約1億円の資産がある叔父は独身で子どももいません。遺言がなかった場合、“1億円の遺産”はどうなるのでしょうか?
夢実現プランナー
2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
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法定相続人の順位について
まずは、基本的な法定相続人の範囲と順位を確認してみます。配偶者がいる場合には、常に配偶者は相続します。そして子どもがいる場合には、子どもも法定相続人となります。配偶者は相続財産の2分の1で残りの2分の1を子どもが相続することになります。
子どもがいない場合には、父母または祖父母が相続をします。相続割合は、配偶者が3分の2、父母または祖父母が3分の1となります。子どもも父母または祖父母もいない場合は兄弟姉妹が相続することになり、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1を相続することになります。
図表1
| 配偶者がいる場合の法定相続人と相続割合 | ||
|---|---|---|
| 順位 | 相続人 | 相続割合 |
| 第1順位 | 子ども | 2分の1 |
| 第2順位 | 父母または祖父母 | 3分の1 |
| 第3順位 | 兄弟姉妹 | 4分の1 |
※国税庁「タックスアンサー No.4132 相続人の範囲と法定相続分」より筆者作成
しかし、今回の事例のように独身の場合には、法定相続の順位は配偶者を除いて同じ順位になります。相続割合は、順位の高い相続人に全額を相続することになりますが、そのなかの人数で分割することになります。
配偶者なし、子どもなしの場合の法定相続人
本事例のように、配偶者も子どももいない叔父が亡くなった場合に、前述の法定相続人が存命なのかが問題になってきます。
まだ叔父の両親かその一方の親が存命であれば、第2順位である親が叔父の財産を相続することになります。しかし親が他界されている場合には、第3順位にあたる兄弟姉妹が相続をすることになります。
今回は相談者である、おいの親(叔父の兄弟姉妹)が相続人となり、ほかにも兄弟姉妹がいれば、兄弟姉妹の人数によって分割します。仮に叔父のほかに兄弟姉妹が2人いたとすると、1億円の相続財産を2人で5000万円ずつ相続することになります。
相続する場合には相続税が課せられますが、相続税には基礎控除があり、3000万円+法定相続人の人数×600万円を控除することができます。
今回の例では、相続人が2人なので、3000万円+2人×600万円=4200万円を控除することができます。さらに生命保険がある場合には、法定相続人の人数×500万円を控除することができます。
兄弟姉妹がすでに他界していた場合は?
前章では、叔父の兄弟姉妹が存命であった場合でしたが、相続が発生するときには高齢であることが多く、兄弟姉妹がすでに他界しているというケースも珍しくないでしょう。法定相続人がすでに他界している場合、代わりに相続できる代襲相続という制度があります。
例えば、子どもがいる場合で、すでに子どもが他界している場合に、その子どもに孫がいれば、孫が相続人になります。孫もすでに他界している場合には、ひ孫がいればひ孫が相続します。
父母または祖父母が相続する場合には、代襲相続はありません。兄弟姉妹も第3順位で法定相続人になっているので、父母または祖父母が他界していると自然に兄弟姉妹が相続人になるからです。
この兄弟姉妹が他界していた場合には、兄弟姉妹の子であるおいやめいが代襲相続をすることになります。ただし、おい・めいがすでに他界しているときは、おい・めいの子どもが代襲相続することはありません。
まとめ
遺言書がなければ、基本的に法定相続人で法定相続割合に分割することになります。叔父が他界したときの相続人の状況によって誰が相続するかは変わりますが、法的には順位が決まっています。しかし、相続人全員が納得するのであれば、相続の順位や割合は自由に変えることができます。
相続トラブルを避けるためにも、遺言書やエンディングノートなどで思いを残してもらえるよう、元気なうちに親族間で話し合っておくことも大切かもしれません。
出典
国税庁 タックスアンサー No.4132 相続人の範囲と法定相続分
国税庁 タックスアンサー No.4152 相続税の計算
執筆者 : 吉野裕一
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