般的です。固定資産税の課税標準の軽減率は以下の通りです。

●200平方メートル以下の土地(小規模住宅用地):6分の1
●200平方メートルを超える部分(一般住宅用地):3分の1

しかし、空家が適切に管理されず周辺環境に悪影響を及ぼすと判断された場合、自治体が特定空家等に指定します。自治体から「特定空家等」指定の勧告を受けると、この住宅用地特例が適用されません。その結果、固定資産税が大幅に増加し、最大で6倍に増える可能性があります。
 

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特定空家等に指定された場合、税金はどれくらい増えるのか?

特定空家等に指定され、勧告を受けた場合に固定資産税がどれくらい増えるのかを具体的に次の条件で見ていきます。

●固定資産税率:1.4%
●都市計画税率:0.3%
●土地の固定資産税評価額:500万円
●建物の固定資産税評価額:1000万円
●土地面積:200平方メートル以下

特例適用時の税額と、特定空家として勧告された場合の税額を表1にまとめました。
 
表1

住宅用地特例適用時の税額 特定空家等に指定された場合の税額
土地の固定資産税 500万円×1/6×1.4%=約1万1667円 500万円×1.4%=7万円
建物の固定資産税 1000万円×1.4%=14万円 1000万円×1.4%=14万円
土地の都市計画税 500万円×1/3×0.3%=約5000円 500万円×0.3%=1万5000円
建物の都市計画税 1000万円×0.3%=3万円 1000万円×0.3%=3万円
年間の合計税額 約18万6667円 25万5000円

※筆者作成
 
特定空家等に指定されると、住宅用の特例が適用されている場合と比べて年間で約6万8333円の負担増です。
 
さらに、特定空家等に指定されると固定資産税が増えるだけではなく、自治体からの「助言」や「指導」が行われます。それでも改善が見られない場合には「勧告」や「命令」となり、命令に従わない場合には50万円以下の過料に課せられるおそれがあります。
 
思わぬ税負担を増やさないために、不動産を相続したら適切な管理を行い、売却や活用方法などを早めに決めることが大切です。
 

相続した不動産の活用や売却はできるだけ早急に行うとよい

相続した不動産の売却ができないまま残っていると、固定資産税や維持管理費などの費用がかさむ可能性があります。特に、特定空家等に指定されると、固定資産税が最大6倍に跳ね上がることもあるため注意が必要です。
 
不動産を放置し続けることは、こうした費用がかさむだけでなく、建物の劣化や周辺環境への悪影響を招き、結果として資産価値を大きく下げる事態にもつながりかねません。
 
このような状況を避けるためにも、売却が難しいと分かった時点でできるだけ早く自治体や税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。
 

出典

総務省 固定資産税
総務省 都市計画税
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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