「誰も住んでいない家」を更地にしたら、固定資産税が「5万円→30万円」に…。空き家を放置せず壊したのになぜ税金が高くなるのでしょうか?

配信日: 2025.08.03 更新日: 2025.08.04
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「誰も住んでいない家」を更地にしたら、固定資産税が「5万円→30万円」に…。空き家を放置せず壊したのになぜ税金が高くなるのでしょうか?
「空き家を壊したら固定資産税が5万円から30万円に上がった」と聞くと驚くかもしれません。しかし、これは制度のルールに従った結果です。せっかく空き家を放置せず更地にしたのに、なぜ税負担が増えてしまうのでしょうか。
 
本記事ではその理由と背景をわかりやすく解説します。さらに、空き家を壊すべきか、残すべきかの判断材料や、税金を抑えるための対策も紹介します。
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空き家を壊したら税金が高くなる? 制度の仕組みとは

固定資産税は、土地や建物に対して毎年課税されます。土地の上に建物がある場合は「住宅用地の特例」が適用され、税額が軽減されます。この制度では、土地の評価額に対する課税標準額が最大で6分の1まで減額されるため、税額が大きく抑えられる仕組みになっています。
 
ところが、建物を取り壊して更地にすると、この特例は適用されません。そのため、同じ土地でも、住宅がある状態に比べて税額が一気に高くなるのです。
 

税額が6倍に跳ね上がることも? その理由と具体例

例えば、課税標準額(固定資産税評価額)が1200万円の土地に、老朽化が進み固定資産税評価額が0円の住宅があったとしましょう。住宅がある場合、小規模住宅用地特例により課税標準額は1200万円の6分の1である200万円に減額されます。ここに固定資産税の税率1.4%をかけると、税額は2万8000円です。
 
一方、住宅を解体し更地にすると、固定資産税評価額は元の1200万円です。税率1.4%をかけると、16万8000円になります。
 
このように、税額が6倍になるケースもあります。ただし、実際に更地になった場合の固定資産税評価額は70%を乗じて計算されるため、3~4倍程度になることが多いと思っておきましょう。「解体したら損をした」と感じるのは、こうした制度上の仕組みを知らないまま判断してしまうことが原因です。
 

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壊す vs 放置、どっちが得? それぞれのリスクと影響

解体すると税金が高くなるなら、そのまま放置したほうが得なのでは? と思うかもしれません。しかし、放置には別のリスクがあります。
 
長期間放置された住宅は、自治体から「特定空き家」に指定される可能性があります。「特定空き家」とは、倒壊の危険や衛生上の問題、景観悪化などの状況を総合的に判断して自治体が指定します。
 
「特定空き家」に指定されると、住宅用地の特例は取り消され、固定資産税は更地と同じ水準にまで上がります。さらに、行政からの改善命令や、強制解体・過料の対象になることもあります。
 
つまり、「壊して高くなるか」「放置して高くなるか」という選択肢になる可能性があるのです。
 

更地にする前に確認を! 固定資産税を抑える4つの対策

空き家を壊す場合でも、税負担や費用を抑える方法はいくつかあります。
 

1.自治体の補助制度を利用する

地域によっては、空き家の解体にかかる費用の一部を助成してくれる制度や、解体後の固定資産税を一定期間減免する制度があります。更地にする前に自治体のホームページで確認してみましょう。
 

2.更地をすぐに活用する

建物を壊した後、すぐに駐車場や貸地として活用すれば、固定資産税の負担分をある程度カバーできるケースがあります。ただし、土地の評価額は変わらないことが多く、運営経費などの考慮も必要です。
 

3.住宅を新しく建てる

更地にした後、翌年の1月1日までに新しい住宅が完成し居住可能な状態であれば、住宅用地特例が再び適用されます。
 

4.売却を検討する

空き家や土地を売却すれば、固定資産税の支払い自体が不要になり、維持や管理の手間からも解放されます。
 

まとめ

空き家を壊すと固定資産税が高くなるのは、「住宅用地の特例」が使えなくなるためです。知らずに解体してしまうと、思わぬ出費に驚くことになるかもしれません。しかし、放置しても別のリスクがあります。大切なのは、制度を理解したうえで最適な選択をすることです。
 
更地にする場合は、自治体の制度を活用したり、活用計画を早めに立てたりすることで、税負担を減らすことも可能です。
 
「壊すか? 残すか?」で悩んだら、一度専門家や自治体に相談することも有効です。後悔しないためにも、早めに空き家の活用方法を検討しておきましょう。
 

出典

総務省 固定資産税
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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